クロウシリーズ

ザ・クロウ

「ダークシティ」の関連で「クロウ/飛翔伝説」を見れば、次はその続編ということになる。主役は生きているから、安心して見ることができる。監督も出演者も違うから、続編といっても類似点は少ない。猫とマスクと指輪と成長したサラの中にあるエリックの記憶。これだけは前作とつながっている。彼女の母親はどうなったのだろう。おそらくはクスリに再び手を出し、男と一緒に姿をくらましたか死んだかしたのだろう。一度はエリックに諭され、立ち直ったかに思えたドーラだが、彼女はまだ若く、母親としてしっかり生きるタイプでもなかった。前作ではまだどうにかまともなところのあった社会も、ここでは行きつくところまで行ってしまったという感じ。警察は登場せず、ストリートギャングが横行する。今日も罪のない父と子が無残に撃ち殺され、海に投げ込まれる。太陽は顔を見せず、スモッグのような雲が空をおおい、昼なのか夜なのかもはっきりしない。真面目に働いている人はいるのだろうかという気もするが、電気もつくし水も出る。何やら不思議なムードで話が進むが、主役らしき人がハゲなのにはびっくりした。ピエロ(?)のメイクも似合わない。顔立ちはさほど悪くないし、今の技術なら髪の量や形はいくらだってカバーできるはず。何で・・?と思うせいか、ストーリーの展開に今一つ乗りきれないまま見ていると、途中でカラスが空中にとどまってそれから急降下するシーンで、私の頭の中で何かが動いた。レバーが降りたというかスイッチが入ったというか、この映画の作り出す世界の中に足を一歩踏み入れたという感じ。それまでは何の期待もなく、話の展開をただながめていただけ。前作との共通点ばかり捜していて内容は二の次だった。しかし一度この映画の世界に入り込んでからは、何度となくくり返して見、評価を知りたくてインターネットで調べまくった。そしたらこれがまたみんなしてボロクソにけなしているのよね。中には今までに作られた続編の中でも最低・・なんて言ってる人もいるほど。確かに本作には大きな欠点がある。敵役のユダがとんでもないボンクラなのだ。こういう映画では敵役がうんと強くて憎たらしくなくちゃあ話が盛り上がらない。「ダークシティ」の宇宙人ボス、「クロウ」のトップダラー・・みたいに。手下はボンクラでもよいのだ。「クロウ」では手下は皆似たような顔で、頭も悪く、印象がうすかった。

ザ・クロウ2

でもボスのトップダラーの異常性格ぶり、死を何とも思わない豪胆さ、エリックとの凄まじい戦いぶりで、クライマックスが盛り上がった。ところがユダときたらタワーに閉じこもってSMや殺人のビデオを見ているだけ。あまり有能とは思えない手下が数人いるだけで、これで町を支配なんかできるかっちゅーの。ユダ役のリチャード・ブルックスにはすごみも貫禄もなく、演技も単調。カラスの血を飲んで不死身になるあたりからは、もうかんべんしてーと言いたくなるような展開。剣で刺されたサラは一滴の血も流さないし、血や汗で汚れていたアッシュの顔は一瞬の後にはきれいになってる。クライマックスのカラスがユダを襲うシーンのひどさときたら・・。パイプがおなかを貫いても「平気だぞー」なんて喜ぶシーンは、見ていて情けなくなる。何とまあここさえきっちりと押さえておいてくれたなら、こうまでひどい評価も受けずにすんだだろうに。いつもこのあたりに来るとため息が出てしまう。はーでもよいところもあるのよね。まずはユダの手下達。すぐにアッシュに殺されてしまうスパイダーモンキー。ケタケタとけたたましく笑いながら楽しそうに仕事をする。次に覗き小屋に通う変態のニモ。「新しいコは入ったかい?」なんて気さくで明るいニモ。アッシュの子供を撃ち殺したり、殺されているニモを見ても肩をすくめるだけの冷酷な女カーリー。一番年かさのカーヴが、目をつぶされたニモを見てふるえ上がっているというのに。このカーヴを演じるイギー・ポップがばつぐんによい。いい年こいた不良中年ライダーという感じ。ところでカーリーがアッシュに投げ落とされた後、すぐに怪しげなパーティのシーンになるが、現われたカーヴはクスリでへべれけになっており、足取りもおぼつかない。この間にはカットされたシーンがあるのでは・・という気がする。おそらくカーヴは死にきれないで苦しむカーリーを見て、次は自分の番だと怖くなり、それでクスリに頼り、人がいっぱいいるパーティにまぎれ込んだのだ。カーヴはけっこう怖がりで、人ごみの中にアッシュを見つけた時の情けない顔ときたら。でも何と言ってもすばらしいのはアッシュを演じたヴァンサン・ペレーズだろう。ハゲなのはちょっと残念だが、何度も見ているとそのすばらしい演技に感心させられる。彼のことは全然知らなくて、この映画で初めて見たのだが、まさかこんなにはまるとは・・。

ザ・クロウ3

海中に子供のダニーと一緒に沈んでいるところ。子供だけでも助けてくれと哀願したのに撃ち殺され、何てひどい・・と悲しむが、カーヴが「運が悪かったのさ」と言うと、アッシュの顔は無表情になる。その時の虚無的とも見える横顔が印象的だ。アッシュにとって生きる望みが何にもなくなって、死の恐怖すらなくなってしまった瞬間である。カラスによって甦った彼はまずスパイダーモンキーのところに現われる。この時の妙におどけたしぐさと、悲しげなピエロのメイクがよい。楽しさと悲しみと怒りがまじり合って何とも不思議なムードなのだ。ドラム缶の上を飛び移るアクションにも感心した。ニモをやっつけるところ、カーリーと戦うところ、いずれもすばらしい。アクションスターじゃないから体が重いとか、ラブロマンスの弱っちい二枚目でもやってろとかけなす人もいるが、とんでもない話である。スピードが遅いったって、それはブランドン・リーのような一流のアクションスターとくらべてそうなのであって、フィルムの早回しとか、ワイヤーなんぞでありえないアクションシーンを見せられるのにくらべれば、こちらの方がよっぽど真実味がある。余談だが、映画の批評を読んでいて時々現実と非現実との区別がつかなくなっている人が特に若い人にはいるなあと思う。テレビで盛んにゲームの宣伝をやっているが、戦う内容のものが多い。実際にはあんな動きはできないし、できたとしても短時間で、そのうち疲れて動きも鈍くなってくるはずなのだ。エネルギーさえ順調に供給されればいつまでも同じスピードで動き続ける機械とは違う。でもああいうのを見続けていると、あれが本当の人間の姿に思えてきてしまう。で、映画の中でそういうふうに動いていないとこの俳優はなっていないということになるのだ。まあ別にそう思い込んでいたっていいんですけどね。ただ体重、重力、ドラム缶の上という条件を考えれば、スパイダーモンキーとのシーンはよくできていると思う。あの「恋人たちのアパルトマン」の細くて優美なアレクサンドルが、がっちりとたくましい筋肉マンに変身しているのにはびっくりさせられるし。それにしてもラストで子供だけうつしてアッシュの顔をうつさないのはいったいなぜなのか。あそこでメイクなしの類まれなペレーズの美貌をしっかりうつしてほしかった。あのままじゃハゲのおっさんで終わっちゃうじゃないのよ。くやしー。

ザ・クロウ4

この監督さんはクローズアップが好きなようで、サラの顔は何度も大うつしになる。その度に緑色の目がキーウィーフルーツそっくりだ・・と思えて仕方がない。他にいいうつし方があるだろうに。さてスパイダーモンキーを始末して、炎の中から姿を現わすアッシュ。不死身だから何でもできる。それを知ってにやりと不敵に笑うところがよい。続いて覗き小屋でニモの前に現われるところ。ペレーズは時々シュワちゃんに顔つきが似て見える。体つきもがっちりしているし、あの顔と体で「Do you want me,baby?」なんて言われたらニモじゃなくてもふるえ上がっちゃう。ニモを殺した後教会へ行く時のコート姿がよい。どくろのお面をかぶせられた犬を見るところもよい。サラの部屋に現われ、彼女が絵を描いているのを覗き込むようにする表情の美しいこと。妙なメイクをしていても美しさは隠しきれない。カーテンのすきまから顔を覗かせ、少ししゃべるだけでアッシュの苦悩が伝わってくる。ダニーを産んですぐ薬物中毒の妻は姿をくらましてしまった。その後ずっと一人でアッシュはダニーを育ててきたのだ。ダニーが死んだ今、復讐しか頭にないが、サラを見てふと心が動く。恋人はいるのだろうか、あの指輪は何だろう。しかし彼は死んでいるのだ。生きているサラと結ばれることはない。そういう悲しみ、怒り、苦悩、あきらめが心の中を次々によぎるのを、ペレーズは巧みに表現する。カーリーとの対決シーンで、傷ついた彼女を抱き上げて数回振り回して窓から投げ落とすところがある。その時の表情の変化、一回回るごとにだんだん顔つきが変わっていくところがすばらしい。アクションではブランドン・リーにはもちろんかなうわけはないが、演技のうまさ、複雑さではペレーズの方が上だと思う。カーヴを追いつめ、ひん死の重傷を負って横たわるそばに座り込んでハァーと息をつくシーンがよい。前に撃ち殺す時、カーヴはアッシュにキスをしたのだが、今度はアッシュがカーヴにキスをする。その後でカーヴを川まで引きずっていく。やや女性的なシーンの後でそうやってマッチョな行動を取るので、やせこけて年を取った身動きできないカーヴの情けなさ、恐怖がくっきりと出る。動けないまま流されていくカーヴの上には町の人が投げ込む花が降ってくる。こういうところは映画として本当によくできていると思う。色の使い方も独特で、独自の世界を形作っている。

ザ・クロウ5

その後アッシュは、ユダにつかまっているサラを助け出すためにタワーにかけつける。タワーの前ではカーニバルみたいに大勢の人々が集まって踊り騒いでいる。このシーンがなかなかよくできている。ハリボテの人形みたいなのがあやつられていたりしていいムード。もちろんアッシュはタワーの中に入れるはずもなく、足場を見つけてよじ登り始める。鳩がパッと飛び立ち、ユダがカラスを殺し、力を失ったアッシュがまっさかさまに落ちて・・ここまではよい。しかしその後は前にも書いた通りひどい展開となる。それにしてもアッシュは復讐を遂げた後はどうなったんだろ。エリックにはシェリーが現われてやさしくつつみ込んでくれたけど、バイクで疾走するアッシュはいったいどこへ行ったのか。死んでから一年たっているエリックとは違い、アッシュはまだ体が存在しているから、エリックみたいにフッとかき消えるわけにもいかないでしょう。海から引き上げて埋葬したダニーのお墓へ行ったとしてその後どうなるの?魂はどうにでもなるけど体の方は?一方ユダは生きているのにカラスによってあの世に送られてしまった。カラスの血を飲んで不死身の体になったというのに。このように死んでいるのに血を流し、痛みを感じるアッシュと、生きているのに肉体をあの世に持ち去られてしまったユダ。何だかわけのわからない設定ではある。もう一つ気になるのは、浮浪者みたいな少女が出てきて、サラもアッシュも彼女に声をかけることだ。サラが一作目と二作目との橋渡しの役を担ったように、三作目へのつなぎをこの少女がするのだと思う。でなければストーリーに全く関係なく主役の二人に絡む意味がない。となれば猫やマスク、あるいは指輪のような何かカギとなるものを彼女は手に入れるはずだ。私だったらアッシュがサラを教会に運んで去った後、ここをねぐらにしていた少女がサラを見つけ、何気なく指輪を取り自分の指にはめるシーンを入れるだろう。それでこそ彼女が二回も登場する意味が出てくる。もっとも私は他のクロウ映画はまだ見てないんだけどね。原作者オバールの絵は最初はあまりいいとは思わなかったが、そのうちにだんだん引かれるものが出てきた。描かれているのが死人だというせいもあるが、無常感や虚無感が強く感じられる。彼らにとってはほとんどのこと(お金、名声、健康etc.)はもう無意味だ。そこに引かれる私って・・ヘン?

クロウ 復讐の翼

メビウス君続きます。これがシリーズ四作目。この映画もまずはレンタルして見た。印象はよくなかった。今回、例によって田舎に引っ込む前に・・とDVD買った。そしたら!・・まあこれはまた後で書きます。最初見た時は、主人公アレックス(メビウス君)が無実の罪で処刑されるまではなかなかいいな・・と。でもその後がだめ。他の「クロウ」と違うのは、アレックスが悪人でない人まで一緒に殺していること。これはちとまずい。・・今日はアレックスの21歳の誕生日。でも、死刑執行当日でもある。恋人ローランを殺した罪で。彼は無実を訴えるが、彼が犯人だと主張する腕に傷あとのある男は結局見つからなかった。電気椅子での処刑を見守る人々の中には、ローランの遺族・・父親のランデル(ウィリアム・アザートン)と、妹のエリン(キルステン・ダンスト)もまじっていた。顔が黒焦げになるなど、執行には手間取ったが、アレックスはついに息絶える。しかし安置所で目覚める(早!)。その時には記憶を失っているが、だんだん思い出す。焼けた皮膚をはがすと、まるでピエロのような顔になっていた。このシーンは、「今日は旬のお野菜を使ったお料理、焼きナスをご紹介いたします」というナレーションが聞こえてきそう。あるいは「フェイス/オフ」かな。重要なシーンだが、他の「クロウ」映画と違って驚きも悲しみも美学もない。今回のアレックスは若いし、髪も短い。死の恐怖におびえながらも何とか平静さを保ち、弁護士相手にチェスをする。とうとう時間が来る。そして執行。絶望・恐怖・無念・・とても気の毒だ。メビウス君の演技がいい。しかし生き返ってからはあまり彼の魅力生かしていない。ピエロのようなメイクはお約束だが、今回は塗るのではなく皮膚をはぐ。現われる白い皮膚・・。でもやっぱり変だ。しかも短髪。やはり長髪でこそ陰影ができ、あのメイクも生きるのでは?甦った後記憶を取り戻すってのも二度手間。今死んだのだから記憶そのままでいいじゃん。生き返ったことにもっとびっくりし、もっとおびえろ!ただ、アレックスがローランの墓へ行き、「そばまで行ったのに・・」と語りかけるシーンはじーんとくるのでよろしい。その後天使か何かの像が血の涙流すのはやりすぎでしらける。アレックスは少林寺だかカンフーだかをやってるらしいが、どの程度の腕前なのかは不明。

クロウ 復讐の翼2

この映画アクションも銃撃戦も印象うすい。二人の悲恋も心に迫るものがない。ローランは18歳くらいで、かわいいがなかみは?21と18のカップルじゃ若すぎて、人間に深みがなくて当然か?とにかくアレックスの目的は腕に傷のある男捜すこと。アクションもロマンスも今いちと言うなら、犯人捜しに期待するしかない。どうもこの事件には刑事達が絡んでいるようだ。今のアレックスには超能力がある。凶器のナイフに触れると、ローランが殺された時の情景が見える。そして痛みも・・。彼女を殺したのは四人の刑事だった!一方エリンは、今頃になってアレックスが無実だったのでは・・と思い始める。墓地で出会った、あの奇妙な顔の青年は誰?今回は相手がギャングではなく警察官だというのが一つのポイント。もう一つはアレックスとエリンの関係。エリンは姉とアレックスとでは身分違いだと考え、交際に反対していた。しかし二人が本当に愛し合っていたのだと知る。彼女にとってショックだったのは、父親が事件に関係しているらしいこと。警察は腐敗し、麻薬や売春によって儲けていた。ローランはそれを知ったために殺されたのだ。今また父親が自殺に見せかけ、殺されてしまう。エリンはひとりぼっち・・とまあ、あれこれあるんだけど、あんまりおもしろくないです。映像もスタイリッシュという感じじゃない。そこらへんでごそごそやってる・・という感じ。ぱっと目をとらえるもの、心をつかむもの、胸に突き刺さるものがない。冒頭カラスが解剖されているみたいで、血がじわーっと。そして腕に傷のある男・・。「デュカリオン」みたいだな、カラスの力を取り入れようとしているのか・・などと期待させられる。でも・・結局何もない。魔力も霊力も・・。何のためのカラスだったのか。アレックスは自分が不死身だと知るといろいろ試してみる。手に釘刺してみたり・・そして喜ぶ。ウーム、まだ若い。青い。「ザ・クロウ」のペレーズの演技見習え。彼が警官やっつけるシーンもなあ・・。中にはまともな警官もいるはずで。映画なんだから悪い警官だけやっつけるっていうふうにしないとだめ。後味悪くなる。途中で彼は傷のある腕を見る。腕は切断されている。腕の持ち主は死んだ。したがって自分の復讐は完了した。もう生きてる理由はない。超能力も消える。

クロウ 復讐の翼3

しかしその腕はニセモノで・・。今のアレックスは、切れば血の出る普通の人間・・ピンチだ!他の出演はフレッド・ウォード。あとは・・知らん人ばっか。さて、「クロウ」には副題ついていることが多い。ブランドンの一作目は日本でだけ「飛翔伝説」とついていたけど、ペレーズ主演の二作目は「シティ・オブ・エンジェルズ」。マーク・ダカスコスの三作目(テレビシリーズ)は「天国への階段」。そして四作目(テレビムービー)の今作は「サルべーション」。エドワード・ファーロングの五作目が「Wicked Prayer」・・「邪悪な祈り」とでも訳すのか。・・「サルべーション」は「救済」という意味かな。アレックスの救済と言うより、エリンの救済のように私には思える。つまりアレックスがエリンの救済者。エリンは姉のことで後悔していた。でもアレックスは「お姉さんは53回も刺されたけど、最後まで生きようと戦った。君もがんばれ」と諭す。この映画のキモはここだと思うな。とにかく生きろ!だってアレックスやローランにはそれはもうできないこと。もっと生きたかったのに中断させられた。まあ普通ならここでじーんとさせられるところだけど、ローランの描写が今いちなせいもあって、深く感動・・とまではいかなかったな。ちょっと残念。キルステンはよかったと思う。でもクライマックスでは口を縫われて(?)いて、糸を取った後も口のまわりに点々が・・。これって彼女に気の毒。さるぐつわでいっこうにかまわないのにな。さて、私がDVD買ったのはメビウス君目当て・・というのと、「クロウ」シリーズだからというのがある。いい映画だからってわけでは決してないのよ。これまで書いてきたように、ところどころほんの少しいいところがある。でも全体的にはだめだめ映画。ところがよくしたもので、こういう映画でも何となく引かれてしまう私のようなバカがいるのよ。さて、レンタル用DVDには確か特典はついていなかったと思う。だからDVD買ってもしばらくはほうっておいた。今回感想を書くために久しぶりに見直して、特典がついてるのに初めて気がついた。まずメイキング。もちろん期待していない。本編が本編だから。でもここでのインタビューに出てくるメビウス君があなた・・ファンにとってはウハウハなんですの。

クロウ 復讐の翼4

さっぱりしたヘアスタイルに白いランニングシャツ。さわやかスポーツマンという感じなんですの。シャワー浴びた直後みたい。石鹸の香りしてきそうキャッ!!どうしてこういうさわやかな感じで本編出てくれなかったのッ!!もったいない、あんなメイクで・・。「デスクロウ」の後でメビウス君見るとホント若いね!五年くらい間があるから当然なんだけどさ。これを見ることができただけでもDVD買ったかいがあったわ・・とウキャウキャ喜んでいたんですけど、次のおまけがこれまたあなた・・(絶句)。「クロウ」シリーズには当然のことながらカラスが出てくる。ってことはカラスの調教師がいるってこと。で、その撮影風景として出てくるのが、な、何と「ザ・クロウ」なんですよ。もう大感激!そりゃもちろん「ザ・クロウ」のDVD持ってます。私の宝物。でも特典は予告編だけ。メイキングとか削除シーンとかいろいろあるはずなのよ。でも日本発売のDVDには入れてくれなかったのよケチ!でも今回ほんの少しだけど見ることができたのよ。ウッ!撮影中のペレーズもステキだわッ!何しろ動物が相手だから、俳優の演技ではなく、カラスの出来に左右されるわけ。会心の演技してもカラスがうまく動いてくれなきゃやり直し。俳優も大変ねえ・・。しかもカラスの鋭いクチバシは怖いと思うよ。特典でわかったけど、飛行シーンもちゃんと実写でとってるらしいんだな。送風に注意して・・なるほどなるほど。改めて思うけど、私にとっては「ザ・クロウ」が一番だな。そりゃブランドンのが出来が一番いいし、カリスマ性もあるってのは承知してますけどね、それでもね。この特典つけてくれて本当にありがとうございました。さてと少しスペースがあまったので「地球の静止する日」のリメイク「地球が静止する日」について書きます。さっぱり進まない「ヒドゥン」リメイクにくらべ、こっちは予告も見れるし12月の公開が楽しみだわん。ジェニファー・コネリーが「ハルク」続編に出なかったのはこの映画のせいですか?キアヌのクラトゥ早く見たい!でもたった一つ気になるのはジェイデン・クリストファー・サイア・スミス。ごたいそうな名前だけどウィル・スミスの息子。役名ジェイコブ・・ってサム・ジャフェがやった老博士の名前じゃん。どうかこういうわけのわからんのがそこらへんチョロチョロしてせっかくのリメイクだいなしにしませんように・・。

クロウ -真・飛翔伝説-

これは日本では未公開。WOWOWなどでもまだやってないのでは?エドワード・ファーロング主演でクロウが作られたというのはネットで見て知っていた。彼ならいいかも・・と思ったのは確か。でもアクションは無理だろうな。「コべナント」「インターメディオ」「悪魔と天使」などではおなかぽっこりだったから、太ったクロウじゃ困るな・・とも思った。DVDは高い新品は買う気がせず、値段が下がるか中古を見つけるまでがまん。何年かたって、やっと中古見つけてゲット。いろいろ悪い予感はあったけど、それらはすべて当たってしまいました!ストーリーはメチャクチャ、何が何だかわからず、つながらない。登場人物のキャラは中途半端で、背景はあいまいもこ。演技はへたというよりみんなして浮いてる。だから見終わっても感想書けず、そのまましばらくほったらかし。でもいちおう気にはなるので、今回片をつけようと再挑戦。監督と脚本家のコメンタリーがついているので、まずそちらから。続けて三回目鑑賞。普通の人は三回も見て人生ムダにしないと思うけど、私はね・・ムダなことばっかりやってる人間ですから。監督は「シックス・ストリングス・サムライ」を作った人らしいが、私は見たことなし。コメンタリーも自画自賛ぽくて、それはまあこの二人に限らないけど。「クロウ」シリーズと言うと、いくつかお約束事がある。見る人はそれを期待して見る。でも作り手はそういうのはやりたくない。と言うか、そうならないよう努力したと。そんな努力しなくていいのに!今までは都会が舞台だった。夜とか雨とか暗かった。でも今回は違う。撮影はソルトレークあたりでやったようだ。アステカのカラスという部族がいる。ラバス鉱山によって汚染の問題が起きたため、部族のリーダー、ハロルド(ダニー・トレホ)はリゾート・カジノを開設する。当然鉱山で働いている鉱員達は仕事を奪うなとなって、メキシコ系アメリカ人と先住民の間に摩擦が起きる。ジミー(ファーロング)は今夜12時に仮釈放が終わり、自由の身になる。トレーラーハウスに住んでいて、人殺しとか殺人鬼と言われたりする。彼は恋人のリリー(エマニュエル・シュリーキー)とここから逃げ出したい。リリーはハロルドの娘で、兄のタナーは保安官(たぶん)。もちろん二人ともジミーを敵視している。

クロウ -真・飛翔伝説-2

一方疫病神(ユウジ・オクモト)、大食らい(ティト・オーティズ)、戦士(マーカス・チョン)の三人は鉱山に不満持ってるのか。ローラ(タラ・リード)と四人で、服役中のルーク(デヴィッド・ボレアナズ)を脱走させる。ルークは悪魔教団のリーダーで、通称死神。父親を部族に殺されたとかで、部族を滅ぼしたい。ルークと三人とでは復讐したい相手が違うのか。ここらへんで早くもわけがわからなくなってくる。登場した時、ジミーのまわりが羽毛だらけなのはなぜなのか。一人で前祝いでもやったのか。サソリを集めているのはなぜなのか。売って生活しているのか。彼は指輪を用意し、バラの花束を持ってリリーのいる交易所に向かおうとするが、車が動かない。それで自転車を漕ぐ。ここらへんはファーロングファンが胸キュンとなるシーンだ。登場した瞬間、あのはかなげな美しさが失われていないのを見て、ホッとする。少し長めの髪、ヒゲもないし、あごの下のたるみもゼロ。チラッと「ん?おなかが?」と思えるシーンもあったけど、一回だけだったし、もしかしたら気のせいかも。つまり期待を裏切らない美しさ。相手役シュリーキーも清楚な美人。「メンタリスト」のローレライだ!途中でタナーが邪魔して自転車ごと転んじゃったけど、気にしない。どうやってプロポーズしようか、そっちの方で頭がいっぱい。ところが出てきたのはローラ。リリーは男達につかまっていた。二人して首にロープをかけられる。ローラはリリーの目玉をえぐり出す。青い目を手に入れて巫女になり・・ここらへんも何が何やら。彼女はある種の本を持っていて、それを利用してルークを魔王にするのだ。ルークはジミーの心臓をつかみ出す。「デビルスピーク」みたいだな。呪文の効果が現われ始め、ルークの腹には666が浮かび上がる。ルークとジミーは以前友達だった。二人とも鉱員だったのか。ルークはリリーが好きだったのか。彼女とジミーが愛し合ってるのが憎かったのか。二人の死体はゴミ置き場に捨ててある冷蔵庫に入れられる。この冷蔵庫は大食らいが子供の頃母親に閉じ込められたもの。一仕事終え、大食らいや戦士にはいやな気分がつきまとう。ローラは自分の手に血がついているように思える。不思議な力を持った目は、戦士の過去の悪行を彼女に見させたりする。

クロウ -真・飛翔伝説-3

後悔や恐怖とは無縁なのがルーク。そのうち幻覚剤のききめが出て、みんな浮かれ始める。その頃、カラスの導きでジミーが目覚める。胸の傷もなくなっている。混乱するが、そのうち記憶が戻ってくる。リリーの死体を交易所へ運び込む。ただ一人味方してくれた、孤独から救ってくれたリリー。絶望して自分を銃で撃つが、死なない。死ねない。トレーラーハウスへ戻る。飼い犬のバーナビーは彼を見ると逃げてしまった。貼ってある写真の一枚にはピエロのようなメイクをした自分がリリーと一緒にうつっている。メイクをしてくれたのはリリー。今は自分で塗る。油をまき、火をつける。トレーラーハウスが爆発し、クロウの誕生だ。放心したような表情でここらへんはなかなかいい。と言うことは「クロウ」シリーズのお約束をやってるから、いいってことだ。目覚め・・絶望・・怒り。炎・・爆発・・誕生。でもオリジナルなことやり始めると、まただめになるけど。ファーロングはクロウのメイクが似合っているとは言えない。しかし、この頃の彼がまだ持っていた美しさ、はかなさ、女性的な外見が生かされる。一方交易所でリリーを見つけたタナーは、ジミーが殺したのだと思い込む。ルーク達は生け贄にする処女を求めて教会へ。結婚式の最中だったが、花嫁は妊婦。これじゃあだめだ。牧師のモーゼスは昔はワルだったが、今は改悛している。どうやら彼は牧師だったルークの父親を殺したらしい。ルークが悪魔教に宗旨替えしたのはそれがきっかけか。ルークはモーゼスを撃ち、教会内にいた数人も撃ち殺される。悲しむモーゼスの妻メアリーの前に、ジミーが現われる。実はモーゼス夫妻の息子を殺したのはジミー。息子がリリーをレイプしようとしたからだ。ジミーが触れると、死んだはずのモーゼスが生き返り、メアリーは喜ぶが、息子を殺したことは許せない。あの~何で生き返るの?他にも殺された人達いるけど、そっちはそのまんま?起きることがみんな散発的で、関係はしているんだろうけどつながりが悪い。三回目見ていてわかったんだけど、全部一晩の間に起きた出来事。殺人の後パーティやって、教会へ行って、バーへ行って、クラブへ行って・・何でそうやってモタモタしてるんだろう。魔王になるための儀式は夜明けまでにすませなければならない。だったらそれに向かって一直線に突き進むはずだが。

クロウ -真・飛翔伝説-4

モタモタするのはアクションシーンも同様。「クロウ」シリーズはダークな世界、悲恋、アクションの三つがキモなはず。それなのに何だこのヘナチョコアクションは。銃を構えるシーンはある。しかし構えてもなかなか撃たない。そりゃ狙いを定めてから撃つに決まってるけど、そうは見えないのだ。そういうカッコしてるだけ、銃を振り回しているだけ。弾がもったいないのかよ。特に戦士役のチョンは「マトリックス」に出ていて、鼻の穴がおっぴろがったインパクトのある顔つきをしている。いかにも撃ちまくりそうな顔している。それなのになかなか撃たない。魔力が使えるようになるとルークは早送りとかで移動し、ジミーはもっぱら吊り下げられているって丸わかりの飛び方する。見せ方がへたと言うか、もうちょっと何とかなるだろうという、見ていて情けなくなるほどひどい。あとスローモーションね。書いてるこっちもため息つきたくなる。コメンタリーではルーク役ボレアナズのことやたらほめてたけど、私にはボレアナズじゃなくてボケナスとしか思えない。彼はテレビの「BONES」で有名らしいが、こういう悪役は似合わないのでは?体格がよくて首が太くて健康的な感じ。こういう邪悪さとは無縁に見える。ところでこの映画にはデニス・ホッパーが出ているはずだが、なかなか出てこない。1時間以上たってやっと登場する。入口には十字架みたいなのがあって、中は秘密クラブみたいな。若い女達にかしずかれているみたいな。この頃には疫病神と大食らいは倒されて、残っているのは戦士だけ。生け贄は、処女がいないので男の処女・・童貞でもいいやとなったり、真面目なんだかふざけてるんだか。おまけにホッパーの役名はエル・ニーニョだ!ローラが持っている本はニーニョから盗んだもの。つまり彼女は以前ここにいたけど本を盗み、逃げ出したのだ。でも戻ってきてニーニョに立ち会ってもらって、ルークと結婚式を挙げるのだ。外にはジミーと戦士。ハロルドや部族の連中も来る。タナーはもう真相知ったけど、ハロルドはまだジミーがリリーを殺したと思い込んでいる。で、あれこれあって戦士は身につけたダイナマイトで吹っ飛び、燃える地面にはお約束のカラスの形。見ている者は失笑の連続(たぶん)。カラスがやられたせいで、ジミーは無力に。と言うか、彼の場合死なないというだけで、クロウになってもあんまり強くないんだけど。

クロウ -真・飛翔伝説-5

磔にされ、吊るされたジミー。夢の中で横にいるリリーともう少しで手をつなげる・・というところで、無理やり現実に引き戻される。あの時手をつないでいたらそのまま昇天できたのか。魔王となったルークはローラと共に墓地へ向かう。夜明け前までに儀式を完遂させれば、強大な力を得られる。今回カラスを復活させるのはハロルド。彼はカラスの伝説はあんまり信じていないみたいだけど、リリーは固く信じていた。で、トレホが上半身裸になって踊り始める。う~む、こんなことのためにトレホ出してきたのか。そう言えばホッパーも微妙だった。彼が魔王に・・というのならわかる。でも魔王の誕生に手を貸すだけ。ここでのホッパーは、オレここで何してるんだろう・・って感じ。わけのわからない映画にさんざん出てきた彼も、今回はいちだんとわけがわからなかったことだろう!!書いてる私もわけわからん。早いとこ終わりにしよう。カラスが甦り、ジミーはルークを倒す。夜が明けてしまい儀式は失敗。ローラはタナーに逮捕される。ジミーはたぶん霊柩車からリリーを運び出し、思い出の木のそばに埋めたのだろう。死体がなくなったことに気づいたハロルド達はあわてるだろうけど。戦いが終わり、疲れ果てて車のハンドルにもたれるジミー。メイクなしのきれいな素顔に戻っている。木に吊り下げたブランコに腰掛ける。木には二人の名前が刻みつけられている。静かにリリーが現われる。ラストシーンは美しい。すでに埋められたリリーはともかく、ジミーはどうなるのか。ハンドルにもたれたまま眠るように死ぬというのも美しいけど、リリーのそばで眠りたいだろうしな。エンドクレジットで流れる歌がいい。歌詞はシンプルだ。”私はいつまでもあなたのそばにいる”・・恋する者にとって永遠の願いだ。コメンタリーでは「映画を完成することがまず奇跡で、いい映画はさらなる奇跡」と、いいことを言っていた。こんなわけのわからんものが、とにもかくにも一本の映画になった。いい映画とは全く言えないアホ映画だが、それでも今では失われてしまったファーロングの美しさをフィルムに刻み、切なく甘いラブソングを聞かせてくれた。どんなものにも取りえはあるのだ。これも一つの奇跡なのだ。