がんばれ!ベアーズ ニュー・シーズン

がんばれ!ベアーズ ニュー・シーズン

某駅から歩いて30分のシネコンへ。往復1時間だからいい運動になる。ココ、歩いて見にくる人のことあんまり考えてくれていない。フェンスの穴から入ったという人もいるくらいで、それくらい歩きの人には入口がわかりにくいし遠回りさせるのよ。来るのは三回目で、「サンダーバード」は二人、「パニッシャー」は七人、今日は五人だった。いつもより館内をウロウロしている人が多いのはヨン様のせいだろう。チケットを半分に切ってもらわなきゃいけないのに「チケット持ってれば入っていいんでしょ、もう入ってる人いるし・・」とずかずか入っちゃう。日本には憲法が二つあって、その一つは「オバさんのオバさんによるオバさんのための憲法」なんだいッ!いつでもどこでもオバさんの方が正当なんだいッ!・・って私もオバさんですけど、私はちゃんと係の人が来るまで待ってましたよ、ハイ。普段映画館に来ない人までヨン様のおかげで来てるってことで、その点は喜ばしいことだと思っている。さて「ベアーズ」だが、残念ながら吹き替え版。そりゃ「F4」と同じで内容的には日本語でかまわないんだけど、主役がビリー・ボブ・ソーントンでしょ。やっぱあのいい声聞きたいわけよ。でも字幕版やってるとこ少ないし、たいていは夕方から。主婦にはムリな時間帯よ。仕方がないからこうして見にきたわけだけど・・音がおかしい。録音が悪いのか機械の調子が悪いのか、大きくなったり小さくなったり。非常に聞き苦しくいらいらさせられる。後半やっとまともに聞こえるようになったけど。それでなくても前半はもたついているし、それでなくても五人しかいないわけでしょ。抱腹絶倒なんていうのとはかけ離れた状態。大きくなったり小さくなったりの音に、はっきり言って「はずれムード」が漂っていましたぜ。どうなることやらと思ったけど、後半の試合部分はけっこうワクワクしながら見ることができた(少なくとも私はね)。リメイクだそうだが、私は元のは見ていない。その後のシリーズも見てないので、オリジナルにくらべて出来はどうなのか、内容を変えたのか変えてないのか、そこらへん全然わからん。オリジナルがウォルター・マッソーとテータム・オニールなのは知ってる。マッソーとビリー・ボブではタイプが全然違うのもわかる。そもそも私が見に行く気になったのは、ビリー・ボブが出ているから。

がんばれ!ベアーズ ニュー・シーズン2

彼が子供相手にどういうふうにやっているか興味があった。「バッドサンタ」もそうだったけど、彼の役って相手が子供でも決してこびない。だめなろくでなしなのをそのまま見せる。酒が好き、女が好き、ぐうたら。子供をだますし、ウソつくこと教えるし、仕事(害虫駆除)やらせちゃったりする。子供の手本になろうとか子供のために犠牲になるとかそういうのいっさいなし。対照的なのがベアーズのライバルヤンキースのコーチ、レイ(グレッグ・キニア)。ニコニコと愛想がよく、友好的だが見せかけだけ。最初話しかけられた時からバターメイカーは相手をしない。握手しようと差し出された手は無視するし、話もそらす。バターメイカーはいいかげんな男だが人を見る目はあるのだ。特に若い女のコの形のいいオシリを見分ける目はばつぐん!ラスト、我々が勝てたのもベアーズの存在あったればこそとか何とか、心にもないきれいごとを並べ立てるレイ。・・と言うか、そういうことを言う自分に酔っている(女房にアイソつかされるのもムリはない)。ところがベアーズの連中はスポーツマンシップが何だってんだよーとばかりにビールかけて(もちノンアルコールですけど、ビールと名のつくものを子供が飲んでいいの?)バカ騒ぎ。エールを送られても無視するのがおかしい。子供達はそれぞれ個性的で、投打の要となるのがバターメイカーの娘アマンダと不良少年のケリー。ずぼらなバターメイカーも娘のこととなるとデートの心配したりするのがおかしい。別れた妻、つまりアマンダの母親が出てくるのかと思ったら結局出てこなかった。この映画けっこう長いけど省略されていることは多い。子供達の家庭環境、学校でのいじめ。アルメニアからの移民の子であるギャロのことが少し描かれるだけ。下半身マヒのフーパーは車椅子だが、誰もつき添いいないし、バターメイカーも子供達もほとんど手を貸さない。電動だからあんまり人の手を借りなくてすむのか。でもトイレとかどうするの?ケリーは不良ということになっているが、その程度は不明。アマンダとの仲もほとんど省略されている。別にワルぶりを描く必要はないし、恋愛感情も(それを心配する)バターメイカーのうろたえぶりを描くだけで十分だ。お互いに好意をいだいているのは確かだが、ライバル心もあるし(二人ともスケボーには自信持ってる)、野球で優勝もしたい。

がんばれ!ベアーズ ニュー・シーズン3

親が心配するより子供の方がしっかりしていて、かえって子供の方が親のこと冷静に見ていたりする。プレムはインド系で、コンピューターに強いのがいかにも・・な設定だ。誰にでも突っかかるのがタナーで、その疲れを知らないけんかっぱやさは、笑えると同時にいじらしくもある。塁を回る相手チームのランナーをいちいち邪魔するところがおかしいが、彼が本当はさびしがりやなのだということも伝わってくる。誰にでも手を出すのは誰かと関わっていたいからだ。彼と正反対なのがルーパスで、何事にも無反応。返事をしない、ボーッと突っ立っている、いるのかいないのか、何か考えているのかいないのか、人生に望みを持っているのかいないのか、すべて不明。最初見た時は女の子かと思った(しゃべらないダコタ・ファニング風)。まわりとうまく接することができず、できなくても別に何とも思わない。それでいてたまにまわりの目を自分に引きつけるようなことをする(車から落ちたりとか)。一種の情緒障害だろうが、家のことも学校のことも出てこないので、普段どう扱われているのかは不明。兄弟が大勢いて、ほったらかしにされているような気もする。演じているタイラー・パトリック・ジョーンズは「レッド・ドラゴン」でエドワード・ノートンの息子をやった子。ヘアスタイルのせいで全然気がつかなかった。トビーはベアーズのオーナー的存在リズの息子。リズと一夜を過ごしたバターメイカーと、家の中でバッタリ出会う。でもうまく言いくるめられてしまう無邪気でかわいい子。他には定番の太っちょ、黒人、スペイン語しか話せない双子。リズを演じているのはマーシャ・ゲイ・ハーデンで、これがまたボリューム満点。見かけだけでなくなかみもボリューム満点。弁護士で(したがって口うるさい)、シングルマザー(母性愛たっぷり)、忙しいけど(トビーにはあれこれ習い事をさせ、忙しくさせておく。自分がかまっているヒマがないからだが、そういう現実には目をつぶり、習い事をさせるのはトビーのため・・と思い込むようにしている)、家庭的である(と言うか、家庭的であると思い込もうとしている。まわりにもそう思わせたい←要するに偽善的ってこと)。レストランでバターメイカーに「手作りのビネガーあれこれ詰め合わせ」をプレゼントするところが笑える。ついでに自分自身もプレゼントしちゃっていたけど。

がんばれ!ベアーズ ニュー・シーズン4

彼女なら自分で自分にリボンをかけかねない(うう、赤いリボン飾られたブタの丸焼き想像してしまった)。ハーデンは「ミスティック・リバー」のような悲惨な役が印象的な人だが、こういうコメディーもいけるというのがわかって、新鮮に思えた。リズは一人よがりの自己満足女だが、いやな女一歩手前のところで踏みとどまっていて、それはハーデンがうまいからだろう。アマンダの母、つまりバターメイカーの元妻が登場して、リズと顔を合わせていたらどうなっていたかな・・という興味もあったが、結局出てこなかったし・・。娘の大活躍、普通見に来ると思うが・・。バターメイカーは女たらしで、ベアーズのユニフォームのスポンサーが同伴クラブだったり、ケバイおねえちゃん達が応援団だったりするのがおかしい。仕事は害虫駆除だが、前にも書いたように子供達に手伝わせたりする。狭いところにもぐり込むのは子供の方が簡単だし、男の子だからネズミやゴキブリも平気。子供達が薬をかけ合っても、怒るのは「高い薬」だからであって「危険な薬」だからではない。発ガン性なんて書いてあっても気にしない。ネズミやら何やらの死体が入っていたクーラーボックスを洗いもせず、そのままドリンクを詰め込む。そういういいかげんなところがおかしい。もたもたしているのと音が悪いのとで、どうなることかと心配したが、まあ私は日米のコメディーにおける笑いのズレとか見込んでいたので、こんなものだろうと思いながら見ていた。お父さんと子供で満員だったらもっと笑い声も聞かれただろうけど、何しろ五人ですからねぇ、シーン、お通夜みたいでしたよ。後半の試合シーンはかなり長いけど、野球はいろいろ盛り上げることができるから退屈しなかった。フーパーのびっくりシーンもあるし。「カルメン」の曲が効果的に使われていて、こっちまでウキウキしちゃう。さて・・ビリー・ボブはいつも通りステキだったし、ハーデンは上手だったし、キニアは二枚目なのにこんな役ばっか・・それぞれよかったと思う。アマンダ役の子もよかったし、ケリーの一匹狼風たたずまいもよかった。ビョルン・アンドレセン5%くらい入ってるし!内容も「野球のことだけ」にしぼって、他の部分ほとんど描かず、その野球にしても「きれいごと」にしなかったのがよかった。「おまえら勝ちたいんだろ!」というバターメイカーの一言にすべてが集約されている。