湖畔殺人事件

湖畔殺人事件

例えば「冬の嵐」とかレンタルすると、近くにこういうのあるわけよ。何とかかんとか殺人事件というのはテレビでも絶えずやってる。こういう題名つけときゃ誰か誰か見る。ビデオだと借りる。ビデオカバー見ると知らない人ばっか。でも何だかハンサムな若者うつってる。私の場合それだけで十分。よしッ、借りてみよう!となるわけよ。例えはずれでも100円だしぃ。時々プツッと切れて場面が転換するので、テレビムービーだとわかる。見た後ググってみたけど、誰も感想書いてない。ヒットするのは日本のばっか。考えてみりゃ片仮名にすりゃ「レイクサイド マーダーケース」だもんねえ。ヨーマン一家はロスに住んでる。夫チャックはブローカー、妻レイチェルも働いている。仕事仕事の毎日だ。レイチェルはその他に家事もあるから、疲れて気が立ってる。娘のリサは反抗期で何かと盾つく。息子スティーヴィーはゲームに夢中。一家はりっぱな家に住んでるが、物騒な土地柄だから警報装置やら暗証番号やらは欠かせない。ある晩不審な男が窓から覗いていたので警察に通報したら、隣人のアレクシスだった。ただの勘違いだがパトカーは来るしヘリまで出動(こんなに早く大げさにかけつけてくれるの?)。レイチェルは今のままでいいのかしら・・と思ってしまう。家族の心はバラバラ、安全とは言えない環境・・。そんなある日、トマホーク湖畔にあるジャクソン邸が売りに出されたと知った彼女は、心がゆれ動く。元々静かなところで暮らしたいタイプなのだ。リサは田舎行きには不満だが、とにかく家を買い、暮らしてみることに。今の家は人に貸せばいい。来てみると空気はきれいだし、ながめはばつぐん。家もきれいでしっかりしている。もう警報装置とはおさらばだ。こんな田舎じゃ犯罪は起きないだろうし、カギをかける必要もない。湖でウインドサーフィンをし、泳ぎ、森の中をジョギング。何だか夫婦仲までよくなって・・。でもどんな場所にも犯罪は起きる。冒頭若い女性が家を抜け出し、森の中で誰かに殺される。殺人者は死体を湖に捨てようとボートで漕ぎ出すが、途中で思い直す。これが15年前の出来事。チャックは湖で泳いでいる時、死体の一部を見つける。警察に届け出るが、戻ってみると死体がない。保安官ボイントンは気乗りうすだ。こういうところの保安官の常として、なるべくなら何もしたくないのだ。

湖畔殺人事件2

若い助手ジョンは何か知ってるようだ。彼によると、何件かの殺人事件らしきものがあったが、決定的な証拠はないとのこと。死体は男だったり女だったり。殺されたのか獣に襲われたのか。ただまあジョンはことなかれ主義の保安官よりはマシな存在のようで。そのうち今度は敷地内の森で男の死体が・・。こうなると子供達の安全も考えなければならず、夫妻はロスへ戻ることも考え始める。ただそうすると金銭的にかなり苦しくなる。引越してから全然仕事をしていないので、見ながら不思議に思っていたが、チャックはサーフボードか何かの店を始めたらしい。まあロスにいた頃のようにあくせくせずにすむが、収入はぐんと減るだろうなあ。店ははやってるようには見えないし。夫妻とは逆に子供達はここの生活に慣れ、田舎も悪くないと思い始めたところなので、戻りたくはない。さて、殺人事件が起き、じゃあ誰が怪しい?・・となるわけだが、その描写はありきたりだ。いつも武装して気が立ってるヘンリー。ここから出ていけと夫妻を銃で脅し、夜家のまわりをうろつく。すっごく怪しい。夜探検に出かけたスティーヴィーはヘンリーと出くわすが、かえって彼に興味を持ち始める。レイチェルは彼が一番怪しいと思っているが、スティーヴィーにはそうは思えない。ヘンリーにはちゃんと彼なりの考え、目的があるように思える。落とし穴を作ったり、槍を用意したりと、ヘンリーの行動はスティーヴィーの冒険心をくすぐる。家族は彼のことスティーヴィーと呼ぶが、ヘンリーだけは子供扱いせずスティーヴンと呼んでくれたし。てなわけで見ている側としてはヘンリーに大いに期待するのだが、あっけなく殺されてしまう。別に殺さなくても・・重傷にしといて、ラスト回復して再登場するとか・・。サバイバリストの彼はスティーヴィーのいいお手本(でもないか)になりそうだったのに・・。リサにはデビーという友達ができた。デビーの母親ルースは気さくでうわさ好き。レイチェルのいい話し相手だ。ルースの夫ドウェインはいつも電気屋のイライとつるんでいて、何かとヨーマン一家に嫌がらせ(軽度だけど)する。さして悪意はなく、要するに都会人に対する田舎者のひがみってとこか。あれこれ思わせぶりなそぶりやセリフを吐くが、こいつらは関係ないな・・とすぐわかる。後半出てこなくなるし。隣人マルコムはジョンの父親。亡くなった妻マーサを今でも愛している。

湖畔殺人事件3

交通事故で・・と言ってるから、冒頭殺された女性とは無関係だな・・と思わせるが、見ている方はだまされない。こいつがたぶん・・と確信。そのうちわりとあっさり・・。こうだろうな・・と思ってるとその通りになるので、意外性はない。何かあっても画面が暗くなり(たぶんここでCMが入るのだ)、次のシーンへ飛ぶので、ハラハラしない。通り過ぎていく感じ。殺人事件を解くのが目的と言うより、バラバラだった家族が田舎へ移り、ピンチを乗り越えることでまとまっていく・・という感じ。家には広い地下室があったり、玄関以外から中へ入ることができるとか・・。一家が家の一部しか知らずに暮らしているのが不思議だった。私ならしらみつぶしに見て回る。マルコムがマーサを殺し、地下の一室に死体を置き、さびしくないようにと他の死体も並べるというのは、さほどショッキングではない。まだあと30分以上もあるのに犯人ばらしちゃって、この後どう持たせるのよ・・ってそっちの方がショックだった。だってマルコムっていやなオッサンだからあまり見ていたくないのよ。演じているのはバリー・コービン。あぶらぎっていて汗臭そうで、メガネなど小道具をそれらしく使い、ここぞとばかりに狂気を熱演するけど、暑苦しいし鼻につく。で、ビデオカバーにあったハンサムな若者はジョンで、演じているのはジェフ・カイザー。私こういうかわいらしいタイプに弱いんですの。もう少し線が細ければラミ・マレック。どことなくブレンダンにも似ていてウヒ。15年前彼はまだ8歳で、両親の間に何が起きてるかなんて知らない。ママが夜こっそり家を抜け出そうとしているのを見てパパに知らせただけ。でもそのせいでママはパパに殺されちゃった。パパは一人では運べないからと、死体運びを彼に手伝わせた。つまり彼は殺人のきっかけを作り、手伝いもしたのだ。マルコムみたいなやつは、悪いのは全部他人・・ってことになる。○○のせい、××のせい。自分は今でも妻を深く愛しているいい人。彼らは昔例の家に住んでいた。彼らの後移ってきたジャクソン夫婦は夏に滞在するだけだったから、問題なかった。でも今度のヨーマン一家はずーっと。あいつらは邪魔者だ。悪いことにレイチェルはなかなか魅力的だ。ジョンは彼女に母親の面影を見ているようだ。マルコムはマーサを愛しているが、その一方で彼を捨て、他の男と逃げようとしたことは絶対許せない。

湖畔殺人事件4

何でも人のせいにする彼のことだから、「マーサが悪い」がめぐりめぐって「レイチェルが悪い」となるのだ。同じ論理でチャックは他人のもの(妻)を盗んだ泥棒ということになる。しかも彼はレイチェル殺しを自分でやらず、ジョンにやらせる。ジョンに殺させ、それをネタにこれからも自分の支配下に置こうという魂胆。何てずるいやつ!斧が出てきた時は見てる人全員思ったはず。ジョン、この斧でマルコムやっちまいな!・・でもそうならずだらだらもたもた。レイチェルを殺そうとして果たせず、ジョンが「ママ、僕のママ」と抱きつくところはいちおう泣ける。さてこの映画死体がいろいろ出てくるわけだが、どうも統一性がない。森で見つかった男は実はマーサの不倫相手だった!とか、地下室のはジャクソン夫妻だった!とか、そういう設定くっつけてもよかったのでは?あのままだとどういういわれの死体(←?)なのか全然わからない。全部マルコムが殺したのか、ジョンが殺したのもあるのか(ないよね!)。そもそも家を手放したのはなぜ?でもまあジェフ君見てるだけでたいていのことは許せちゃいます。異常な育て方をされた不幸な青年という点では「サイコ」のノーマンのようでもあり、「聖なる狂気」のダークリーのようでもある。落とし穴に落ちた時にはあら?死んじゃうの?と心配したが、大丈夫だった。保安官に撃ち殺されるかと心配したが、大丈夫だった。ホッ!たぶん保安官もうすうす感づいていたのでは?レイチェル役ヴァレリー・ハーパーは名前だけは聞き覚えがある。目のあたりがスティーヴ・レイルズバックに似ていて、見ていておかしかった。表情とかしぐさが舞台演技っぽい。チャック役ジェラルド・マクレイニーはハゲ上がっているがなかなかのハンサムで、いい声をしている。ヘンリー役ダリル・アンダーソンはブルース・ダーン似。ジェフ君はいくつか出演作はあるが今は?めぼしい情報なし。でもこういうタイプは若いうちが華で、年取ったところは見ない方がいいのかも。事件後・・こんな目に会ったら(殺されそうになったし、家は全焼)普通さっさと出て行くところだが(「アラクノフォビア」みたいに)、ここにとどまろう・・となるのがよかった。何よりもリサとスティーヴィーがここにいたいと思っていて。そこがとてもよかった。後味よろし。ラスト、湖に浮かぶ不気味な物体(枯れ木?)も非常によろし。見てよかった。