近距離恋愛

近距離恋愛

公開三週目、平日午後、お客は五人。あまり評判はよくない。ありきたりのラブコメディーだろう。テレビ放映まで待ってもいっこうに差し支えない。パトリック・デンプシーのファンでもないし。でもミシェル・モナハンにはちょっと興味ある。手の届かない美女(例えばニコール・キッドマンとか)という感じではなく、隣りのきれいなお姉さん風なのがいい。ちょっとリヴ・タイラーに似ていると思う。10年前、クリントンとモニカのスキャンダルの頃・・大学寮のパーティの夜。トム(デンプシー)がベッドにもぐり込むと、そこにいたのはお目当ての女性ではなくルームメイトのハンナ(モナハン)。つまり人違い。遊び人のトムはハンナでもいっこうにかまわないが、ハンナはまっぴらごめん。自分のことを大切に思ってくれる人でなきゃいや。妙な出会い方をした二人だが、その後親友になる。気が合い、一緒にいて楽しいがあくまでも親友のまま。トムは毎日違う女性を引っかけ、ハンナは理想の男性を求め続ける。ハンナが仕事でスコットランドへ飛ぶと、トムは彼女を恋しく思っていることに気づく。戻ったハンナは貴族の青年コリン(「ハンニバル・ライジング」のケヴィン・マクキッド)と一緒。二週間後に結婚するから花嫁つき添い人になって欲しい。それも筆頭の・・。ん?最近似たような内容の映画見たぞ。男性なのに花嫁のつき添いやるので、トムはゲイと間違われる。ハンナへの気持ちに気づいたトムは、何とか式をつぶそうとする。・・最初はトムの職業が何なのか全然わからなくて。働いていないようなんだもの。特許料で暮らしているのかな。ハンナは美術館で働いているようだが、そういうシーンはほとんど出てこない。二人の恋の行方・・そればっか。トムもデンプシーだからうじうじうじうじうじうじうじじ。ハンナの気持ちもわかるのよ。トムさえその気になってくれれば、応じる用意はある。牧師にコリンのこと聞かれても何も話せないシーンが印象的。トムのことならすらすら話せただろう。でもトムはハンナの気持ちを正面から受け止めてくれたことはない。・・それにしても相手とっかえひっかえの男性と結婚したいと思います?結婚するにしても血液検査してからでないと。自分の安全のためにも。この映画多くのことをほうりっぱなしだ。クライマックスでのわざとらしい馬のシーンは何?犬のシーンもよくわからない。

近距離恋愛2

ハンナのこと犬って言っていたようだから、犬を見て彼女を思い出したってことなのかな。他の出演はトムの父親にシドニー・ポラック(これが遺作か?)、ハンナの母親にキャスリーン・クインラン。コリンには見てる人全員同情したと思う。トムとその仲間はバスケットボールで彼をコケにするが、コツを飲み込めばコリンの方がうまい。シャワーシーンは下品だが、それはトム達の方。コリンは下品さとは無縁。団結してコリンを陥れようとするトム達はやり方が汚い。コリンは私生活ほじくっても何も出てこないが、トムはさぞほこりが出てくるだろう。いよいよ式が近づき、舞台はスコットランドへ。ニューヨークとは別世界。この雄大さ、テレビじゃ伝わらない。空気の違い、しめりけまで感じる。風俗が違う、言葉が違う、歴史が違う。ヤンキーにとってはイングランドもスコットランドも区別つかないが、スコットランドはスコットランドなのだ!コリンは貴族でウィスキーの製造やっててお城に住んでいる。お城への道を車を連ねて走るシーンは美しく、CMのよう。ハンナは別世界の人と結婚してうまくやっていけるのか。仕事に未練は?家族や友人と離れることは?風習・言葉・食べ物・主義の違い。ハンナは動物愛護派だが、コリンは狩りの名手だ。コリンはトムと違いハンナだけを愛してくれる。でもそれ以外のことではハンナは多くのことをがまんしなければならないだろう。トムと一緒になるならその必要はない。便利な暮らし、仕事、家族や友人・・そのままでいい。こっちの方が楽。二人に感情移入できないのはそのせい。がまんしない。欲しけりゃ取ればいい。例え式の途中の花嫁でも・・。ラスト、やっと結ばれようという二人は10年前と同じくふざける。ビル・・モニカ・・何という趣味の悪さ。コリン、これでよかったのよ。トムみたいなやつ相手にしたって自分がけがれるだけ。あなたのミスは、相手をよく知らないまま結婚しようとしたこと。それはハンナも同様なんだけどね。面目をつぶされたコリンだけど、怒って相手をののしるとか、そういうふうにはなって欲しくなかった。だから彼の怒りのおさめ方にはちょっとホッとした。全体的にはおもしろく、見に来てよかったと思う。でもトム達には鼻持ちならない・・そんな印象がどうしてもぬぐえなかった。遊んで暮らしているんだからいい気なものだ。それにしてもデンプシー君、好調だね。