クローン

クローン

これは最初WOWOWで見たのかな。ゲイリー・シニーズは好きな俳優なので、DVDを買い、フィリップ・K・ディックの原作も読んだ。原作は短編なので、映画はいろいろふくらませてある。そのふくらませる方向がちょっとねえ・・。2079年、人類はケンタウリと戦争中。和平はありえず、電磁ドームで都市を守るが、時々侵入される。特殊兵器開発局の開発部長スペンサー(シニーズ)は妻マヤ(マデリーン・ストウ)とラブラブ。ある日突然保安局のハサウェイ少佐(ヴィンセント・ドノフリオ)が現われ、彼を拘束。スペンサーは自分でも知らないうちに人間爆弾にされているというのだ。スペンサーは自分は本物と必死で主張するが、聞いてもらえない。爆弾という異物が体内にあるのなら、人体スキャンでわかりそうなものだが・・なんて考えちゃいけないようだ。でも見てる人全員そう考えると思うが。作り手は奇想天外なSFで終わりたくないと、スペンサーとマヤの甘い関係を描き、他のSFとの差を強調する。でも、見ている人が期待するのはSFワールドなのであって。甘ったるいロマンスじゃないのだが。ケンタウリ星人が全く出てこないのも、物足りない。逃亡の途中でスペンサーはケールという青年と出会うが、ケールとのあれこれは原作にはなし。スペンサーは軍病院へ侵入し、人体スキャンをすれば、自分が本物と証明できると思っている。以前やった検査データと比較すれば・・。ケールに協力してもらう代わりに、薬品庫へ案内する。ケール達は統制された世界を嫌い、廃墟のような区域にいる。当然医薬品は不足している。原作ではスペンサーの妻の存在は薄く、友人のネルソンはしつこく彼を追ってくる。ネルソン役はトニー・シャルーブ。他にティム・ギニー。ラストはまたベタベタイチャイチャだ。こういうのは好きじゃない。シニーズは珍しくアクションたっぷり。ちゃんとこなしているのはさすが。ディックの描く世界はどれもこんな世界には住みたくない、こうなって欲しくないと思えるようなものばかり。読んでいても気持ちが暗くなることが多い。ところで・・宇宙船の墜落、森林火災、体の乗っ取りで「ヒドゥン」思い出したの私だけ?