ゴースト・ハウス
8月は夏休みということで大作とかアニメとか・・。その一方でこういうのが大して宣伝もされずひっそりと公開され・・。で、私はこういうのに足が向いてしまうと。「呪怨 パンケーキミックス」だの「電線マン」だの・・あッ違った!「呪怨 パンデミック」だの「伝染歌」だのホラー映画の予告もかかったけど、私はこういうのには全く興味ないのだ。同じホラーでも興味のあるなしがはっきりしているのだ。いや、はっきりしていないのかな?まあいいや。「ゴースト・ハウス」はやってるとこ少ないし、公開はたったの二週間。でも・・やってくれてありがとう!「ハリポタ」が何だ!「トランスフォーマー」が何だ!あたしゃこういうのを見るんだぜい・・って負け犬の遠吠えみたいだな。新宿まで行って二回見た。公開終了間近だったので一回目は10人、二回目は25人くらいか・・うぅガラガラ(涙)。こういう映画があるってのは、WOWOWの「ハリウッド・エクスプレス」でだいぶ前に見て知っていた。主演が「パニック・ルーム」のクリステン・スチュワートというのと、監督がパン・ブラザースというのが売りか。もっとも私はこのパン兄弟の作品も専門外ですぅ。印象としては・・ちょっとなまぬるいかな。どぎつくない。後に残らない。つまり思い出す度にぞっと・・なんていうことはない。大きな音とかさっと横切るカゲとかあおるような音楽とか・・まあ定番。ところどころここは音楽なしの方がいいかも・・なんてとこがあったりして。むやみに音楽つけりゃいいってもんでもないのよ。あんまりあおりすぎるとかえって気が散って驚きがうすれると言うか。ジェス(クリステン)は問題を起こし、まわりの信用がない。引っ越した先の家でいろいろ怪現象が起こっても誰も信じてくれない。まわりの気を引くための狂言だと思われている。怪現象を一緒に体験するのは弟のベンだが、まだ幼い上に口がきけない。観客もジェスと一緒に怪現象を体験しているので、まわりに信じてもらえないのを気の毒に思うし、なぜこんなことが起きるのか理由を知りたく思う。怪しい雰囲気にさらされる時、彼女は全身を耳にし、あるいは目にし、何かを感じ取ろうとする。そういう集中する演技がクリステンはうまい。1990年生まれだから撮影時は15か16だろう。顔立ちは繊細で整っていて、まだちょっと少年ぽい。
ゴースト・ハウス2
過去にヘマをやって(お酒を飲んで運転し、事故を起こし、同乗していたベンがしゃべらなくなってしまう)、そのままぐれちゃってもおかしくないのに、正義感とか倫理観はちゃんとあって、純粋さを保っている。とても傷つきやすいけど、一方ではとても芯が強い。そういう精神的に不安定な少女をクリステンはデリケートに演じていた。映画は90分と短い。登場人物は少ないし場所も限られている。しかしホラー映画だからさっさと見える聞こえる起きるというわけにはいかない。何かがいるぞ、くるぞくるぞ・・思わせぶりな、じらす部分がどうしてもある。そういうのに手間取る(?)から、終わってみると結局大したことは起こっていないのに気づく。一番引っ張ったのはジェスがベンを抱いて廊下に立っていて、後ろから何やら近づいてくるシーン。ジェスは背中向けてるけど、ベンは近づいてくるものを見ている。観客はジェスがいつ振り向くのかと待ってるけど、なかなか振り返らない。最初はドキドキしながら見ているけど、あんまり引っ張るので途中でどうでもよくなってしまう。振り向いた時にはどうせ消えちゃって何にもいないってわかってるしね。・・で、その通りになる。芸のない作り。CGであれこれ見せるのも興ざめだ。しかもそのCGが質が悪いと言うか、画面に溶け込んでいなくて作り物感ありあり。それと、冒頭でみーんな見せちゃっているのにもびっくりしたな。一回目は途中から見たんだけど、経過した時間のわりにはストーリーはあんまり進んでいなくて妙だな・・と思ったのよ。二回目見てその理由がわかったの。この家で起こった惨劇をずらずらずいずいぜ~んぶ見せちゃっていたのよ。これにはびっくりしたな。これに時間くっていたのね。見ていてそこらへんまでにしといたら?あらまだ見せるの?気前がいいのね・・って感じ。力入れて作っているのはわかるけど、たいていのお客は冒頭部分なんか忘れちゃうよ。もっと適当なタイミングで適量を見せればいいのに。もっとお客に想像する余地残せばいいのに。それでいてこの映画あれもこれも省略しているという印象。父親ロイはなぜ失職したのか。ジェスは学校へ行っていないのか。一日中家にいるのか。ジェスは町でボビーという少年と知り合う。その後ボビーを呼び出しているが、なぜ呼び出せたのか。なぜロイはボビーの名前知ってるのか。
ゴースト・ハウス3
最初ジェスとボビーが知り合ってから、次の段階・・電話番号教え合うとかロイにボビーの名前教えるとか・・が省略されているような気がする。クライマックス部分では、ロイは牧草用のフォークみたいなので背中を刺される。上映中もべチャべチャしゃべってうるさい夫婦連れがいたんだけど、奥さんの方がこのシーンで「あらッ!」なんて言って、まるで自宅でテレビの2時間ドラマでも見ているようなノリ。このバカ夫婦、黙って映画見ろ!・・なんて頭にきていた私も思わず笑っちゃいましたとさ。でも展開としては笑い事じゃないのよね。お父さん死んじゃうの?死んだら後味悪いなあ・・って心配になる。その後もいろいろあるんだけど、ロイがどうなったのか不明なので○×△の方はどうでもいいわけ(いちおうネタバレしないようぼかして書いております)。そんなことよりジェスは父親のこと心配しろよ・・とか見ながら思うわけ。で、事件がかたづいたと思ったらまたジェスがピンチになって、そんなとこでぐずぐずしてるから足引っ張られるんだよ・・とか思ってるとロイが助けてくれるわけ。あら生きてたのねお父さん・・とうれしく思うけど、釈然としないわけ。だって刺されたんですぜ背中をグサッと力一杯。で、もっと驚いたのはラスト、ロイが畑仕事(ひまわりの収穫)してること。そりゃボビーが手伝ってるけど・・大丈夫なんですか?寝てなくて。あと二日で収穫と言っていたから、あれって刺された二日後だわ、たぶん。それとも収穫遅れても大丈夫なんですか?お父さん具合悪そう・・大丈夫かね。お母さんもジェスももっとお父さん手伝え!だけどそれ以上にびっくりすることがあって、どうやら彼らはこの家に住み続けるらしい。こんなことがあったら普通引っ越すと思うが。と言うかマスコミ押し寄せるはずだが。と言うか犠牲者達はちゃんと発見され、埋葬されたのか。○×△の死体は見つかったのか。警察は家族の説明に納得したのか(どう説明したか知らんが)。クライマックスでは床が液状化現象を起こしていましたな。すみません、意味不明な文章ばかりで・・。でも、映画見た方にはわかってもらえますよね。ロイ役はディラン・マクダーモット。どこかで見たような顔だけど、パンフに載ってる出演作はどれも見てない。ちょっとびっくりしたのは40代なかばという年齢。あたしゃてっきり30代だと・・。
ゴースト・ハウス4
背が高くて渋いハンサムでけっこうステキ。妻デニース役はペネロープ・アン・ミラー。名前聞いたことあるようなないような。ベン役の子達はずーっと黙っていなくちゃいけないから撮影は大変だったのでは?声を出したらNGでしょ?「達」と書いたのは、こういう小さい子はみんな双子を使っているから。見ていても区別つかないけどね。前にも書いたけど引っ越してきて、ロイはひまわりを育てようとするんだけど人手が足りない。と言って失業したのとベンの治療に貯金使っちゃったのとで人なんか雇う余裕ない。ところが流れ者のジョンが現われ、力になってくれる。ジョン役ジョン・コーベットは知らない人。「セレンディピティ」に出ているらしい。いきなり登場し、気軽に手伝い始めるので、見ていてこれは変だぞ・・と思う。たいていこういう人は何かある。誰かに追われているとか女に色目つかうとか金の亡者とか・・どこかしら難がある。でもジョンはそういうの全くなくて、農場仕事に慣れてるし、ジェスの話し相手になってくれるし、ベンをかわいがってくれる。とっても素朴でいい人なの。でも何にも怪しいところがないなんてホラー映画である以上ありえなくて、この家で起こった惨劇と何かしらつながりがあるんだろうなあと予測がつくわけ。で、何かあったとしても、とってもいい人なので悪く思えない。この映画がなまぬるく思えるのはそのせいでもある。犠牲者に同情し、犯人を憎まなくちゃならないのに、犠牲者には同情できず犯人の方に同情してしまうの。ところでパンフには載ってないけど犠牲者の一人、末っ子のマイケルやってるのはジョデル・フェルランド。見てる時は気がつかなくて、後で知ってびっくりしたのよ。だって女の子ですよジョデルちゃん。スカートみたいに広がった長い黒髪がトレードマークだけど、今回はすっぱりと・・切ったんですか?それともカツラ?次の日「ドルフィンブルー」を見に行ったらトイレットペーパーに「呪怨」のあの男の子のうらめしそうな顔印刷してあって、何だか居心地悪かったんだけど、ジョデルちゃんはあの役似合いそう。ベッドを整える時足だけ見えるシーンがあって、安っぽいCGなんだけどギョッとする。細くて折れそうなきゃしゃな足。女の子を使うというのはいいアイデアでした。ボビー役の子はポテッとしてウサギみたいな歯をしていて、ぱっとしないけど性格はよさそう。
ゴースト・ハウス5
ジェスを癒してくれそう。ラストシーンでも何となく働いていて・・せっせと働くのではなく、休み休み働いている感じで・・そこが笑えた。他に銀行の人が出てくるけど、この人がまたうさんくさくて、あたしゃてっきり幽霊だと・・。だっていきなり現われるんだもん。生気のない年寄りだし。でも近くに車とめてあるのを見て、ああ人間だ・・と。だって幽霊なら車運転する必要ないもんね。この家はなかなか買い手がつかなかったのに、ロイが買ったとたん他の買い手が現われたわけ。もっといい値で買うから売ってくれ・・としつこく言われてもロイは頑なに拒む。見ている方は今になって買い手が現われるなんておかしいぞ、いったい誰が買おうとしているんだろう・・って興味持つけど結局不明なまま。それとロイは次々に問題が起こって・・つまりジェスが騒ぎ立ててると思って悩むんだけど、その過程で家を手放すことも一度は考えたはずなの。でもそういうのも描写省略し、通り過ぎてる。90分は短いけど、90分あればいろいろ盛り込むこともできたはず。何となく手際が悪い印象。そして中心になるべきこと・・犠牲者達の霊やカラスがいったい何を伝えたいのか、何をして欲しいのかがはっきりしないのが一番まずい。この映画原題は「ザ・メッセンジャー」で、霊やカラスはジェス達を呪ったりしているわけではなく、警告しているということらしい。ところがいっこうにそう見えないのよ。彼らとにかく回り道しすぎ。標的(自分達を殺した犯人)はっきりしているのにジェスやベンにばかりかまっている。何かを伝えたいのならロイやデニースにもコンタクトしてくるはず。そりゃもちろん映画だからジェスやベンにコンタクトしてくるんだけどさ。カラスの存在は「クロウ」シリーズ連想させて、ちょっとおもしろく感じたな。てなわけで全体的に「こうした方がよかったんじゃないの?」というのばかり頭に浮かんでくる映画。見せ方が今いち。真昼間ひまわり畑に幽霊が出ていたらしいが、二回見て二回とも気づかなかった。でもまあ・・見ていて楽しかった。見えすいた驚かし方しかしてないけどいちいち驚いてあげた。CGはひどいけどかなりの低予算映画だから仕方がない。出演者はみんなよかった。肩のこらない娯楽映画として・・私はこれからもこういうのせっせと見続けまっせ!