キャットウーマン
私はネコ派である。飼うことはできないからそこらのネコを指をくわえて見ているだけだが。「バットマン」にキャットウーマンが出ていたことは知っているが、ミシェル・ファイファーは私にとってはどうも印象がうすくてよく覚えていない。私はキャットと言うとナスターシャ・キンスキーの「キャットピープル」だな、やっぱ。今回見に行ったのはネコが好きだからだが、もう一つはベンジャミン・ブラットが出ているから。「デンジャラス・ビューティー」の時も、今回のトムもそうだが、ヒロインをサポートする役がばっちりはまる。いい男だし体つきも適度にたくましく、普段からトレーニングにはげんでいるんだろうけど、それを表に出して見せびらかすところのないのがいい。「デンジャラス」も今回も、明るくて誠実で大人。トムはその上謙虚で真面目で・・こんないい人めったにいない。最後は住む世界が違うからとペイシェンスはトムの前から姿を消すが、何てもったいない。トムほどのいい男にはもうめぐり合わないかもね。まあペイシェンスは一度死んで生まれ変わったわけだから、普通の人間として生きるのは無理なんだけどさ。だって人間の形をしていてもネコなんだから。ペイシェンスは囚われの人生から抜け出し、自由に生きる力を得たが、自由イコール孤独でもあるのよね。でもラストのペイシェンスはちっとも悲しそうじゃない。ネコは単独行動を好む。だんだんネコに近づいてきている彼女は、過去の人間関係も簡単に断ち切れるようで・・。まあ2でどうなるか知らんけど・・作られるんでしょ?続編。さてこのヒロインの大きな特徴は、行動が善とか悪とかと言った概念に左右されないこと。今回は女性に害を及ぼす化粧品が販売されるのを阻止したが、これはたまたま自分が巻き添えをくって死ぬはめになった事件だから。正義とか大義なんてことはどうでもいいこと。だってそれは人間の考えなんだから。ネコにはそんなこと関係なし。でも夜中に近所の騒音で眠れないとなるとこれは話が別。自分に直接関わってくる「気にくわないこと」だから、押しかけて行って相手をしめ上げる。ネコはうるさいのが嫌い。冒頭はまるで「ハムナプトラ」の世界。あの文字でTHE MUMMY RETURNSと来るかと一瞬思っちゃったわよ。全体のムードはいい。ハル・ベリーは「ゴシカ」に続いていい仕事をしていると思う。
キャットウーマン2
名作でも傑作でもないが、楽しませてくれる映画。ペイシェンスは最初出てきた時は呆れるほどひどいファッション。あの赤い袖口はいったい何なの?ヘアスタイルもひどい。それが生まれ変わって大変身。髪はばっさりカット。露出度の高いコスチューム、マスク、ムチ、濃い化粧・・そりゃキャットウーマンと言うよりはSMの女王でしょうよ。「ザ・クロウ」にも似たようなカッコしてるの出てたし。ミシェル・ファイファーの方がいいと言う人もいるけど、私は前にも書いたけどあんまり印象に残っていないし(むしろ「ウルフ」のイメージが強い)、比較しようとは思わないな。この映画って一歩間違うと男性が鼻の下をのばし、女性がそっぽを向く内容になったかもしれない。あるいは逆に女性に媚びるような内容になったかも。そこらへんはどっちにも偏らずバランスの取れた内容になっていると思う。私だって女性に媚びるような映画は見たくないよ。敵役には大物のシャロン・ストーンを持ってきて、ラストで大バトル。普通ならシャロンはキャットウーマンの後ろ楯(能力を与える方、謎を解き明かす方、つまりオフィリア役)をやるところだが、まあなりふりかまわず戦うわけよ。本来ならペイシェンスの標的は社長のジョージになるところだ。ジョージ役はランベール(ランバートと言うよりこっちの方がしっくりくる)・ウィルソンで、出ているとは知らなかったのでびっくりした。男性から見ると女二人が戦うのはヒトゴトだから、「おーおー二人してやっとるやっとる」なんて気楽に見てればすむ。女性から見ればどちらにも共感できるから「どっちもがんばれ!」となる。あのシーンで「シャロンくたばれ!」なんて思っている女性はあんまりいないと思う。さてこの映画の欠点はアクションシーンがトホホなこと。「カポエイラ」という武術を使い、ハルががんばっているのはわかる。壁をはったり、ビルから飛び降りるのがCGやスタントウーマンバレバレってのも許してあげる。あの前髪は顔を見えにくくするため。警察の窓から飛び降りるシーンでは、体は着陸態勢に入っても顔はぎりぎりまでそむけたまま。ネコだったら着陸地点を見るために首を回すでしょ。着陸地点はでこぼこかもしれないし、地面までの距離も判断しなきゃならない。まあそういうトホホな部分は全部ひっくるめて許してあげる。
キャットウーマン3
でも!寛大な私でもあの戦うシーンでの細切れならぬみじん切りシーンには呆れたわよ。まともにうつしているのほとんどなし。きれいでスピーディーなのは確かだけど、一瞬一瞬を切り取って並べただけのうそっぱち。「パニッシャー」を見た後だから余計そう感じる。ネコにしてもペイシェンスを生き返らせるシーンでのミッドナイトはモロCG。ネコに演技させるのは難しいだろうけど、CGでごまかされるよりは本物のネコのそれらしい演技を見たかった。くっきりはっきりばっちりのこんこんちき・・ってなCGネコを見るために来たんじゃないよ、こちとら。でも監督が「ヴィドック」の人なら仕方ないかも。あれはひどかったもんね、やりすぎもいいとこ。スシバー(?)での水槽を見ているペイシェンスはかわいかった。さて宣伝もパンフレットもハルがメインで、それはまあいいんだけど、ベンジャミン・ブラットのことももっと注目して欲しいな。「ツイステッド」のアンディ・ガルシアもそうだけど、引き立て役がうまいからこそヒロインが際立つのよ。あんまり関係ないけど「僕の彼女を紹介します」の宣伝も「猟奇的な彼女」の・・ってそればっか。「火山高」の・・とは誰も言わない(私は一目見てわかったよ!)。ブラットと言えば「刑事ジョン・ケイン~」に出ていた。呪術的な能力を持った凶悪犯の役で、ものすごい目つきをしていて、エンドロールを見るまでブラットだとは全然気づかなかった。えっ若い頃はこんな役もやっていたの?って感じ。まあ私は今回のトムのような役の彼をもっと見てみたいな。・・さて、秋になってせっせと映画館に通っているわけだが、「パニッシャー」を見に行った時、聞き覚えのある曲がかかっていて・・これって「アイデンティティー」の曲じゃん。この映画見たのこの館だし・・。いろいろ凝った作りの映画があるけど「アイデンティティー」はホントよくできていたよな・・。「シークレット・ウインドウ」がアレだったからさ。見ながら「えっ、こんなんでいいの?お金払って見にきた客に対して力抜きすぎじゃないの?」って思ったもんね。見ながらハラハラドキドキするんじゃなくて、どんどん気持ちがさめていくのがわかるの。CGでしらけるっていうのはよくあるけど、内容でしらけるっていうのも珍しいよな。「キャットウーマン」はそれにくらべればまだマシ。