コントロール 洗脳殺人
設備の整ったマンションに引越した妻を襲う幻聴や幻視・・。おかしいのは私?それとも・・。まあこれだけならよくある内容だから、見なくたってかまわないのだが、ジョン・キューザックが出ているなら見てもいいかな・・と。主演はクリスティーナ・リッチだから、彼は夫役か。いや、年が離れすぎだから違うか。もしかしたら「グランドピアノ 狙われた黒鍵」みたいに終わり頃になっていきなり・・とか?私はこういう・・家が重要な位置を占める映画はわりと好きだ。小説もだけど。よくテレビで、せっかく屋敷訪問してるのにお庭を拝見しましょうとなったり、天井にはこれこれを使っていますとか、そんなことに時間割いてるのがあるけど、そんなのより家の中を拝見したいぞ、こら。小説だと庭にどういう花が咲いてるとか、屋根の形式がどうのとか。そんなのより部屋の中説明しろ、物入の中説明しろ、こら。話を戻してリッチ扮するローレンは画家らしい。しかし今は何も描いていない。夫ラッセル(ブレンダン・フレッチャー)は・・はあ?何でこんなさえないタイプ?まあ人間は外見じゃない、なかみが大切だってのはわかるけど・・。ローレンが何を恐れ、何を悩んでいるのか、最初のうちはよくわからない。何か水に関したいやな思い出があるようだが。気分を変えるには引越し・・となって、郊外にあるマンションを見学に。新しくて広くて充実した設備。安全性と静かさは保証つき・・。ちょっと贅沢だけど引越すことに決めた。荷物も片づかないうちにパーティへ。住人のマーゴがいろいろ教えてくれる。何となく話しやすいフィリップは、広告関係の仕事をしているらしい。怖い夢を見たというマーゴの娘アリーのことが気になる。学者だというティムの不審な行動が気になる。機械の振動音のようなものが聞こえる。あの丸いものはスピーカーか。テレビに一瞬文字がうつった気がする。前半はほとんどマンションの中で、だんだんローレンが追いつめられていく様を延々と見せられる。妙な体験をするのは彼女だけで、ラッセルは何も気づかない。信じてもらえない。マンションの住人全体が怪しいのか。そうなると「ディアボロス」だな・・なんて思ってみたり。ローレンは精神科へ通い、薬も飲んでいる。
コントロール 洗脳殺人2
後でわかるが、彼女は双極性障害らしい。彼女は幼い息子をなくした。どうやら息子は浴槽で溺れ死んだらしい。しかし詳しいことは描写されない。どんな時も辛抱強く彼女を見守ってくれるラッセルは、愛情深い夫なのか。こういう映画だと、妻の不調には夫が一役買っていることが多い。そのうちローレンは洗脳とかサブリミナル効果とかに興味を持ち始める。ネットでやり取りするある人物に疑問をぶつける。とうとう会うことになるが、それがキューザック扮するバーノン。は~やっと登場か。彼は、まわりは誰も何も信用できないというタイプ。CIAやロシア、中国がどうのこうの。とたんに、どこかで聞いたような・・という感じになる。ただ、私がこの映画で印象に残ったのは、この挙動不審とも思えるバーノンの行動なのだ。今の我々は安全に慣れすぎている。あるいはそう思い込まされている。まわりには電磁波とか飛びかっているはずだが、目に見えないので気にすることはない。でも健康に影響及ぼさないと言いきれるのか。電車に乗っていてまわりを見渡すと、ほとんどの人はスマホをいじくっている。彼ら全員が緊急の用抱えているとは思えない。でも何もなくてもついスマホ画面を確認してしまう。テレビを見ると、くだらない番組や、買え買えと迫るCMばかりで、こりゃ視聴者の頭を退化させようとしているか、あるいは無駄な金を使わせようと企んでいるとしか思えない。スマホ画面やテレビ画面から、何かが発信されていないと言いきれるのか。バーノンは自分のことを記者、ハッカーと言っていたが、密かに行なわれている工作に気づき、当然のことながら命の危険を感じ、地下へもぐったのか。詳しいことは何もわからないが、その彼でさえネットから離れることはできない。この映画はローレンの描写に時間を割き、他のことは最低限という感じだ。それも一つの手法だが・・。ある時点からローレンは急に行動的になる。マンションの中でのあれこれから、外の世界へ。彼女はラッセルを疑い出す。監視カメラで見かけた男、彼女の目の前で飛び降り自殺をしたティムと同じく、ラッセルも首のあたりをかいていたからだ。
コントロール 洗脳殺人3
見ている方はずっと前から彼を疑っている。部屋の中に何かを仕かけていたからだ。盗聴器かなと思ったが、後でカメラだったとわかる。十分怪しい行為だ。その後あれこれあるが、部屋の中でローレンがおびえているのとは違い、外へ出るといろいろ話に食い違いも出てくる。そういうのが説明されないまま映画が終わってしまうので、モヤモヤ感が残る。ローレンは誰かがサブリミナル効果で自分を洗脳し、アリーを殺させようとしているのだと気づく。彼女は治療のため薬を飲んでいるが、飲んでいるせいで洗脳の効果も強く出たと。これは精神障害を抱えていたティムも同様か。彼のことはほとんど説明されないが、そうとでも考えなければわざわざ彼を出してきて自殺させた意味がない。で、薬の服用をやめると、今度は病気が悪化する。板ばさみの状態だ。結局はバーノンの言う通り服用をやめ、自分の思ったように行動するしかない。ん~てことは、冒頭とかでの悪夢やら幻視は、サブリミナルとは無関係ってことですな。だって引越し前の住居にはそんな装置はないのだから。ラッセルが一枚噛んでいるなら別ですが。このラッセルのこともはっきりしませんな。ローレンが彼を決定的に疑い出したのは、前にも書いたが首をかく動作。それで彼がいない時にスマホ見つけてメールを調べる。するとマンションの設備担当のライアンとメールをやり取りしているような。これでもうラッセルが敵なのは明らか。でもその後の彼を見ていると、このメールの説明がつかないのだ。それと首をかいてることも。この動作で、見ている我々は首に何か埋め込まれているのでは・・それによってコントロールされているのでは・・と怪しむ。しかし結局ラッセルは操られてはおらず・・敵でもなかった。フィリップらに加担しているわけではなかった(んでしょ?)。ティムも自殺の直前かいていたし・・てことはこれはみんなしてノミにでも食われていたってことなんですかね。ラッセルはローレンの変調は病気の悪化のせいとばかり思っていたようだ。それで部屋のあちこちにカメラを仕かけた。テレビに何かうつるとか、そういうことが起こっていないと証明するために。
コントロール 洗脳殺人4
ところがローレンが拘束され、洗脳用画面を見せられているところがカメラにうつっていた。彼女が言っていたのは事実だったのだ。たぶん彼はローレンを救うためいきなり現われたバーノンを見てびっくらこいたことだろう。それにしてもフィリップ達がカメラ等仕かけるってなら話はわかるが、ラッセルが仕かけて、それを彼らが知らないというのは妙な感じだ。マンションの中を、監視カメラで部屋に居ながらにして見ることができるという仕組みも妙なものだ。見ることができるのはいいとして、わざわざ住人に疑問を抱かせるようなうつり方をするだろうか。さて、バーノンはローレンを逃すため自らは犠牲になる。ここらへんも唐突すぎて、何で?と思ってしまう。説明もなく、死ぬところもうつらない。ラストでラッセルとローレンが墓参りをしていて、それで死んでしまったことがはっきりする。フィリップの方は死んだのだろうか。と言うか、リンゴの香りでバッグのなかみはわかりそうなものだが。とにかく一味は警察につかまり、企みは明るみに出たのだろう。その後どうなったかはわからない。世間を騒がせたのか。でも、ローレンはおなかが大きくなって、ラッセルと今度は森の中の小さな家に住んで幸せそう・・と、そこで終わってしまう。私はバーノンは生きていて、闇の世界でこれからも陰謀を暴くため行動し続ける・・というふうにして欲しかった。彼は世間の飽きっぽさを知っている。ローレン達だって自分達の幸せを優先し、今度のことは忘れてしまうかも。そこが敵の狙い目でもある。キューザックは年齢や役柄のせいもあるけど、老けてくすんできた。「コン・エアー」の頃の若々しさ、みずみずしさが懐かしい。リッチは40に近いが、贅肉一つついていない。ただやせているのではなく、ジムでのシーンでわかるが肩のあたりに肉がつき、たくましい感じ。とても精神的に参っているようには見えない。今回は白っぽい髪で、それはいいのだが、ラッセルを尾行する時帽子もかぶらずそのまんまなのは妙な気がした。あの髪の色は目立つから。てなわけで、さしたる出来でも内容でもないが、ヒマつぶしに見るにはちょうどいい映画でした。