危険なメソッド

危険なメソッド

ユングとフロイトの名前は知ってるけど、ザビーナのことは知らんかった。1904年のチューリッヒ・・ユングと患者のザビーナはお互いに影響を与え合う。治療の時、ユングがザビーナの背後に座っているのが目新しかった。対面じゃないのだ。治療はうまくいき、彼女は医者になる夢をかなえようと医学部へ。で、何だかよくわからんが同業者らしいグロスとかいう男が患者としてユングの元へ。一夫一婦制がどうとか、自由が一番とか勝手な説述べて・・見ていて自由には責任が伴うって忠告してやりたかったけど・・それに刺激されたのかユングはザビーナと深い仲に。そうなりゃあとはお定まりの経過をたどるだけ。妻には気づかれ、うわさは立ち、ザビーナは別れ話には承知せず・・ユングもきっぱりした態度は取れず、だらだらぐずぐず。何か見ていてもおまえら何やってんだ?って感じ。ユングとフロイトは、最初はいいけどそのうち考えに違いが出てきて心が離れてしまう。ユングは裕福な妻のおかげで生活には困らない。家も明るく広々としている。フロイトの方は狭いアパート、六人も子供がいて生活は苦しく、書斎はごたごたしている。一番印象的なのはアメリカへの船旅。乗船したとたん、自分は一等だから・・ってアンタ、デリカシーなさすぎ。気配りなさすぎ。ユング役の人は誰かな~と思っていたらマイケル・ファスベンダーだった。全然気づかんかった。今回はラッセル・クロウとウィリアム・ハートのミックス風味。ユングはいい人そうに見えるけど、だんだんボロが出てくる。見ている人の共感は得られなさそう。フロイトはヴィゴ・モーテンセン。本来なら憎まれ役になるところだが、そうでもなかった。視野の狭い頑迷な人物に見えるが、今まで経験してきた苦労や努力が彼を作っているのだと納得できる。いい人とか悪い人という段階ではないのだ。とは言えずっと葉巻スパスパなので、私はヴィゴの健康が気になった。ザビーナ役はキーラ・ナイトレイで、私は演技派、汚れ役だってこれこの通りとばかりに大熱演。下あご突き出してエイリアンクイーンみたいだったし、ナイトレイと言うよりナイ乳だし。グロス役はヴァンサン・カッセルで、知ってる人はこの四人だけ。ユングの奥さんは、自信がなくて弱々しそうに見えるけど、実はしたたか・・みたいなところがよかった。何かあっても、すぐ数年後に飛ぶので、深みはない。今までのことが糧になってユングは後に大学者になった・・という感じが全然しないのだ。ラストも何と言うこともなく終わるので、拍子抜けする。