マルコヴィッチの穴

マルコヴィッチの穴

この映画「ゴッド」の予告目当てで見に行ったのだけれど、かからなくてがっくりして帰ってきたのよ。「花様年華」のはひどかったなあ。まるで演歌のカラオケビデオ。男と女、酒とタバコ、まるまる一曲歌えるくらい長い。こんなのいいから「ゴッド」の予告見せろ。でもチラシは手に入ったぞ。「マルコ」のお目当ては(あるとすれば)あやつり人形のシーン。他はどうでもいいの。もちろんあの頃はまだ「サンダーバード」にはまっているわけでもなし、「いつかあなたに逢う夢」のあやつり人形がいいなって思っていた程度。ブレンダンはもちろんそんなにうまくはあやつっていなかったけれど、人形が出てくるシーンはいい味出てた。「マルコ」は内容は奇抜だけれど、それだけ。だからどうだって言うのよ・・で終わり。キャサリン・キーナーは何でアカデミー賞にノミネートされたのかな。彼女は美人じゃないけど、例えば電話を通して聞こえてくる声がとても魅力的とか、そういうタイプだと思う。彼女が演じるマキシンという女性は、登場した時には印象的だが、後半になると何を考えているのかはっきりしなくなる。キャメロン・ディアスはなかなかよかった。そのうち(美しく)変身するのでは・・と思っていたけど、最後までださいオバさんで終わってしまったのが意外。マルコヴィッチは「コン・エアー」での印象が強いけど、ここではなよっとしていてしゃべり方もややはかなげだ。役柄によってがらっと変わるというタイプなのかな。後半ジョン・キューザックに頭を乗っ取られてからはしゃべり方や動作がキューザックそのままになる。こういうところはうまいと思う。キューザックはとことんさえないダメ男。マキシンにも妻にも去られてしまうが、その時の捨てゼリフは「失せろ!」だもんね・・。女性の薄情なこと。まわりの人間が全部マルコヴィッチになるシーンがあったけど、今は顔がマルコヴィッチで体は女性なんていう合成も難なくできちゃう。「死亡遊戯」の頃は首のあたりが不自然で「つなげた」ってのが見え見えだったけど。でも感心するより趣味の悪さの方が鼻につき、一回で出てきてしまった。あやつり人形のシーンは本当にすばらしかった。目が閉じたり開いたりするだけなのに、こちらの心に向かってせつせつと訴えかけてくるものがあるのだ。悲しそうな人形の表情が心に残る。心に悩みをかかえた人間達の方に心が残ってもいいはずなのにね。