グリズリー

グリズリー

これはテレビで何度か見ている。いちおうパンチラ・・じゃない、パンフとチラシ持ってる。パンフのキャスト紹介のページでは、アンドリュー・プラインの写真が間違っている。トム役トム・アーキュレイジの写真だ。まあそうやって間違えるほどキャストは知られてない人ばっかということ。ネットで調べるとみんな「ジョーズ」の二番煎じとか書いてる。たぶんそうなのだろうが、私はまだ「ジョーズ」は見てないのだ。「3」や「4」は見たけど。私はどうもシリーズ後半になって出来が悪くなったのを好んで見る傾向がある。そしてその方が感想書きやすい。前にも書いたが、せっかく高いDVD買ったのにこれが特典ゼロ。でも出してくれただけマシと自分に言い聞かせていたのよ。そしたらコメンタリーやら何やらがついたのが後から発売されて・・ぐやじ~!!さて冒頭美しい森林の上を飛び回るヘリコプター。軽快な音楽が流れ、いい滑り出しだ。木々が紅葉しているところを見ると、秋も深まり観光シーズンもそろそろ終わりという頃か。そのせいでいっそう国立公園はにぎわっている。森林警備隊のケリー(クリストファー・ジョージ)は人出が多く、パトロールの手が足りないと言いつつ、のん気にアリソン(ジョーン・マッコール)の相手。彼女はカメラマンか。知り合って数週間だが、まだ恋人どうしとまではいかない。トムが二人の女性が戻らないと捜しに行くのに同行する。暗くなる前に戻るよう注意したのに・・。まず最初に犠牲になるのは若い女性と決まっている。襲う方も最初から全身見せるような野暮なうつし方はしない。襲うのはグリズリーだと100パーセントわかっているけど、それでもね。グリズリーの目線で見た風景と、荒い息づかい。こんなに息づかい荒いのに、襲われる方には何も聞こえてないってのが不思議だが、そこは突っ込んじゃいけないのだろう。女性二人が殺されたことでキャンパー達は大急ぎで避難する。と言っても2区画だけで、他のところではまだのん気にキャンプやってて、後で犠牲者出たりする。こっちにも出るかも・・とは思わないのかね。最初はみんな普通のクマの仕業だと思っている。タグをつけてみんな山に戻したはずなのに。ケリーは公園の管理責任者キトリッジ(ジョー・ドーシー)と仲が悪い。二人が対立していても、見ている我々には今いちぴんとこない。

グリズリー2

キトリッジのやり方が気に食わず、ことあるごとに反抗するという描写を前もって入れときゃよかったのに。アリソンとの会話なんかいいからさ。彼女は後でグリズリー退治に加わろうとしてケリーに断られ、腹を立てたりするが、自分が足手まといになるって全然思わないようなアホ女。結局ケリーとは気まずくなったままで映画は終わるが、見ている方は全然かまわない。三人の男とグリズリーの戦いにちょこっとは華を添えて欲しいのに、美人でもないし、気もきかないし。川で水浴びしようとして殺されちゃうゲイル(ヴィッキー・ジョンソン)の方がよっぽど美人。でも、仕事中に・・クマ捜しの最中に水浴びしようとするゲイルの気持ちが理解できないんだけど・・。恋人を失ったトムは意気消沈。他の映画だともっと怒り狂ったり酔いつぶれたりするけど、大人しいもの。話を戻してキトリッジはグリズリーなんて信じないし、応援要請をというケリーの意見を聞かないくせに、ハンターやマスコミを呼びつける。ケリーは出世のための売名行為だと非難するけど、見ている方はそうやってケンカしていたって何にもならんのとちゃう?としか思わない。ケリーに協力してくれるのはヘリの操縦士ドン(プライン)と動物行動学者のスコット(リチャード・ジャッケル)。ケリーはアリソンに自分の過去話すけど、ホントかどうかわからない。キトリッジとの対立でもわかるけど、規則に縛られるのを嫌い、雄大な自然の中で自由にしていたい。次々に犠牲者が出るこんな事態は経験がないらしく、手を打っても後手後手に回ってしまう。最後にグリズリーを倒すのは彼なので、彼がヒーローという印象が残るが、実際は判断ミスとか多い。自分達とハンター達とに分かれてグリズリーを追い立てようとなった時、トムを監視塔に上らせる。その時点でトムに死亡フラグ。塔の上にいたのでは他に逃げ場所がない。それに骨組みだけでさほど頑丈そうには見えない。獰猛な動物に追われた時の避難場所という目的では作られていないのだ。上から見ていて、見つけたとしてどうするのか。襲われる前にハシゴを下りて逃げられるか。案の定ケリー達は無線連絡を受けて走るが、間に合わない。

グリズリー3

この映画ではグリズリーはすぐ近くに来るまで人間達には気づかれないことになっている。森の中ならそれもありだが、クライマックスでヘリのすぐそばに現われた時は野っぱらの真ん中だぞ!気がついたらそこにいる・・それがグリちゃん。グリズリーは監視塔を倒す。トム君死亡。他にも小さな子供とその母親も犠牲に。あの母親は偉いな、グリズリーに立ち向かっていくんだもの、母は強し。この頃にはケリーはキトリッジにクビを言い渡されてる。でもクビにしたってキトリッジには現場のことは何もできないから、ケリー達に何とかしてもらうより他にないんだけどさ。と言うか、クビになったまま最後のグリズリー退治に出かけたのかしらん。その方が自由に動けるし。スコットは変人で、グリズリーを生けどりにしようと思っている。だから睡眠薬入りの弾を使うつもり。森のことも動物のこともよく知っているという自負がある。用心深いけど、学問的興味の方がやっぱり優先する。ケリー達がいくら止めても言うこと聞かない。一人で馬に乗ってトコトコ出かけていく。見ている方は彼がどうなろうと自分の選んだ道だから仕方ないと思うけど、馬は気の毒だよなあ・・と思う。もちろん馬も何も気がつかないうちに首をもがれちゃう。その後でまだスコットを乗せたまま馬が立ってるのは変だけど。スコットも一撃食らって気絶。てっきり死んだかと思ったら後で目を覚ます。やれやれと思ったらまたグリズリーが・・。二度も怖い思いをしなきゃならないなんていやだわん。で、やっとお目当てのドンです。私がDVD買ったのはグリちゃん目当てじゃありません。アンドリュー・プラインが出ているからですッ!!冒頭ヘリに乗って客に公園の説明して・・。どこかのお偉いさんを案内しているのかしら。それとも観光客?彼がどこに所属しているのかよくわからない。国立公園は広いから専用のヘリも配備されているのか。ケリーやスコット同様ドンも一人で気ままにやるのが好きなようで。つまり三人とも似た者どうしで、だから仲がいい。私生活には踏み込まず、つかず離れず、困った時は協力し合うという・・。

グリズリー4

プラインはカウボーイハットをかぶり、サングラスをかけ、は~カッコいい。キュウリみたいな顔してるんだけどステキだわ・・声もいいし。セリフがない時でも表情の一つ一つが・・ちゃんと演技してまっせという感じで・・。ドンはベトナムで200人も殺して、だから今ではハエ一匹も殺さないようにしている。でもこうも次々に人が殺されるとその考えも変わってきて。いつもひょうひょうとしていて、ケリーが一人で何でも抱え込んで鬱屈しているのとは対照的なんだけど、その彼にもつらい過去があるのだと。そういうものを抱え込んだ上での明るさなのだと。ジャッケルのスコットもいいけど、それ以上にいいのがプラインのドンのキャラなんですよ。この二人のキャラに比べるとケリーやキトリッジのキャラはあまりよくない。さて、ヘリで捜索中やっとグリズリーを見つける。上からやっつけようとドンが言うけど、ケリーは下に下りると。前のトムのこともそうだけど、ここでもケリーの判断ミス。下に下りたせいでヘリがグリズリーに襲われ、ドンが犠牲に。彼がやられてしまうせいで・・ケリーが助かったのは彼のおかげ・・この映画の後味は悪い。銃も効果がなく、最後はロケットランチャーで吹っ飛ばす。いつの間に積み込んだのかいな・・と、巻き戻して確認。何気なく積み込んでいるけど、普段の仕事にこういう武器が必要とは思えない。元ベトナム兵士だったつてで?と言うか、空からこれを撃っていればドンは死ななくてすんだのにぃ~。やっとグリズリーが倒されても爽快感ゼロ。ケリーだってちっともうれしくないはず。さっきスコットの死体を応急処置として地面に埋めてきた。あのままだと森の動物に食い荒らされるからね。今はドンの死体が転がっている。このラストのせいで、DVD見直して感想書くの遅れてしまったのよ。とは言えこういうラストだからこそ心に残る映画になったとも言える。人を襲うところは作り物の手が使われているけど、クマで怖いのは何と言ってもその一撃。腕はもがれ、馬の首も吹っ飛ぶ。想像もつかないほどの力を持った動物が山や森、海に住んでいるわけで。人間は後から移ってきた、いわば侵入者。クマやグリズリーが一方的に悪いわけではないのだ。