悲しみよこんにちは

悲しみよこんにちは

サガンの小説はいくつか読んだが、何も起こらなさすぎて退屈なので、すぐ興味を失った。この作品もそう。冒頭18歳のセシル(ジーン・セバーグ)が一年前のリヴィエラでのバカンスを回想する。父親レイモン(デヴィッド・ニーヴン)は次々に若い娘に手を出す。今回のバカンスで一緒なのはエルザ(ミレーヌ・ドモンジョ)。セシルはレイモンとは友達のように仲が良く、毎日が楽しい。ある日、亡くなった母の友人アンヌ(デボラ・カー)がやってくる。セシルにはフィリップという友人ができる。レイモンはアンヌの洗練された大人の魅力に引かれ、求婚する。エルザはお払い箱だ。アンヌは離婚歴があり、デザイナーとして自立している。レイモンが浮気男なのはわかっているが、自分の力で変えられると思っている。結婚するとなると、セシルにも責任を持たなきゃならない・・と、フィリップとの交際を禁じる。恋にのぼせて道を誤った若い女性がどれほどいることか。セシルが今やらなきゃならないことは、勉強して試験に受かることだ。当然セシルは反発し、アンヌを追い出しにかかる。フィリップを説き伏せ、エルザと恋仲になったように見せかければ、レイモンはきっと彼女を捨てたことを後悔する。アンヌがいなくなれば、自分と父との気ままな暮らしに戻れるし、フィリップとも一緒にいられる。だがこの計画はアンヌの死という悲劇的な結末をもたらす。セバーグはセシルカットと呼ばれた短い髪型が印象的。「大空港」でも美しかったが、40歳くらいで亡くなった。カーの美しさには冷たさ、険しさがある。彼女がセシル達の人生を変えようとするのは善意からだが、ムリな試みだ。プライドが高く、自信を持っているが、その一方で傷つきやすい。まあいいや・・と妥協することができない。だからレイモンの裏切りを知って死を選ぶ。そんなことをするほどレイモンには価値がないのに。一年後の彼は相変わらず若い女性に目が行ってるし、セシルは夜ごと遊び歩く。アンヌの死は二人を少し変えたが、生活を改めるほどではない。どうも彼らを見ていても共感できない。宝石、ドレス、パーティ、ダンス、酒にタバコ、カジノ、恋愛遊戯・・私には縁のない世界だ。冒頭ジュリエット・グレコが出ていた。