皇帝ペンギン

皇帝ペンギン

一般公開は終わっているので見ることはできないだろうと思っていたら、やっているところがあったので見に行った。実は近くのシネコンでもやったのだが、吹き替えだったので行かなかったのだ。平日の昼間、お客は18人くらいか。女性が多く、男性は年配の人がほとんど。去年「ディープ・ブルー」を見て、テレビで「WATARIDORI」を見て、ドキュメンタリーはこれで三作目。前の二作はナレーション少なめ。どちらかと言うと突き放したような印象を受けたが、今回は夫と妻と子供。ペンギンを擬人化し、かってにセリフをつけている。いいのか悪いのか・・。フランス映画のせいか何でもかんでも「愛」になっちゃう。求愛とかクローズアップでねっちょりうつす。それらしき音楽つき。結ばれてからは「あなた」「妻よ」。日本だと子供ができると夫婦でも「お父さん」「お母さん」て呼び合うけど、フランスではどうなんですかね。ペンギン達は繁殖期になると20日も歩いて内陸部の営巣地へ向かう。出発を決めるのは?道順を決めるのは?誰かリーダーがいるのか、それぞれがかってに判断してそれが結果的に一致するのか。そういうの興味あるけど全然説明なし。ひたすら歩いて到着してカップル作って卵産んで交代で子育て。何しろ内陸部だからエサなし。食べるためには20日歩いて海まで行かなきゃならない。帰ってくるのにまた20日。その間片方は断食状態。やっと連れ合いが帰ってきて卵渡して今度は自分が食事に行くわけだが、海までまた20日歩かなきゃならない。何て理不尽なことやってるんだぁーと理解に苦しむけど、彼らはこうやって生き続けてきたのだ。そしてまたこういうことに耐えられるよう彼らの体は作られているのだ。卵の引渡しはあの体型だから大変だが、フランス映画だからそれも「愛のダンス」になってしまう。違うと思うが・・。ひたすら相手の帰りを待ち続けるシーンでは「あなたはどこ」「妻はどこ」・・あのねーそれって愛情と言うより飢えですってば。相手が帰ってこなければ自分は卵、あるいはヒナをかかえて飢え死にするだけ。いよいよとなったら子供を捨ててエサ場へ向かう。むごいようだけど子供は来年また作ることができる。自分が死んだら何にもならん。そういうのは夫婦の愛情と言うより生存本能でしょうが。とにかく夫婦仲良く寄り添ったくらいじゃ南極の冬は乗りきれないのだぜい。

皇帝ペンギン2

割れた卵があっという間に凍りついてしまうシーンが印象的だ。なかみが出るヒマもない。ものすごい寒さに加えてブリザードが追いうちをかける。ひたすら固まって耐えるより他ない。真ん中にいて窒息とか圧死とかしないのかしら。親もそうだけど卵はヒナは・・。体力がなくなって眠ってしまうと死んでしまうようだけど、ペンギンて立って押しくらまんじゅうしながら寝てるんですか?満員の通勤電車にいるよな、そういう人。86分だから「地球・ふしぎ大自然」を二回見るようなもの。でもわかることってそんなに多くない。繁殖・子育てが主で、それ以外のこと省略されてる。ヒナはかわいい。大人のオスとメスって区別つかない。子供もみんな同じ顔している。大きさは違うけど。好奇心いっぱいでぴょこぴょこ歩いている姿は見あきない。でも少し暖かくなると鳥が飛んできたりして犠牲になるものも出てくる。海には海で天敵がいる。空腹を満たそうと夢中で魚を追うペンギン達を襲うのは・・アザラシですか?すみません海獣の区別つきません。陸と違って海中ではペンギン達はホントすばやい。魚をあっという間に食べちゃうシーンは早すぎて何が何だかわからん。普通はスローモーションでもう一度見せてくれるものだ。前「地球」でアザラシにカメラくっつけてどういう行動取るのか調べていたけど、このエサ取りシーンもペンギンにカメラくっつけてとったんだろうな。そうでもしないとこういうシーンとれないと思う。アザラシの大口シーンはハリウッド版「ゴジラ」そのまんま。下からびゃーっと上がってきて大口開けてヘリをくわえるシーン。ドキュメンタリーでこんなの見せられると何かヘンな感じ。CG?って思っちゃう。潤色を加えずありのままを記録したのがドキュメンタリーだが、この映画は・・。「あなた」「妻よ」でもわかるけどかなり潤色している。他の人は知らないが私はこの設定、かなり引きました。ラスト、夫婦は別の道を歩み出す。「また来年会いましょう」・・そんなにラブラブなら一年中一緒にいたら?子供達は習ったわけでもないのに水にもぐり泳ぎ出す。繁殖できるようになるまで四年かかるらしいけど、その間は行進にも加わらずエサ場にとどまるの?ある日突然ハッと閃くわけ?行進に加わらなくちゃ・・。見終わってもわからないことだらけのドキュメンタリーでしたな。作るのにものすごく苦労したんだろうけどさ。ご苦労様。