紀元前1万年

紀元前1万年

予告は何回か見た。CGの進歩のおかげでこういう映画も作れるようになったのだなあ。大昔が舞台というとたいてい砂漠とか岩がゴロゴロとか、要するに乾いた世界が普通。何たって「恐竜100万年」の印象が強烈で・・。今回のは氷河期?寒い季節のって珍しくない?「原始のマン」がそうだったけど冒頭だけだし。そのうちジャングルとか砂漠とか、果てはピラミッドまで。いったいどこですか?ここ。監督ローランド・エメリッヒのことはよく知らんけど、こういうとんでも映画ばっかり作ってるらしい。私が見たのは「スターゲイト」「GODZILLA」「デイ・アフター・トゥモロー」くらいか。え?「ユニバーサル・ソルジャー」や「13F」もなの?まあ確かに「スターゲイト」に似たところはあるな。でもまず思い浮かべるのは「アポカリプト」。「300」は見てません私。ある部族が襲われ、奴隷として連れて行かれた先ではピラミッド作ってる。でもあっちはとにかく陰惨で、見ていて苦痛だったけど、こっちはそれほどでもない。ありえねーと思いつつも楽しく見られる。主演のスティーヴン・ストレイトは知らない人。調べてみたら1986年生まれ・・ってことは22歳?えッ、撮影開始時は18歳!?何かの間違いでしょ、こんな大作の主役に抜擢されて・・すごいラッキーボーイ。奥さんはリン・コリンズ・・おや?どこかで聞いたような・・。「ナンバー23」のブロンド・・1979年生まれ・・年上じゃん!ちなみに「ナンバー23」の特典に出てくる素顔のリンはブロンドではありません。すごく地味な感じ。スティーヴンは188センチもあり、筋肉質のいい体している。えッ、この映画のために30キロ減量?前はどんなだったの?「スカイ・ハイ」に出ていたらしいが、WOWOWでやった時、あんまりおもしろくないので途中で見るのやめたんだよな。彼コリン・ファレルに似ている。時代が時代だから髪は長いしヒゲは生えてるし薄汚れてるし。最初は誰が誰だかよくわからん。そのうち少し見分けがつくようになるが、アクションシーンになるとまたわかんなくなる。スティーヴン眉が太くてホントコリンみたい。私ずっとこの人はコリンなんだコリンなんだ・・って頭の中でくり返しながら見ていたわ。だってホントによく似てるし、知らん人だ知らん人だ・・って思いながら見てるよりいいでしょ。コリンがこの役やってたらなあ・・。

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演説する時なんかもっとうまく・・。「アレキサンダー」みたいに。と言ってスティーヴンが演技へたとか、そういうことじゃないんですよ。彼が演じるデレーはまだ未熟。欠点があって当然。子供の頃ある日突然父親がいなくなってしまう。裏切り者の子としていじめられたりするけど、どこかから連れてこられたやはり孤独な少女エバレットと愛し合うようになる。彼女は村を救う運命にあるらしく、巫母(要するに呪術師のおばあさん)が世話をする。このおばあさん超能力があるらしい。せっかくデレー達の活躍に見とれていても、突然出てきて水を差す。予知能力があり透視能力がありあげくの果てには泰山府君までやっちゃう・・って何のこっちゃ!あのさあ・・とんでもないストーリーだってのは承知で見ているんだから、その上わけのわからんことつけ足すのやめてくれる?呪術で何でもできる・・ってふうに持ってく必要ないと思うんですけど。何でもできるなら大神だって呪い殺せるはずだし。エバレット役はカミーラ・ベル。どこかで見たような・・と思ったら「ストレンジャー・コール」の人。いえ、私この映画見てませんけど何かのDVDに予告入ってた。ちょっとリリー・ソビエスキー風。彼女は最近顔の下半分がふくれてきて、おむすびみたいになってるけどカミーラは大丈夫です。どこがどうってわけじゃないけど、青い瞳は確かに魅力的ですな・・えッ!コンタクトレンズですか?デレーの親代わり、導く立場にいるのがティクティクで、クリフ・カーティスがやってる。前にも書いたけど「アポカリプト」のポスターでは彼が一番前にいる。いや別人なんだけどあまりにもそっくりなので、私はあれはクリフに違いない!と今でも信じてます。彼みたいなタイプはどんな映画にもぴたりとはまる。現代のアメリカだったり近未来の宇宙だったり船の中でのモンスターやエイリアンとの戦いだったりするけど、今回のような自然の中(雪山・ジャングル・砂漠)も似合う。ティクティクの後継者候補としてはデレーの他にカレンがいるけど、わけへだてなく育てる。私最初はカレンはティクティクの息子だと思ったんだけど、違うんですか?よくわからん。心が広く常識に富み、経験豊か。村が襲われ、村人の多くが奴隷として連れ去られてしまったので、デレー達と一緒にあとを追う。途中でケガをし、てっきりこのまま死んじゃうのかと思ったらなぜか元気になる。

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旅の最初の方で雪山を越えるところなど、ちょっと辛そうなのがリアルでいい。若者達はすいすい苦もなく登っていくけど、ティクティクは彼らの親くらいの年齢だからとてもすいすいとはいかない。でもそのうちそんなこともなくなる。確かに若者のような身軽さはないけど、経験があるし持久力もある。だからケガも大したことなくて見ているこっちもホッとするんだけど、後でやっぱり・・。まあねえ、成長するってことは別れを重ねることで・・しょうがないわな。カレンは子供の頃デレーをいじめたし、成長してからは恋敵。でもわりとあっさり引き下がる。狭い集団の中、あっさりしてないと暮らしていけないんだろう。まあとにかくクリフはよかった。ありえない内容でもこういう人が出ていると映画がぴしっと引き締まるのだ。年齢を重ね、クリフには貫禄のようなものも出てきているように思う。もう一人よかったのは村を襲った集団のリーダー。すごく体が大きくて、変わった顔立ちで、声も・・。あれは地声なのか、テープに録音して回転を遅くしているのか。フランスやアラブで活動している人らしいけどよくわからない。いちおう悪役だけど気になる、憎めない。ひどいことやってるように見えるが、ただ自分の仕事やってるだけ。もう一人すごいのがいるけど、こちらは性格そのものが残忍。暴力や殺戮を楽しむ。リーダーになる頭はないけど、いつか座を奪ってやれ・・などと企むタイプ。リーダーはエバレットに一目ぼれするけど、力ずくでというタイプではなく、何となく大切にしたり下手に出たり、そこがいじらしい。体が大きいだけに余計。自分のこと好きになってもらいたいけど、言葉は通じないしエバレットはデレーのことしか頭にないしでむくわれることはない。征服者と奴隷という関係なんだから何とでもできるはずだが、この映画はそういうシーンなし。奴隷とは関係しちゃいかんとか、そんな決まりでもあるのかな。てなわけでこの映画はいやらしいシーンゼロ、妙に潔癖な映画なのでありました。さて、デレー達は旅の途中で他の部族とも一緒になる。12000年前なのに?・・とも思うが、まあ細かいことは言いっこなし。何だか「キング・ソロモン」みたいだな・・と思いながら見る。12000年の間、アフリカの部族はほとんど変化なし・・ってか?と言うか、この映画の舞台はやっぱりアフリカなのかな。

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最初の方にマンモスを狩る見せ場があって、ジャングルでは鳥の化け物みたいなのが出てくる。「SF巨大生物の島」みたいな感じ。こっちのは恐ろしく動きが速くしかもしつこい。あんな鳥いやだなあ~。サーベルタイガーも出てくる。意外と頭がよく(罠にはまったのはオバカだが)、助けてくれたデレーのこと覚えてる。と言うか、助けてもらったと認識していること自体すごいと思う。前、飲み屋の前で何やらあばれているのがいて、見たら野良ネコが如雨露に頭突っ込んで抜けなくなり、パニックになって無茶苦茶にあばれているのだった。取ってあげたら一目散に逃げていった。あのニャンコは、助けてもらったと認識していないと思う。水の中でもがくサーベルタイガーを見ながらそんなこと思い出していた。話があちこち飛んで、まとまりのない感想になってるけど、ストーリー詳しく書いてもしょうがないもんねえ。で、マンモスだけど(と、また話が飛ぶ)技術が進歩したからどうとでも描写できる。巨大だし足太いし牙すごいし。でも狩る人間達がどう見ても近づきすぎなわけ。マンモス機敏、人間機敏、両者入り乱れて・・となると、ああはならないだろう・・と思ってしまうわけ。マンモスの足の間をあんなふうにちょこまか動き回れます?走っている地面だってたいらじゃない。実際はもっと遠くから気長に弱火でコトコトと・・じゃない、時間かけて狩ったんじゃないの?追い回して疲れさせ、傷を負わせて弱らせ・・それでやっと近づけたんじゃないの?スピーディーな狩りは確かに迫力満点だけど、実際の狩り方だとは思えない。何人も死者が出ると思う。ピラミッド建設にマンモスが働かされているってのもオドロキ。ちゃんと牙を折ってあって、あれで大人しくなって(それこそ牙を抜かれて)人間にこき使われるようになったのだ・・と納得させられる。でもマンモスは寒い気候に適応している生き物だろうから、あんな暑いところで働かされたらすぐ死んじゃうのでは?マンモスにくらべると、サーベルタイガーは画面にうまく溶け込んでいるとは言えない。でも私は別にいいけどさ。他の映画みたいに人間の言葉しゃべらないだけまだマシ。私がこの映画で一番びっくりしたのはピラミッドのシーン。最近ではたいていのことには驚かなくなってるけど、さすがにこのシーンではそのスケールの大きさに度肝を抜かれたな。

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「アポカリプト」よりすごい。と言うか、あっちはもうよく覚えていないんだけど。奴隷達が反乱起こすシーンもすごい。何がどうなってるかよくわからんけど。マンモスがあんなに機敏に方向転換できるとも思えんけど。でも、すごい。スペクタクルだぜい!って感じ?この映画に関しては前知識ほとんどなし。予告とかチラシ見たけど内容はっきりしない。恐竜でも出てくるのかな・・と。でも見始めると恐竜じゃなくて。そこまで荒唐無稽じゃなくて。恐竜と人間とでは時代が全く違うから「恐竜100万年」みたいなことはありえないんですね。初めて知りましたよ。でもってマンモスとかサーベルタイガーとか鳥の化け物で終わりかと思っていたら、いきなり巨大な船が出てくる。砂漠・・突然川と船・・あら~びっくりの・・じゃない、「アラビアのロレンス」じゃん!もちろん船の形は違いますけどね。その後ピラミッドでまたまたびっくり。何てスケールがでっかいんだ!見ようかどうしようか迷っていたけど(だっていかにもなかみうすそうなんだも~ん)思いきって見に来てよかったわ~と大喜びしたのよ。スクリーンで見ると迫力満点なんだもん。でも・・巨大なものを見せることはできても、とどのつまりは男女の愛ってのがねえ・・。どうしてもそこへ行っちゃうのかしら。ピラミッドより無数の奴隷よりマンモスより、結局はデレーとエバレットの純愛。これを描きたかったのですね。あたしゃ今にも八つ裂きにされようかというエバレットが、いつこう叫ぶかと待っていましたの。「私にかまわずみんなを助けて!」ってね。でも結局何も言わなかったな。そりゃやっぱり命助かってデレーと一緒になりたいわな。自分の命惜しいわな。その気持ちよーくわかります。でもとたんに話がちまちまっとしちゃうのよ。デレーとエバレット二人の世界。マンモスは・・無数のエキストラ・・もとい、奴隷達は・・。デレーが大神を倒すシーンは不評である。あんな武器で簡単に?私自身は大神の正体にがっくりきました。「スターゲイト」の二番煎じと言われようがかまわないから絶世の美少年出してくればよかったのに。あんな死にかけたおっさんじゃなくて。何よハエがプーンて・・早すぎるだろッ!いや別に私がイケメン好みだからこんなこと書いてるんじゃないんですよ。ベールにつつまれて顔が見えないからいろいろ想像する。

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ころがり落ちてさあ顔が見られるぞ!となったのに、ハエプーンのおっさんじゃ萎えるわけよ。それよりもさあ・・。あんなものすごいもの建設中で、まあ祭壇かもしれないけどお墓かもしれない。大神をものすごい美少年にしといて、こんなに若くて先も長いのに、奴隷集めまくってこき使ってる。そうまでしてやらないと完成しない。それくらいものすごいもの作ろうとしている。大神は前は三人いたけど、今は一人しかいないとか、しるしがどうとか、わかったようなわからないようなことがいろいろ話される。それがどうしたとは思うけど、他の二人はもしかしたら暗殺されたのかもしれない。今残ってる大神はだからものすごく悪賢くて自分のことしか考えなくて。しかもものすごい美貌の持ち主だから自分を神と信じて疑わない。まわりの者も恐れおののいて、相手が少年だということも忘れてひたすらご機嫌をうかがう。・・まあこんなふうであって欲しかったわけよ。ますます「スターゲイト」のラー連想するけどいいじゃん、そっちの方がハエプーンより。その後の展開にはがっくりさせられます。普通にめでたしめでたしでいいじゃん。それをあなたエバレット死なす。さんざん泣かせといて(他のお客さんがね、私は泣きませんけど。泣くとしたらあのリーダーのために泣きます!)簡単に生き返ります。巫母が自分の命と引き換えに・・。えッ、交換してもあんまり残ってないと思うが・・。という突っ込みも空しく、デレーとエバレットは幸せに暮らしましたとさ。だから泰山府君ですってば!呪術ですってば!安易だなあ・・。ナレーターはオマー・シャリフ。何だそうなんですか、ちょこっとでも出演すりゃよかったのに。彼が大神役だったら美少年でなくてもいいよ。音楽はすごくよかった。こういうスケールの大きい心にしみる音楽は私好み。でもサントラ出てないみたい何で?でもまあとにかく見てよかった。テレビだと迫力も半減するだろうから。お客は五人でちょいとさびしかったけど。今後はスティーヴン君にも要注目だな。私は密かに彼のことホントコリン君と呼ぶことにしました。かわいいでしょ。IMDbで「スカイ・ハイ」を調べてみたらホントコリン君すっげえハンサムなのでびっくり~。あの時最後まで見ときゃよかったかな。