コベナント

コべナント

DVDをレンタル。「コべナント」とは誓約というような意味らしい。「クロウ -真・飛翔伝説-」に続いて「悪魔と天使」も出る。エドワード・ファーロングのファンはうれしいんじゃないの?2005年とか2006年の日本未公開作品を、今頃になってDVDで発売。うんと妄想をたくましくすると、「ターミネーター4」の公開のせいかな・・なんて。公開に合わせて前のがテレビ放映される。これから「4」見ようという人が予習復習しようと旧作レンタルする。そうすると「2」のはかなげな美少年に当然目が行くわけで・・。今はどうなっているのかしら・・と再びレンタル店に急ぐ。私がほとほと感心したのはDVDのカバー。これ絶対修正してある。削ってある。実物と違う。詐欺。「クロウ」はまだ見てないのでコメントできないが、「インターメディオ」ではコロッコロ。あごは二重、おなかぽっこりの肥満児。「コベナント」のカバー・・よくできてる。これなら美青年に見える。でも出てきたのは・・。じゃあ「悪魔」はどうだ。上半身もうつってる。スマートに見える。でももうだまされない。こんなに細いわけがない。ネットで予告見てみる。ウーム、思った通りだ。顔が丸い。それにしてもこの題名は何だ?ここまで恥も外聞もなくあからさまに乗っかるとは。発売時期も「天使と悪魔」の公開があらかた終わって、DVDの発売はいつかな・・と世間(←?)が思う頃狙ってる。偉いなあ「地球が静止した日」みたいじゃないか。それがどうしたって?だからキアヌのは「地球が静止する日」なんですってば。他にも「トランスモーファー」とか「天使VS悪魔」とか・・もう危ないったらありゃしない。間違えてレンタルしそう。「クロウ」だって順番から言えば「5クロウ」だけど、さすがにそこまではボケません。何でいつまでたっても本題に入らないのかって?いちおうファーロングのこと心配しているんですよ。こういうタイプは小さい時はいいけど、大人になると困る。まず背が低い。IMDbでは170センチになってるけど、そんなにないと思う。たいていの女性より低い。彼の場合それだけじゃなくて首が短い。そして猫背。余計小柄に見える。背広とか似合わない。と言ってTシャツだとぽっこりおなかが目立つ・・と言うか、はみ出している。要するに何を着ても似合わない。ヘアスタイルだけは子供の頃とあまり変わらない(「悪魔」ではチリチリだけど)。

コべナント2

ファーロング扮するデヴィッドは大手PR会社に勤めていて、ある大仕事をまかされようと意気込んでいる。奥さんがいてりっぱな家に住んでいる有能なビジネスマン。でも・・全然そんなふうに見えない。大した才能もないのに自信だけは持ってる青二才って雰囲気。彼は結局ライバルのトニーに仕事を取られてしまう。失望しているのを見て気の毒・・と思うより、上司がトニー選ぶのムリないよな、デヴィッドじゃ危なっかしいもん・・と納得しちゃう。これじゃ映画としてまずくないか?奥さんリサ役は「サイレントノイズ」のチャンドラ・ウェスト。この映画の救いはリサが賢いこと。デヴィッドは仕事で成功することやお金を手に入れることばかり考えていて、家庭のこと・・例えば子供を持つこと・・などは二の次。そんな夫に多少不満は感じているものの、リサは表に出さない。失意のデヴィッドは散歩の途中(散歩と言うより酒を買いに行っただけだが)何者かにスプレーをかけられ、失明してしまう。弱り目にたたり目だが、リサはデヴィッドを心配し、やさしくはげます。友人ハリー(彼とデヴィッドは更生施設で助け合った仲らしいが、詳しいことは不明)も力になろうとするが、今のデヴィッドには彼らの気遣いは通じない(無理もないけど)。ある日デヴィッドに魔の手がのびる。ギレルモ・リスト(マイケル・マドセン)という男から電話が来る。目を治してやれるかもしれない・・なんて言われれば、そりゃあねえ。藁にもすがる思いで会いに行く。視力を取り戻すのに何を差し出す?何でも差し出す・・となるわな。普通こういうのだと魂を・・となるけど、この映画の場合は杖を渡され、自分が理想とする男になれ・・と言われる。デヴィッドの理想の男は、トニーから仕事を奪い返し(ついでに汚い手を使って追い払う)、お金を湯水のように使い、女(秘書のアニカ)をもてあそぶ・・これくらいか。元々小物だからね彼は。そういう積極的な男に変身しても、ファーロングの外見だとあんまり映えない。子供っぽいのが背伸びしているとしか見えん。うまくできていると思うのは、戻ったはずの視力が時々かすんだりゆがんだりすること。いちおうリストはもっともらしいことを言うが、デヴィッドにしてみればまた失明するのではないかと不安になり、ますます道を踏みはずす。相手の不安をあおってさらに金をだまし取る振り込め詐欺みたいな手口だ。

コべナント3

デヴィッドとリストの会話シーンでは、カメラがぐるぐる回る。へたなうつし方だと思う。何で二人をじっくりうつさないのか。サスペンスムードを盛り上げるどころか、腰のふらついたヘナチョコ映画に見えてしまう。小道具として出てくる杖がまたひどい出来。いちおうもっともらしい、しかしウソくさい由来が説かれる。500年前イタリアにダンテ・バリサリオという男がいて、狩りで失明した後杖をたくさん作った。彼には木の精霊が取りつき、悪魔的な所業のせいで最後は磔になってしまう。彼の死後も魔力を持った杖は人知れず存在し・・リストやデヴィッドの手にある。杖が力を発揮するには失明が条件。リストやデヴィッドの目が見えるのは、治ったからではなく杖の力によるもの。杖を手放せばまた視力を失う。これらうさんくさい説明に、聖書の一節がつけ加えられるが、誰もそんなこと気にしないと思う。デヴィッドはとうとう殺人まで犯す。正気に戻って恐怖や後悔にすすり泣く時もあるが、全体的には杖にあやつられ、破滅への道を歩む。リストが言うには、杖自体には力はなく、持った者の心の闇が力を持たせるのだそうな。確かにデヴィッドは、何かあっても自分と向き合わず、○○のせいだ・・と責任転嫁する。こういう性格だから(悪魔に)つけ込まれたのだな・・とわかる。ここらへんの設定はいいと思うが、いかんせん描写・ストーリー展開がゆるく、しまりがない。意味もなくデヴィッドの家が何度もうつったり、何かよくわからんうちに次のシーンに移って、それもまたあいまいのまま・・。かっちり決まるところがない。中心となるべきファーロングに求心力がない。彼の起用は半分は成功し、半分は失敗だ。美しくはかなげで同情を誘うという点では成功である。カバー写真の効果もあって(だまされて)、レンタルする。でも、仕事ができるのにむくわれない男、望みをかなえるためならどんな汚いこともする邪悪さを秘めた男となると・・。見ている者をはらはらさせ、どんな結末になるのかと期待させるキャラにはなっていない。だから見るのは時間の無駄なんて酷評されちゃう。私も「インターメディオ」の方がまだマシかも・・と思いながら見ていた。同じゴミ映画で、あっちはもっと太っていて見苦しかったけど、それでもね。がんばって悪あがきしていて、つい応援したくなって。こっちのデヴィッドは応援する気にもなれない。

コべナント4

そのうち、時間が来たから仕方ないクライマックスにするか・・ってな感じでハデなシーンに突入するけど、これがまたひどい。デヴィッドとリストの対決はアホくさいし、その前の部分もなあ・・。何とかデヴィッドを助けようと奮闘するリサ。デヴィッドを仲間に引き入れようと企むリストにとっては、彼女は障害。取り除かなければならないが、それはデヴィッドの手でなされなければならない。アジト(?)に連れてこられたリサの胸に、デヴィッドの杖が突き立てられる。あら、リサ死んじゃうの?でもその後リサとデヴィッドは逃げ出す。あら、リサケガは?何で元気に走り回れるの?一回目見ている時はわけわからなかったけど、二回目気がついた。胸に杖が刺さるのは幻影なのね。つまりリストが手を添えて刺したってリサは殺せないの。デヴィッド自身が殺意を抱いて刺さない限りはね。これもいい設定だと思うけど、二回見てやっとわかる・・なんていうんじゃまずいと思うんですけど。ふらふらしていてちっとも野心家に見えないデヴィッドとは違い、リサには夫を助け出したいという明確な目的がある。デヴィッドはすぐ弱音を吐くが、リサはあきらめない。謎を解いていく過程で死体が増えるが、怖さはない。この人は殺されるな・・ってわかるし、その通りになるので意外性もない。一番怖いはずの杖も・・前にも書いたけどひどい出来。握りの部分が悪魔の顔になっていて、CGで動くんだけどもうかんべんしてよ・・って感じ。なまじ動かすからばかばかしくなるのだ。ものすごく邪悪なデザインにして、光の当て方で怖さを出すとか・・。この杖のCGと、クライマックスの対決のCGと、あと動く壁があったな。一回目は意味不明、二回目にああ、あれが木の精霊か・・と気づいた。まあどれもこれもろくなCGじゃない。ラストは・・「ディアボロス」に似てないか?工夫のない結末だと思う(暗い結末よりはいいけど)。その後余計なシーンがくっついている。なぜかトニーが失明していて、リストが近づくのだ何じゃそりゃ。まあけなしまくりの本作ですけど、とりえもあります。何だかんだ言ってもファーロングが出ているから見る気になったのよ。知らない人の主演だったら見ないし、こういうのがあるってことすら気がつかなかったと思う。似合わない服着てリサに「高校教師みたいだって言うんだろ」と言うのがいい。教師じゃなくて生徒の方だってば!

コべナント5

もう一つ・・ラスト近くの「全然見えないけど生きてる!」っていうのがねえ・・ちょっとウルッときます。結局デヴィッドは盲目のままなんです。杖の誘惑振り切って・・元の状態に戻れるのか・・戻れないんです。闇の世界に逆戻り。でも今の彼には生きていられるだけ幸せ、リサがいてくれるだけで幸せなんです。視力も仕事の成功も大金も杖の力で得た見せかけのもの。でもリサの愛は本物。デヴィッドは何が一番大切かやっと気づくんです。・・結局悪魔は「よいこと」をしたの?この映画で私が一番気に入ったのは運転手役の人。リチャード・ストローとかいう人で、日本では全然知られていないと思う。ホラーによく出ているようだ。リストの運転手として何回か出てくるけど、これがなかなかステキなんですの。デヴィッドを迎えに来て並んだりすると、ファーロングはチビだから、背が高いのが目立つんですの。しゃべると声が・・深みがあっていいんですの。すごいハンサムってわけじゃないけど、登場するとえもいわれぬミステリアスなムードが高まるんですの。この映画怖さもないし謎めいたところもない。ゆるくてしまりのないだらけた感じの映画。でも彼だけは例外。彼だけは「謎」なの。リストが杖を手に入れたのは戦時中(ナチスの一員らしいがなぜか英語しゃべる)。その後60年はたったけど年を取らない。運転手もずっとそのまんま?彼がデヴィッドにスプレーをかけた犯人?パーティでは彼も杖を持っていた・・彼と杖との関係は?杖に宿った悪魔の化身?骨董店の店主は?彼の分身だとしてもおかしくない。・・ほらね疑問がいっぱいで、彼に対し興味がわいてくる。わくわくする。彼に関しては正体不明のまま終わってもいいの。こっちでかってに妄想するから!は~ホントステキだわ~もっとちゃんとした映画での彼を見てみたい。良質なホラー作品での謎めいた重要キャラの実現希望!!・・てなわけでいつも言ってることだけどどんなクズ映画にもとりえはある・・と。クズ映画ばかり出ている(たぶん)ファーロング君だけど、カゲながら応援してます。まだ若いんだし、身長は無理でも体重はコントロールできる。修正写真でファンをだますのやめましょう(って彼のせいじゃないってば!)。やせて姿勢よくすればしばらくは美青年で通せる。逆にもっと太って薄気味悪い役やってピーター・ローレみたいな個性派になるって手もあるよ。がんばってね!