ブラッドウルフ

ブラッドウルフ

前WOWOWで何気なく見て、わりと気に入った作品。何気なく録画して、見終わってから録画しといてよかった~と思った作品。DVDも出てるが、高いし特典は予告編程度。これじゃ買えません欲しいけど。出演者は知らない人ばかりで、オリヴィエ・マルティネスが出ているのがへぇ~という程度。でも途中でオオッ!!となる。イケメンアンテナがピピッと反応する。その時はまだ知らなかったけどヒュー・ダンシーが出ているのだ。これはかなり来ますぜ。こんな地味で小規模で日本では未公開のホラーにこんな・・どえらいハンサムが出ているなんて・・普通じゃ考えられませんッ!だいたいこういうのにはまあちょっとハンサムで、でも演技とかあんまり大したことなくて、この映画だけで終わりそ~ってのが出てくる。でもあんまり出来のよくないホラーの場合、そういう目の保養になる人でもいなきゃ見ているかいがない。話はそれるけど「吸血鬼サーカス団」なんていうのもDVD化されていて、ジョン・モルダー=ブラウンが出てるから見てみたいんだよな~。彼もすごい美少年で・・「象牙色のアイドル」も見たいよ~ん。今アメリカは「トワイライト」シリーズで騒いでいるけど(たぶん)、あんなののどこがいいんでしょうねえ(まあ見りゃはまるかもしれませんけど)。イケメンという点ではこっちも負けていません・・て言うか絶対勝ってる!「トワイライト」の連中イケメンに見えます?アメリカ・・コロラド州・・なぜか襲われる一家。両親も兄姉も殺され一人生き残ったヴィヴィアン。今・・ブカレストで美しく成長したヴィヴィアン(アグネス・ブルックナー)。彼女はチョコレート店で働いている(映画の原題は「血とチョコレート」)。彼女には秘密がある。一族の掟・・決められた運命。ルーマニアにはルー・ガルー伝説がある。ひらたく言えば狼人間だ。人間より数で劣るので目立たぬようひっそり暮らしている。崇拝の対象だったこともあるが、今では正体がばれれば殺されてしまう。ちょうどヴィヴィアンの家族のように。新しい生き方を目指したヴィヴィアンの父はアメリカへ渡ったが、結局は殺されてしまった。ここらへんの状況・・襲った連中の正体は不明のまま。ヴァンパイア・ハンターがいるように、人狼ハンターもいるのか。自分達と違うというだけで殺しにくるとか、森の中でひっそり暮らすとか「聖なる狂気」っぽい。あっちは宗教がらみだけど。

ブラッドウルフ2

ヴィヴィアンは叔母のアストリッドと同居している。叔母は一族のリーダー、ガブリエル(マルティネス)の妻だが、ガブリエルは七年ごとに新しい妻を迎えるらしい・・って式年遷宮かよッ!ガブリエルは幼いヴィヴィアンをアメリカから連れ帰った。ヴィヴィアンは新しい妻候補でもある。ほとんどほったらかし状態の叔母は欲求不満でかなりいらついている。何か藤原道綱母みたいだな。ガブリエルがアストリッドに「もっと威厳を持て」と言うシーンがあるけど、自分は新しい奥さん次々に迎えるわけで、自分かってな言い草だなあと腹が立った。こんな二人見てりゃヴィヴィアンだって妻になるのはまっぴらと思うのは当然。さてガブリエルとアストリッドの間にはレイフ(ブライアン・ディック)という息子がいる。ヴィヴィアンとはいとこにあたる。ディックは「ミス・マープル」の「無実はさいなむ」に出ていた。時期はだいたい同じだが、メイクや髪型のせいでだいぶ感じが違って見える。髪型はビョルン・アンドレセン風かな。顔立ちは悪くないが、神秘的なところは全くない。レイフは明らかにガブリエルと違う考えを持っている。ガブリエルは前にも書いたが我々は少数派だから目立たぬように・・という考えの持ち主。人間は自分達と違う者の存在を許さない。だったら我々は陰から人間どもをあやつってやればいいのだ。一族はまた定期的に人間狩りをやる。目立たぬようにと言いつつ狩る人間を連れてくるなんておかしいじゃないかと思うが、いなくなっても誰も気にしないような・・今回の麻薬の売人もそうだが・・クズ人間を調達する。一族の中には刑事もいるので、保釈と称して連れ出す。森の中に放し、あとを追う。追っているうちに興奮して次々に変身するのがこの映画の一番の見どころ。もちろんCGだが、狼への変身をうまく見せられるなら、着ているものの処理もちゃんとして欲しかった。変身して狼やコウモリ、あるいはハルクのような怪物になる時の服や靴の処理は、作り手の悩みの種だと思う。吸血鬼が鏡にうつらないというシーンもそうだな。本体だけでなくたいてい衣服もうつらない。でもそれっておかしい。おかしいんだけど、でもいい解決法が浮かばないからそのまま通しちゃう。吸血鬼は鏡にはうつらないんです、その点が重要なんです、服のことは見過ごしてくださいね!という暗黙の了解。

ブラッドウルフ3

普通に脱ぐわけにはいかないから、スルリと抜け落ちるようにするとかすればいいのに。後で狼から人間に戻った時は皆裸である。裸のまま服を捜して森の中ウロウロするのか。想像しただけでもオマヌケだ。で、話をレイフに戻すと、彼は逃げ隠れするなんていやだと思っている。自分達は人間よりすぐれた存在なのだと思い上がっている。表向きはガブリエルに服従しているけど、仲間と組んでかってな行動取る。彼らには一族の掟も結束もどうでもいい。どうせそのうち自分がリーダーになるんだし・・。人間狩りはゲームであり、お楽しみである。パーティで見つけた若い女性襲ったりする(刑事が連れてくる連中と違って彼女は新聞ダネになってしまう)。この映画で残念なのは、ガブリエルに吸引力がないこと。日陰の身でありながら誇りを失わないという点はマルティネスのおかげでよく出ているが、一族をまとめる力強さや鋭い知性が感じられない。レイフらのかってな行動許したりウソを見抜けないので、ガブリエルがぼんくらに見えてしまうのだ。何か重大な危機に直面していて、こっちまで気が回らないというのならわかるが・・全体的にヒマそうである。ヴィヴィアン役ブルックナーはダイアン・レインやキャサリン・ハイグルに似ている。なかなかの美人である。知らない人だが「モーテル2」に出ているらしい。過酷な運命を背負った美女と言うにはやや健康的すぎるか。もう少し妖気漂うタイプの方がよかったような気も。冒頭ヴィヴィアンはせっせと走る。ストレス解消と、いざという時のためのトレーニングだろう。何しろ彼女は家族を殺されているのだから。これがレイフあたりだと何もしないのだろう。自分達には先天的な能力あるもんね~と、きっとぐうたらぐうたらしているのだろう。おそらく彼らはまだ本当の危険に直面したことはないのでは?ヴィヴィアンとは心がまえが違う。それにしても彼女のような走りは、何年か前ならありえない・・となるが、ヤマカシとか出たせいで、トレーニングすればああいうふうに走れるな・・と。あの走りを見てルー・ガルーと結びつける人はいまい。夜・・ヴィヴィアンはひとときの安らぎを求めて教会に忍び込む。ところが先客がいた。グラフィックノベリストのエイデン(ダンシー)である。彼は謎めいた美女との遭遇に心動かされ、猛アタックを開始する。ホント「恋のアタック大作戦」とでも言いたいくらいの・・。

ブラッドウルフ4

ヴィヴィアンにとってはちょっと迷惑である。人間とかかわり合いたくない。とは言え、エイデンはルー・ガルー伝説に興味持っていて、本にしたいらしい。エイデンがヴィヴィアンにルー・ガルーについて説明するのは、釈迦に説法もいいところである。でも正体知らないんだから仕方ない。二回目街中で会った時もヴィヴィアンは逃げた。こういう時に走り込みが役に立つ。逃げ込んだところが行き止まりで危なかったが、それでも逃げた。姿を見失ってとまどうエイデン・・その時上からひらひら何かが落ちてくる。リボンである。このシーンはロマンチックでとてもよい。後で彼はこのリボンを手がかりにチョコレートの店を見つけるのだが、このアタック作戦はもちろんレイフの知るところとなる。人間だし同じ年頃だし自分よりハンサムだし(←?)、気に入らない。ガブリエルの未来の花嫁であるヴィヴィアンにちょっかい出そうとしている、ルー・ガルーのことを嗅ぎ回っている・・あることないことでっちあげ、ガブリエルに吹き込む。一方エイデンにやっと心を開くようになったヴィヴィアンは、デートを承知する。必死で洋服選びをするのがいじらしい。こっちはホラー映画だと思って見ているわけだが、いつの間にかロマンス物になってる。音楽が流れ、太陽の光が降り注ぎ、二人は歩いたり寝ころんだり。噴水の水にぬれるなど見ているこっちが気恥ずかしくなるような甘い描写。ガブリエルからエイデン抹殺のお墨付きをもらったレイフは、彼をおびき出すが、逆に殺されてしまう。エイデンとヴィヴィアンの心が近づいたと思ったら離れるのもお約束。レイフの死に怒ったガブリエルは、例の人間狩りの餌としてエイデンをつかまえる。最初見た時はそれでもちょっと心配になった。ポケッと見ていたのが、美ダンシー君の出現にオオッとなり、この人誰!?・・と身を乗り出して見ていたのだ。ヴァンサン・ペレーズの生まれ変わりかというくらい美しい。この後どういうふうにストーリーが展開していくのか・・死んじゃったらどうしようもったいない!見ているかいがない。夜だし知らない森だし相手は大勢だし・・しかも人間じゃない!!血や肉に飢えてる。レイフの仇だって怒ってるし・・。普段の行状から見てレイフの方に非があるに決まってるじゃんそんなことも見抜けないのかガブリエルのバカ。

ブラッドウルフ5

頼みのヴィヴィアンにしたってまだうじうじしていてろくに反抗しない。頼れるのは自分だけ・・。さあレース開始、走るエイデンがんばって~!!でもって結論から言うとエイデンは助かります。いやホッとしましたぜ。実は彼ちょっと変わった経歴の持ち主なんです。彼は絵が好きでそっちの方進みたかったのに、父親に陸軍のレンジャー部隊に無理に入れられ、身を守るすべをたたき込まれたってわけ。でもどうしてもいやで17歳で家出(17歳って若すぎる気もするけど・・幼年学校とか・・)。国では暴行の罪で手配されているから帰れない。こうやって外国放浪している。本を出しても居どころばれないよう名前は載せてない。・・決められた運命への反抗・・どこかヴィヴィアンと似た境遇。で、そうやって特殊訓練受けたおかげで彼は見かけによらず頭は働くし、体も動くわけ。森の中を流れる川にたどり着けば命は助ける・・というのがルールだけど、今まで誰も成功した者はいない。でも!エイデンはたどり着く。やれやれと喜んだのもつかの間、ガブリエル達はルール破って彼を殺そうとする。こういうところもなあ・・一族の誇りはどこへ行ったんだよ!卑怯者め!と言いたくなる。さすがのエイデンももう戦う力残ってなくて大ピンチ!そこを救ったのが・・白い狼に変身したヴィヴィアン。でもエイデンにはそれがヴィヴィアンだとわからなくて・・。彼女は重傷負ってしまう。はいもうここらへんからはかってにやってくださいという感じ?ブルックナー嬢は健康そうなのであんまり真実味ない。美ダンシー君の方がブルックナー嬢よりだいぶ顔小さくて・・。前にも書いたけどレイフはガブリエルとアストリッドの息子なわけだけど、それってちょっとおかしくないかい?だってガブリエルは七年ごとに奥さん替えるわけで、アストリッドと一緒になったのも七年前。それで何で20過ぎた息子いるわけ?エイデンは武器として高級レストランから銀のナイフ失敬するけど、ガブリエル達につかまった時何で没収されずにすんだの?いずれにしても彼らはさあ今日は奮発して高級レストランへ・・ということはできないのね。銀器に触れたら命にかかわる。チョコの銀紙は関係ないのかな(←アホ)。さてと・・この映画の監督は女性。なかなかの美人でもある。

ブラッドウルフ6

美形がたくさん出てきて目の保養ができるし、人狼を描いてるとは言え、目の色が変わったり走りながら変身するくらい。えらくソフトなホラー。残酷さもうすく、女性向き。男性にはちょっと物足りないかも。エイデンは放浪の身でそのうちブカレストを離れるってのに全然あきらめない。マメにアタックする。今この瞬間を大切に・・というタイプか。相手が人間じゃないってわかってもそれでもいいや好きなんだもの・・って思うのかな。ラストもガブリエルはわりとあっけなく死んじゃって、ヴィヴィアンが次のリーダーに・・みたいなお気楽な流れ。今までのことは何だったんだあ~って感じ?でも私はそれでもいいんですけどさ。テレビで「トワイライト」とか紹介してるけど何だか高校生の三角関係って感じでおまえら勉強もせんと何やってるって思っちゃう。あんまり恋を前面に出されてもねえ・・て言うかぐだぐだ書いてるヒマあったら「トワイライト」ちゃんと見ろって言われそう。でもあの顔の四角い、目と目の離れたニイチャンじゃあなあ・・。でもってやっぱり話は美ダンシー君に戻るわけですの。「ジェイン・オースティンの読書会」も買っちゃいました!ウ~もうホンットに美しい!高級チョコレートよりも甘くて繊細・・28度以上のところには置かないでくださいッ!!それでいてただのお坊ちゃまじゃない、サイババ・・じゃない、サバイバル技術もしっかり身につけてるってのがもうたまりませんわ。男はやっぱりこうでないと。森の中走り回り、木の幹に血をこすりつけて追っ手をかく乱。銃の扱いもナイフの扱いも体が覚えているもんね~!まあ一つ注文つけるとすると、彼の経歴が明らかになるのは人間狩りレースに勝った後の方がよかった。その方が・・こんなに美しくてきゃしゃな彼がなぜ?・・という驚きがあるでしょ。実は父親に・・ってわかってああなるほどそうだったのか・・と。レースの前にそれがわかってしまっていたのでは驚きも半減。夜の教会で一人静かにスケッチ・・なんてのもよかった。この映画のヒロインに(だって顔小さいし体きゃしゃだし信じられないほど美しいし)美ダンシー君抜擢してくれてありがとう!残念ながらこの映画全然ヒットしなかったようだけど、美ダンシー君ラブコメなんかいいからこれからもこういう映画出てね!