カンパニー・マン

カンパニー・マン

この映画、ルーシー・リュー以外知らない人ばっか。予告編もぱっとしないし見るかどうか迷ったが、まあ見て損のない映画だと思う。でも見ないと一生の不覚という映画でもない。主人公モーガン(ジェレミー・ノーザム)はデジコープ社(以下D社)に産業スパイとして雇われる。仕事はあちこちの会議に出席して盗聴するだけの単純なものだが、仕事を続けているうちに原因不明の頭痛や悪夢に悩まされ始める。彼の前に現われた謎の女リタは、会議に出席しているのは皆モーガンと同じ産業スパイ志願者で、知らず知らずのうちに毒を飲まされ、最終的にはある会議でいっせいに洗脳され、別の人格になってあちこちの会社に送り込まれるのだと告げる。解毒剤を打ってもらったおかげでモーガンは洗脳を免れるが、洗脳に失敗したとわかれば殺されてしまうので、別の人格サースビーになったふりをする。送られた先はライバル会社のサンウェイズ社(以下S社)だが、警備のキャラウェイにすぐに正体を見抜かれ、二重スパイとしてS社のために働くよう強要される。どちらのために働いたとしても行き着く先は死である。わらをもつかむ思いでモーガンはリタに助けを求める。初めて見た時から彼はなぜか彼女に強く引かれるものを感じていた。洗脳から救ってくれたし、てっきりS社の人間だと思って、彼女の言う通りにしてここまで深みにはまってしまったのだ。キャラウェイにリタはセバスチャンというフリーのスパイの部下で、うちとは関係ないと言われた時にはショックだったが、彼女以外に頼れる者はいない。てなわけでスパイものにはつきもののハデなアクションもなく、ひたすらじみーに展開する。泥沼にはまり込んで身動きとれないモーガンに「あんたいったいどうすんのよ、地道に働いていりゃこんなことにはならなかったのに。刺激を求めたばっかりに」とお説教したくなってる自分に気づく。さて二重スパイとしての最後の任務は、S社の巨大な地下データバンクに行き、ディスクにデータをコピーしてくること。D社はそのディスクを重要なものだと思い込んで(今までデータバンクに入り込めたスパイはいない)、モーガンが持ち帰った後密かにコピーする。ところがそのデータはニセもので、D社はそのうち大きな損害をこうむるというわけ。一方リタもモーガンにディスクを渡し、S社のではなくこちらにコピーしろと言う。ここらへんは見ていてもよくわからん。

カンパニー・マン2

最初はモーガンが行ったのがD社のデータバンクだとばかり思っていたし。ディスクは片方が侵入ソフトで、もう片方は何だっけ・・てな具合でオバさんにはついていけません。ここの番人をしているダンという男がおもしろい。二重スパイを見破る任務についていたが脳神経テストが採用されたため、こんなところに異動されてしまった。しかし人間にしか見抜けないものもあると自負する彼はモーガンの正体を看破する。コピーは完了、モーガンは間一髪ダンを倒してそこを逃げ出す。エレベーターが途中で停止、ここから無事に脱出できるか・・というあたりでやっと少しサスペンス映画っぽくなる。ヘリコプターで現われたリタに助けられ、リタの背後にいるセバスチャンの隠れ家へ連れて行かれる。これから彼に会うわけだが、データバンクに行く途中D社のフィンスターに言われたことが頭から離れない。セバスチャンはリタの恋人で、ディスクを手に入れたらきっとおまえを殺す。助かりたいのならディスクは自分に渡せ・・と。さて二回見て外へ出たら50人くらい行列して待っていたのでびっくりした。ここは入れ替え制ではないのだが、途中から入れないようにしていたのね。まあ最後の方でかなり大きなどんでん返しがあるので、これを先に知ってしまうとちょっとね。どんでん返しといってもじみーな映画だからこちらの反応も「えーっ!そうだったの?」じゃなくて「あっそう」というじみーなものになってしまうのだけど。・・で、真実が明かされてリタがなぜ解毒剤を持っていたのかとか、モーガンのサースビー人格形成ぶり(酒、タバコ、ゴルフなど)とか、なぜモーガンがこうもリタに引かれるのかとか、そういったことがじわーんとわかってくる仕組み。うまくできているのよ。ラストも最初は意味がわからなかった。セバスチャンのパソコンの画面に現われたのはリタの抹殺指令。でも例の侵入ソフトでS社のデータバンクに侵入し、彼女のデータを消去してしまう。今回のことは全部セバスチャンの仕組んだことで、リタには彼がなぜこんな危険をおかすのか理由がわからなかった。でも愛する自分を守るためだったのだ。てなわけで最後はびっくりするような純愛映画的結末。モーガンの身を心配した私がアホでした。でもなぜS社からリタの抹殺指令が出ていたの?リューは最初妙な着物みたいな服で現われて汚らしい感じだったけどだんだんカッコよく見えてきたぞ。