ゴースト&ダークネス

ゴースト&ダークネス

19世紀末、東アフリカに建設中の鉄道。その途中にかける鉄橋工事のため、イギリス人技師パターソンは身重の妻を残し単身アフリカへ。途中までは順調だったが、二頭の人食いライオン「ゴースト(幽霊)」、「ダークネス(暗闇)」のせいで多くの犠牲者が出る。人足達は逃げ出し、工事はストップ。雇われハンター、レミントンが現われ・・。まあパターソン役のヴァル・キルマーはともかく、レミントン役はマイケル・ダグラスだ。中古ビデオのカバーには「魔獣狩り」とか「モンスター・パニック・アドベンチャー巨編!」とあるし、監督は「プレデター2」の人。どこまで魔なのかモンスターなのか不明だが、冒険物であることは間違いないだろう。ただ、実話がベースなので、あんまりぶっとんだ内容にはできないだろう。仕事を依頼するボーモン(トム・ウィルキンソン)は自分のことをモンスターと呼ぶ。憎まれれば憎まれるほどうれしがるいやなやつ。パターソンの方は大人しくて地味。妻を愛し、アフリカの自然の美しさを愛す。怒り狂ったり大はしゃぎしたりしない。それに対しレミントンはがさつで情熱的。各地を渡り歩いてきた。水と火のような二人だが(他の映画でよくあるような)対立などはせず、お互いを認め合い助け合う。この映画に出てくる女性はパターソンの妻(エミリー・モーティマー)くらい。全く女っけなしのダグラスは珍しいのでは?ストーリーは二頭をしとめようとしては失敗し・・のくり返し。「ライオンはこんなことしない」というセリフや、小細工だらけのうつし方で恐怖をあおろうとするが、ただのライオンだってのは見りゃわかる。しかも1898年だから銃も狩りの仕方も古くさい。見ていて、ああすりゃいいのにこうすりゃいいのに・・と思う。一方だけやって片方は留守(見張りの置き方、警戒の仕方)。そのため被害は増えるばかり・・というのがじれったい。でもスコープつきの銃も暗視ゴーグルもない時代だし仕方ないか。とにかくいくらでもホラをふけるし、ハデにできるのにそれをやらず、バカ正直に描写するので、単調でうんざりするけど、だからこそにじみ出てくる怖さというのがある。何たって相手は猛獣だからね。一番はらはらするのはパターソンの悪夢シーン。目が覚めてやれやれ・・と思ったら別の悪夢が待っている。けりがついた時にはこちらもホッとした。平凡だけど真面目さには好感の持てる映画。