キラー・ウィンド/嵐の中の猟奇殺人

キラー・ウィンド/嵐の中の猟奇殺人

時々中古ビデオ売場へ行く。いつ行っても同じものが(売れないまま)並んでいるが、それでも隅々まで見て回る。ホンネを言えば毎日でも行きたい!今はレンタル店へ行っても主流はDVDで、ビデオはわずか。だから中古売場にはそっちから流れてきたのがあふれているはずだが、そうならないのが不思議。処分しちゃうのかしら(もったいない!)。売場はいつも閑散としていてお客は私一人なんてことも多いけど、なくならないで欲しいな。「キラー・ウィンド」を買ったのはもちろんスティーヴ・レイルズバックが出ているから。見たところはホラー。それも安っぽいホラー。題名がそうだし、ビデオカバーがまたいかにも・・な感じ。レイルズバックの名前だけ四角で囲んであるのはなぜかな、有名だから?(ウヒヒ)ただ、ビデオカバーの裏の写真にレイルズバック全然うつってないのが不満・・いや、不安。女流ミステリー作家ショーンは、作品の仕上げをするためギリシャの海辺の町モネンベシアへ。そこで家を借り、しばらく一人で過ごすつもり。家主エリアスによると、この時期は風が非常に強いので、夜は外に出ない方がいいとのこと。家にはカギのかかった戸棚があるが、息子の銃が入っているので開けないように。家に着くと中はなぜか散らかっている。エリアスは雇い人が能なしだと怒るが、ショーンは気にしない。一人になると家の中をかたづけ、仕事にかかる。雇い人のフィルにも会ったが、どことなくうさんくさい男だ。夜になり、エリアスの言った通り風が強くなってきた。エリアスやフィルに刺激され、(殺人の)イメージがわいたのか、文章がすらすら出てくる。ふと外を見るとフィルが何かを埋めている。ちょうど雇い人がクビを言い渡されて逆上し、雇い主を殺すという場面を書いていたところ。まさか同じことが起きているとは思えないが、このままじゃ気になる。フィルが何をしていたのか確かめてみよう。ショーンは懐中電灯を手に、強風の中のこのこ出かけていく。地面からは手がはみ出していた。見覚えのある指輪・・エリアスのだ!映画の出だしはこんな感じ。女性が一人、外は嵐、殺人事件、恐怖の一夜・・というのは、エリザベス・モンゴメリー主演のテレビムービー「嵐の夜の惨劇」思い出す。あの時の犯人役はジョージ・マハリスだった。今回はレイルズバックだろう・・と見る人全員思うだろうけど・・違った。

キラー・ウィンド/嵐の中の猟奇殺人2

何十年も前に一度見ただけの「嵐の夜の惨劇」だけど、印象は強い。登場人物が少なく、モンゴメリーの一人芝居が続くせいだ。こっちの映画もそう。だからヒロインは演技がうまくて見る人の心をつかむ容姿をしていないと、映画が持たない。その点ショーン役メグ・フォスターは条件を満たしていると思う。色のうすい目がとても印象的。何度もクローズアップされる。冒頭部分はちょっとはっきりしない。ショーンと夫のジョンがソファでいちゃいちゃ。ジョン役は何とデヴィッド・マッカラムだ。「呪われた森」をすぐ思い出す。どうでもいいような(ストーリーにあんまり関係のない)存在感のうすい夫。やさしくて誠実だけどいざという時にはそばにいない夫。マッカラムは若く見えるけどこの頃はとっくに50過ぎてる。ずいぶん年の離れた夫婦ということになる。すぐ危険なことに首を突っ込む妻に、ジョンは心配顔。最初はショーンの感じから、旅先で何かやらかすのかな、年上の夫(ジョンは自分でも「疲れ果てた中年」と言い、精力的な妻をやや持てあましぎみ)にあき足らない奔放な妻が、浮気でもしてトラブルに巻き込まれるのかな・・なんて思ってた。でも違った。夜かと思ったら外は明るくて、飛行船が飛んでる。そしてジョンからの愛のメッセージが流され、ショーンを感激させる。二人がとても愛し合っていること、ジョンがお金持ちであることがわかる。次にプール脇でショーンが友達とだべっているシーンが入る。ギリシャへ行く前に友人の家に寄り、夜明けの愛のメッセージのプレゼントのことを話して(のろけて)いるのだ・・と思う。その後ジョンが彼女を空港まで送るシーンになるので、ちょっと変な感じがする。わざと順番を入れ替えているのかもしれないけど、へたくそなやり方だと思う。変わったことをして失敗するのはラスト近くのカップル登場シーンも同様。ともかく運転手つきの高級車からして、ジョンがお金持ちなのはわかるけど、どういう仕事しているのかは不明。寝ていたりプールで泳いでいたりそんなシーンばっか。レイルズバックはどんな役かしら。きっとジョンとは何もかも対照的なんだろうな。彼、ショーンと恋に落ちる、お金持ちの貴公子って柄じゃないもの。

キラー・ウィンド/嵐の中の猟奇殺人3

ショーンだって家ででもできる仕事なのにわざわざ海外へ出かけるくらいだから、金持ちの奥様が半分道楽でやってるような感じ。生活のために必死で書いてるというイメージはない。さて、ギリシャに着いたショーン。エリアスは歩きながらひっきりなしにしゃべる。このシーンはなくてもいいようなものだし、もっと短くてもいいものだ。でも映画の一つの見せ場でもある。この映画は分類するとすれば凡作・愚作・駄作のどれか・・あるいはその全部ということになるのだろうが、いいところもある。まずヒロイン、フォスターの魅力もあるし美しい風景というのもある。それ以上にエリアス役ロバート・モーレイのいやなやつぶりも見ものである。どんなダメ映画にもとりえはあるのだ。エリアスはこの後すぐ殺されてしまうので、モーレイの出番は少ないのだが、それでも印象は強い。彼は金持ちで、このあたりでは成功した部類かもしれないが、他から見ると大したことはない。でも彼にとっては自分が一番上で、他は皆彼より下。女性、ギリシャ人、雇い人・・その他すべての者・・自分以外のすべての者を見下している。口が悪く性格も悪いからまわりには嫌われているはず。でも別の見方をすればすごく率直であるとも言える。初対面のショーンに対してもずばずば言う。ショーンは口答えもせず神妙に聞いている。心の中でどう感じているかはともかく、すぐ頭にきて反論し始めるような単純で攻撃的な女じゃない。かえって作家として観察しているような、そんな雰囲気がいい。それにしても彼女はノーブラだ。この後別の服に着替えるが、フィルと出くわした時もノーブラ。女性解放運動の一環か、見ている者へのサービスか。でも見知らぬ土地、見知らぬ男性の前でそういう格好するのは危険だと思うが・・。まあこの映画はそっちの方・・いやらしい方向へは(なぜか)行かないんだけどね。とにかくモーレイの演技はよかった。夜になって風で窓がバタバタし始めてもショーンは気にしない。うるさくないのかしら。窓が開いていたせいで犯罪を目撃するはめになる。で、フィル役だけどウィングス・ハウザーとか言う知らない人。フィルがこの先重要な役割を果たすんだろうけど、ハウザーに何の魅力もないのが惜しい!レイルズバックの狂気演技・迫真演技期待してこのビデオ買ったのに、こんなわけのわからんやつが出てきちゃって・・。

キラー・ウィンド/嵐の中の猟奇殺人4

このハウザー、調べてみてびっくり。コール・ハウザーのお父さんなのよ。そう言えばどことなく似ている。出演作リスト見ると二流・三流映画だなってすぐわかる題名が並んでる。でも考えてみりゃ名作・傑作なんてほんの一握り。大半は凡作・クズだ。レンタル店の棚見りゃわかる。いくつかの言葉並べ替えただけの題名。ブラック、ホワイト、ダーク、ドッグ、コップ、インフェルノ、ウォー・・。でも・・そそられるのはそっちの方なんだよな。ハウザーパパの作品は見たことないし、見ても忘れてると思う。(出演作の質は)息子コールの方がパパよりマシかも。ハウザーパパは私から見ると完全にミスキャスト。何でレイルズバックにしなかったのかな。彼がフィルやっていれば、この映画かなりのものになったはず。内容や演技が的はずれなものになっていたとしても・・つまり、大熱演だけど空回りとか・・それなりの迫力は出ていたはず。「スペースバンパイア」だってそうでしょ。最初は何じゃこりゃ~って引っくり返るけど、失望や不満は感じない。作り手や演じ手に変な熱気があって、見る者に失望や不満を感じさせない・・と言うか、感じることを許さない。ともすればわき出すそれらのマイナス感情を、力でねじふせる。見終わって感じるのは何だか知らないけど感動したってこと。その再現をこの映画に期待するほど私もバカじゃないけど、ヒロインと対決する悪役となればフィルに、ハウザーに期待が高まるのも無理ないでしょ。ところが・・大はずれ。何やら物音がして、ショーンが行ってみると誰もいない。でも玄関に食料を入れた袋が置いてある。ってことは少なくとも泥棒じゃないから、その点は安心だけど、合鍵を持っててこの家に自由に出入りできる誰かがいるのはまずいんじゃないの?貸家と言ってもかなり広くて目が届かないので、女一人で住むにはちょっと不用心。でも広くないと映画が持たないんだよな。ヒロインと悪人との追いかけっこなんて、日本風の一間の貸家じゃムリ。フィルはまだ若く、言葉も通じるからショーンにとっては気楽な相手。礼儀正しい好青年で、ショーンを安心させといて、ある時突然豹変・・なんていうひねりくらいあってもいいのに全然。最初からうさんくさい、信用できない、なれなれしい。異国でのちょっとした恋の予感なんて浮かぶはずもなく・・。あの~これでもう主要なキャラ出揃ったと思うけどレイルズバックは?

キラー・ウィンド/嵐の中の猟奇殺人5

口の悪いエリアスにはショーンだって反感持った。でも彼にはいちおうけじめがあって、ショーンは自分にお金を払ってくれる人だからそれなりのことはする。でもフィルは自分がお金を払っている雇い人。だからちゃんと仕事をすべきだ。それなのに彼はさぼっている。貸家の中は散らかり、自分に恥をかかせた。こんなフィルにエリアスがいつまでもがまんできるはずもなく、クビを言い渡す。逆上したフィルは・・。そのシーンと、ショーンがタイプを打つシーンとを交互に見せる。ショーンの文章通りのことが隣りで起こっているなんて現実にはありえないけど、まあ映画だからね。それにこんな文章が浮かぶほどフィルには危険な匂いがぷんぷんしていたってことで。彼から感じられるのはエリアスへの憎しみ、クビにされることへの恐怖。お金はないし、どこへも行く当てがない。彼はせっぱつまっている。それでいて彼はろくに仕事をしない。なまけ者だし無責任。悪いのは自分ではなくまわりという甘ったれ。フィルとちょっと話しただけで、ショーンには彼の性格がわかった。好意は消え、警戒心が生まれる。とは言えまさか着いたその晩、殺人事件が起きるなんて予想してない。フィルが何かを埋めているらしいところを目撃しても、すぐにはどういうことなのか理解できない。もし本当の殺人なら超ヤバイ(夜だし風が強いしまわりは空き家だし。自分はかよわい女だし一人だし。何よりもここは言葉の通じない異国だし)が、それでいてのこのこ外へ出る。明かりを消し、厳重に戸締りをし、何か武器になるものを捜し、じっと息を潜めて様子をうかがう、朝を待つ・・なんてことはしない。作品の中ではしょっちゅう殺人を扱っていながら、現実となると恐ろしく軽率な行動を取るのだ。まあそういう彼女の性格を強調するために、冒頭でジョンに心配させたんだろう。きっと彼女は前にも何かトラブルに巻き込まれて夫を心配させたのだ。でもちっともこりていないのだ。さて私の心配は待てど暮らせどレイルズバックが出てこないことです。殺人が起きたわけだから、刑事の役で出てくるのかしら。年齢から言ってペーペーの警官ということはありえない。それだったらまだ・・と言うか、それしか望みはないじゃないの!でもここはギリシャ・・、ギリシャ人の役?

キラー・ウィンド/嵐の中の猟奇殺人6

それにしてもショーンがタイプ打ってるシーンで思いませんでした?雇い人がクビを言い渡されて雇い主を殺すなんて、どう考えたってミステリー小説の導入部。仕上げの段階だなんて思えない。エリアスとフィルに出会ったせいで、新しい小説の構想浮かんだのかしら。後でフィルがタイプされた用紙を見つけて読んで、「何だこれは、くだらん小説だな」とばかにするんだけど、文章から言って仕上げをするつもりだったのはそっちの方かも。さて、殺人を目撃し、それをフィルに知られてしまった(知らせてしまったと言ってもいい)わけだから、この後は当然追いかけっこ、知恵のしぼり合いとなる。作り手の腕の見せどころだが、これがどうにも盛り上がらない。モタモタしていて工夫がない。ショーンが私の思い違いかも・・と迷い、その後やっぱりフィルが犯人とわかり、「悩んで損した」と独り言を言うところはよかった。振り込めサギだろうがマルチ商法だろうが殺人の目撃だろうが、普通の人はまず思うもの。こういうふうに見えたけどもしかしたら私の思い違いかも。ちゃんと説明のつくことなのかも・・って。あとはそのままずるずる行くか、いいや、やっぱりこれは犯罪なのよ・・となるかの違い。ショーンはわりあい早く気持ちを切り替えた。動きやすい服装に、運動靴をはく。もうノーブラじゃありません(たぶん)。きりりとした、ネコのような冷たい目のフォスターの持ち味が生きてくる。ただのおびえているだけの白痴金髪ボインじゃない。そりゃショーンは海軍の特殊部隊にいたわけじゃないから、することは間が抜けていたり、不十分だったり、不器用だったり。でもフィルが彼女以上にバカで間抜けでぶきっちょなので、最初から結末は見えてる。彼の方が絶対有利なのになあ・・。男だし、家の作りや周辺の地理熟知してるし。彼がやられっぱなしなのは解せない。もう映画は半分以上来ている。このままレイルズバック出てこないで終わっちゃうのかな。最後に(事件が解決してから)ちらっと出てくるくらいなのか。それとも死体の役か。・・つまりフィルが今の仕事手に入れるためには、前任者の存在邪魔だったはずで・・。回想シーンで(殺されるとこ)ちらりと・・一瞬・・0.1秒。

キラー・ウィンド/嵐の中の猟奇殺人7

まあこのフィル、どうもクスリやってるみたいなんだな。いい気持ちになってとろーんとして、それで仕事する気になれない。その一方で気分がハイになることも。クソ度胸つける・・みたいな。アンプルみたいなの出して、割って、なかみを鼻で吸い込む。やり方は違うけど「ピッチブラック」での息子ハウザー思い出した。ハンサムで一見正義の味方、実は悪人。クスリ漬けの賞金稼ぎ。あのキャラの半分でもフィルに魅力があったら「キラー・ウィンド」も盛り上がっただろう。盛り上がらなくしているのはジョンも同様。「殺人犯に追われているの」・・愛する妻からこんな電話受ければ居ても立ってもいられないはず。遠く離れた異国でひとりぼっちの妻。言葉は通じないし、電話は途中で切れちゃうし。ショーンとフィルが追いかけっこ(またはかくれんぼ)をしている間、見ている我々は思う。今頃ジョンは空港へ向かっているはず、大使館に電話しせき立てているはず、飛行機の中でいらいらしているはず・・ってね。ところが・・次に電話が通じた時、ジョンを見た我々は全員自分の目を疑う。脱力する。へたり込む。引っくり返る。ジョンは自宅のプールでのんびり泳いでいましたとさ、うっそ~!!はい、ここで映画は終わりですよ。まだレイルズバック出てきませんけど、それでも終わりです。私あんまりこういうことはないんですけど、この時ばかりは思いましたよ「この監督ばっかじゃないの~!!」きっと・・私が思うに・・この映画途中でストーリーが変更になったのだと思う。ホントは飛行機の中とか空港の中とか大使館の中とかそういうのやるつもりだったのよ。でもお金が足りなくなってやめたんだわ。プール借りてとったシーン(友達とのシーンとジョンのシーン)は、せっかくだから使わにゃソンソン・・とムリにはめ込んだんだわ。そのせいで順番がおかしくなったり見る者を脱力させることになるって思わなかったのかしら。頼みのダンナがこの有様じゃ、これから先も期待できないわ。大使館にまかせたらもう安心・・って、プールから出たらビール飲んで昼寝となるのがオチ。それにしてもショーン、やっと電話が通じたんだからちゃんと言っとかないと。「フィル」が「エリアス」を殺し、どこどこに「埋めた」のを目撃した・・って。でないとアンタの身に何かあっても手がかりゼロですぜ。さて、ここでやっとこさレイルズバック登場です。

キラー・ウィンド/嵐の中の猟奇殺人8

大使館はそれでもちゃんと話を通してくれたらしく、地元の警察(交番?)へ電話が行く。でもここで見てる人全員再び脱力する。いや、もう前に脱力しているから今度は脱脂かな、脱水かな、脱皮でもいいや。電話を受けた警官、こんな夜中、風の中、出かけるのいやだ・・と無視するつもり。別に忙しいわけじゃない。誰かとゲームして遊んでいるところ。この給料泥棒、なまけ者!・・と、呆れるが、でもそのゲームの相手が・・。ああ!やっと出てくれたのね、出演していること忘れかけていましたぜレイルズバック!彼の名前は消すな~・・あれ?何でこんな変換・・ケスナーです。よくわからないが彼は船員らしい。天候が悪いせいでここで時間つぶしているのか。彼は何やらトラブルがあったらしい家へ、警官の代わりに行くことにする。いきなりの登場だし、素性もはっきりしないので、見ていてとまどう。敵なのか味方なのか。しかも家へ行くのに崖と言うか石垣みたいなところへばりついてる。何で道歩かないの?いくら近道でも夜だし強風だしそんな危険なところから行くかよ普通。でも彼全然気にしない。あ~あ、帽子も飛ばされちゃった。一方家の方ではショーンがナベに湯をわかしている。パスタでもゆでるのか。いやいやフィルにひっかけるのだ。でもこういうの見てるの辛いですぜ、バカバカしくて。でもケスナーが現われてくれた。彼は銃も預かっている(渡す警官も警官だね)。彼は全くの異邦人というわけでもないようだ。ここへは何度か寄港し、エリアスやフィルのことも知ってるようだ。警官が銃を預けるくらいだからいちおう信用されているのだろう。とにかく演じているのがレイルズバックだから安心はできない。何か裏がありそう。私が思ったのはフィルのクスリの入手先。ケスナーは船員。クスリ・船・密輸・・となりそうじゃん。またフィルは今回のエリアス殺しが初めてとも思えないふしがある。「なぜみんな殺させる」とか言っていたし(この言葉からもわかるけど、彼は都合の悪いことはみんな人のせいにする)、エリアスの奥さんも殺しちゃった。とにかくこれでやっとおもしろくなりそうだわ・・と期待が高まる。家にたどり着きドアをたたくケスナー。初めは警戒していたショーンも味方の登場とわかって一安心。

キラー・ウィンド/嵐の中の猟奇殺人9

フィルはお湯をかけられて逃げてしまった。後で現われた時ヤケドも何もしていないのはおかしいけど。ショーンは事情を話すが、ケスナーは半信半疑。せっかくの映画の重大な転換期なのに何やらのんびりムードで、さっぱり盛り上がらない。埋められたエリアスの死体も、納戸にあった奥さんの死体もなくなっているのだからケスナーが信じないのも無理はない。でも一度掘って死体を埋め、すぐまた掘り出したのなら地面にはその痕跡あるはず。フィルはゴミを埋めたように見せかけたが、肥満体のエリアス埋めるには相当掘り返さなくてはならなかったはずで・・。ゴミ袋一つじゃ説得力に欠ける。このままケスナーがショーン疑うようなら彼は怪しいな。フィルとグルかも。ショーンは死体がないのに落胆するが、それでもこのままケスナーがそばにいてくれれば安心だと思ってる。朝になって明るくなればもっと状況がはっきりするだろう。死体がどこに移されたにせよ、夫婦が生きて見つかることはありえない。フィルがこのまま逃げてしまってもいっこうにかまわない。逃亡は自白と同じ。そのうちつかまるだろうし、自分は旅を中止しさっさと帰国すればいいだけの話。とにかくひとりぼっちじゃないのがありがたい。安っぽいホラーならここで二人の間にロマンスが生まれる。そのきざしはある。危機は去ったように見えるし、家の中で二人きり。死体が見つからなかったにもかかわらず、ケスナーはフィルならそれくらいやりかねない・・と、ショーンを信じ始めている。お互いを気に入り始めている。ウヒョホなムード。でも・・次の瞬間・・モロモロの期待はすべて裏切られる。ええ、もうこっぱみじんに。私すごくびっくりしました。だって登場してからまだ13分かそこらしかたっていないのよ。もう出番終わり?フィルとグルで死んだふりしてショーンだましているんじゃないの?違うな、本当に死んじゃった。あらら~もうどうでもよくなっちゃったわ・・と言うか、本当にどうでもいいような結末に向かうんだけどさ。私が連想したのは「インフェルノ」。ピンチに陥ったヒロインの前に現われた好青年。彼なら助けてくれそう。でも次の瞬間・・。青年役ガブリエル・ラヴィアは「サスペリア2」に出ていたし、この映画でも活躍してくれそう・・という、見る人の期待をこっぱみじんに粉砕する。レイルズバックもあれと同じ、え~ん。

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それにしても何で彼こんなチョイ役で映画に出たのかな。ハウザーやフォスターよりレイルズバックの方が(ずっと)名前知られている。だから少しでもホラーファン引きつけるために出ることになったのかな。ショーンはエリアスの言葉思い出し、カギのかかった戸棚をこじ開け、銃を取り出す。弾は四発しかないから大事に・・あらら、景気よく撃って、しかも全然当たらない。当てる気もない。今思い出したけど題名は「キラー・ウィンド」。呪われた風が吹いて人間がおかしくなって殺人犯すのか・・などと思うけどぜ~んぜん。強い風は吹くけどあくまで自然現象。副題の「猟奇殺人」もうそっぱち。逆上して殺したってだけの単純なもの。ラスト近くまで「どこがキラー・ウィンドなの?」状態。やっと風を利用してフィルをやっつける方法思いつき、フィルは風(風邪じゃないよ)で死んだ・・みたいな。風力発電ならぬ風力殺人。クライマックスにしてはえらくしょぼいけど、でもほら私にとってはレイルズバック退場時点でこの映画終わってますから。命拾いしたショーン見て、見ている人全員これで終わりと思ったはずだけど、なぜかその後も続く。えらく引きのばしているなあ・・と変に思う。なぜか道に迷った新婚カップルが出てきて、これが映画の結末とどうつながるのか全然わからん。常識(←?)から言うと、フラフラ現われたショーンを乗せて病院か警察に直行。悪夢のような一夜が明け、この場から脱出してエンドとなる。でもそうならない。カップルの車はショーンに気づかず走り去り、ショーンの前にはフィルが現われ・・。あら?風力殺人失敗?死んだと思った殺人鬼が再び現われるのはホラーのお約束だけど、場違いなカップルのせいで緊張感はぷっつん、もうどうにでもしてくれ状態の私にはフィルの再登場なんてどうでもいいこった!ケスナーの再登場なら歓迎するけど。もう一度言います。何でフィル役をレイルズバックにしなかったのよ~!まあハウザーパパもがんばってはいますけどね。さてと、アホ映画なのに何でこんなに書くことあるんでしょう。だって私はアホ映画好きなんだも~ん!何だかんだ書いたけどこの映画も好きよウフ。きっとレイルズバックの他の出演作品もこういうアホ映画揃いなんだろうなあ、今から楽しみ!