クリムゾン・ピーク

クリムゾン・ピーク

こういうのはもうちょっとそこはかとなくとか、ほんのりととか、表現をセーブできたと思うけど、そういうのは好みじゃないらしい。幽霊はうんとおどろおどろしく、殺人は洗面台にゴチンゴチン、手で刃を握っていや~ん、イタそう!!顔にブッスリ、ひえ~ん、やりすぎ!!最後はシャベルでバゴーン・・ここまで来るとコメディーだ。天井から雪も雨も枯葉も降り放題の屋敷。使用人は老人一人しかいなくて、掃除や洗濯は誰が?「レベッカ」を引き合いに出してる人多いけど、私はあんまりそうは思わない。金持ちなのは奥さんの方だし。イーディス(ミア・ワシコウスカ)には幽霊が見える。10歳の時、コレラで亡くなった母だ。でも、あんまりな姿で出てくるので、警告しても聞いてもらえない。そりゃそうだ。それにしても何で14年後のことがわかるのだろう。成長したイーディスは作家志望だが、出版社は女なんかと相手にしてくれない。でも初対面のトーマス(トム・ヒドルストン)はほめてくれた。英国から姉のルシール(ジェシカ・チャスティン)と共にやってきた彼は準男爵。イーディスの父カーターに出資を頼むが、断られてしまう。またトーマスはイーディスの友人ユニスにプロポーズするはずが、彼女の方に引かれてしまう。ユニスの兄アラン(チャーリー・ハナム)はイーディスを愛しているが、彼女の方は友情以上のものは抱いていない。娘を心配したカーターは探偵ホリーを雇って姉弟を調べさせる。どうもあの二人は気に食わない。アランとなら申し分ないのに・・。予感は的中。トーマスは既婚者だった!で、正直に言えばいいものを、娘を傷つけてはいかんと回りくどい方法を取る。で、あっさり殺され、何も知ることなくイーディスはトーマスと結婚してカンバーランドのアラデール・ホールへ。財産は全部処分して、送金してくれるよう弁護士に頼んである。トーマスに全額渡すという書類が届いて、彼女がサインすれば、もう後は洋梨・・じゃない、用なしだ。姉弟は今までにも同じ手口で三人を始末。屋敷を直すより優先させたのは、粘土鉱山の掘削用機械。これに成功さえすれば・・。後でやっとこさ成功するけど、映画ではあんまりはっきりしてなかったような。

クリムゾン・ピーク2

ルシールは盛んにイーディスにお茶を勧める。ピラカンサという苦いお茶で、これが毒入り茶。飲み物に毒と言うとデュ・モーリアの「レイチェル(愛と死の記録)」のティサナだな。あっちはホントに毒を入れたかどうかあいまいだったけど。トーマスとルシールはほとんどすっからかんで、何でもないような顔してるけど生活は苦しい。ノベライズには暖房を入れられるのは夫婦の寝室だけとある。ルシールの部屋は冷房全開かよ、気の毒に。でもイーディスはそこまで気が回らんのよ、金持ちのお嬢さんだから。そのうちイーディスは気づく。幽霊は私を脅かしているのではなく、何かを伝えたいんだわ!それにしてもあんまりな造形だよな。こういう、力作ですッ、出来に自信ありますッ、思いきり気持ち悪くしてみましたッていうのは、かえって怖くないんですよ。さて、クライマックスだけどイーディスは血を吐くでしょ、転落するでしょ。雪の積もった上に落ちたから死なずにすんだ・・にしては、途中で思いきり何かにぶつかっているし、雪の量も少ないし。アランもひどい目にあいます。ブスッ、ブスッ・・誰がブスやねん・・じゃなくて、刺されてしまう。あのままアメリカにいりゃよかったって頭の隅かすめたはず。ところで私、見る前読む前はてっきり吸血鬼物だと思っていましたの。カンバーランドのさびしくわびしい土地。古くからの家柄。荒れ果てた屋敷。黒ずくめで女達を虜にする美形。謎めいた黒髪の美女。おまけにヒロインは金髪で色白の処女。まんまじゃないですか。でも・・結婚詐欺でした。お金がないならないで、どこか他の土地へ行って再出発もできただろうに・・幽霊だって他の土地までは追ってこないだろうし・・、この土地、この屋敷にこだわったせいで・・。まあ屋敷の造形とかがこの映画の見どころなんだろうけど、私の印象に残ったのは衣装。ああいう大きくふくらんだ袖って、ちょうちん袖って言うのでは?子供の頃見た少女漫画によく出てきた覚えが。今見ると何とも不格好だけど。ワシコウスカはグウィネス・パルトロウにそっくりだ。どこかで血が繋がっているんじゃないかと思うくらい。ヒドルストンはJJ・フィールドにそっくり。ハナムやホリー役バーン・ゴーマンは「パシフィック・リム」に出ている。他にマクマイケル夫人役でレスリー・ホープ。