黒いチューリップ

黒いチューリップ

大昔月曜ロードショーあたりで見たような記憶が・・。どうも「ゾロ」や「花咲ける騎士道」とごっちゃになって。まあ笑わせてくれるだろうと期待してビデオをレンタル。たぶんフランス人にとってはおなじみのストーリーなんだろう。フランス革命の頃、ギョーム伯爵には義賊黒いチューリップとしての裏の顔があった。人民を苦しめる貴族から宝石等を奪う。憲兵隊長はギョームを疑っているが誰も本気にしない。そこで罠をかけ、剣で顔に傷をつけることに成功。ギョームの顔に傷があれば彼が黒いチューリップだ!これでは人前に出られない・・と困ったギョームは、弟ジュリアンを呼び寄せる。二人はそっくりなので、ジュリアンがギョームの代わりにあれこれやることとなる。理想家のジュリアンは兄の正体を知って喜ぶが、ギョームは自分がただの盗賊になりさがっているのを自覚している。アラン・ドロンは二役だがカゲのある兄と純真な弟を演じ分けている。同じ美しさでもギョームにはやや頽廃の色が、ジュリアンは光り輝いている。特に登場シーンである馬車の中に浮かび上がるジュリアンの顔の凄まじいほどの美しさには驚嘆する。ストーリーは大したことない。セリフばかりで聞いていて読んでいて(字幕をね)すごく疲れる。2時間以上あるような気がする(実際は110分くらい)。きっと彼らはしゃべって恋して食べて飲んでコテッと死んじゃうのだわ。細く長く静かになんてありえないんだわ。アクション(剣)はちゃんとやってるから当然遅い。でもそれでいいの。ジュリアンと恋に落ちるカロ役はヴィルナ・リージ。美人と言うよりキュート。由美かおるさんみたい。侯爵夫人がドーン・アダムス。知ってる人はこれくらいか。利口で忠実なギョームの馬がいい。ギョームが死んだ後はどうなるのか。そう、ジュリアンを助けようとしてつかまったギョームは絞首刑になってしまう。見ているこっちはてっきり何か細工がしてあって助かると思っていたのに。侯爵が吊るされているのも後味悪い。貴族を追い出し踊り狂う人々。ジュリアンとカロも楽しそうだが・・乗れない。何でギョームを助け出す努力しなかったの?死体はどうした?少しは悼んだら?どうも日本人の感覚とはずれているなあ。もっと短くてちゃんとハッピーエンドならもっと楽しめたと思う。確かにあの時点でのギョームはやや虚無的になっていて、自分でも潮時だと思っていただろうけどさ。