ホワイトアウト(2009)

ホワイトアウト(2009)

ゴールデンウィークは東京で過ごした。太極拳の講習のためだけど、それがない日は映画館へ。レールの下にある新橋文化。少し前の洋画を二本立てで上映してくれる。女性は800円。もっと利用してもいいはずだったのに、神奈川にいる時はとうとう行かずじまい。田舎へ移ってから上京して初めて利用・・なんて皮肉としか言いようがない。まあ本音を言うと一本立てならもっと利用したかも。二本とも見たい映画・・ってことはめったになくて。今回も「ホワイト」は見たいけど「スペル」はあんまり・・という感じ。「ホワイト」は結局田舎ではやってくれなかった。もうDVDも出ているけど、どうせなら映画館で見たい。ダークキャッスル印はいつもまあまあ。傑作はないけど失望もさせない。冒頭1950何年だかと出る。ソ連の飛行機(貨物用)が墜落。理由はよくわからないが、乗員達が撃ち合う。飛行機の中で撃ち合うってこと自体ムリがあるけど。危険すぎる。酒に何か入れた方が・・。その後南極のアムンゼン・スコット基地の話になるけど、現代って出た?私ずっと1950年代の話だと・・。基地はもうすぐ人員交替らしく、ざわついている。お祭り騒ぎ。中にはストリーキングやってる者も?連邦保安官ステッコ(ケイト・ベッキンセール)ももうすぐ基地を離れるようだ。過去に何かあったらしく、度々フラッシュバックが入る。最初の方でシャワーシーンがあるが、色っぽいのはそこだけで、あとはほとんど何もなし。基地の隊長みたいなサム(ショーン・ドイル)と恋愛関係にあるように見えるが、はっきりしない。殺人事件が起きて、国連から来た調査員ロバート(ガブリエル・マクト)に、疑いをいだきつつも(本物の調査員かどうか・・殺人犯かも・・)恋に落ちるのかと思ったら何もないし。まあホント鳥のササミみたいな映画である。淡泊。この映画は南極が舞台・・とか、南極での初めての殺人(しかも連続)・・とか、ベッキンセールが猛吹雪の中で奮闘・・とか、いろいろ見どころはあるのだろうが、私の場合はずばりマクトです。確か「ママの遺したラヴソング」に出ていて。今回も見ていてハンサムだなあ・・と。サム役の人もいいけど、謎めいているという点ではマクトが上。興味がわく。でも彼ってホントきりっとしてなくてゆるんでいて。ゆるんでいると言ってもだらしないのではなく癒し系。

ホワイトアウト2

途中で、ステッコがなぜこの仕事についたのかロバートが聞き出すシーンがある。何で今彼女に話させなきゃいけないの?って感じするけど、でも聞く。ステッコが話し出すとも思えないが、でも話す。ロバートにはステッコが心のうちを吐き出してしまうようなムードがある。そして吐き出すことで楽になる。だから癒し系。信頼していた相棒に裏切られたこと、自分が裏切りを見抜けなかったこと、相棒を自分の手で殺してしまったこと。だからロバートのこともなかなか信用できない。また裏切られたら・・。その一方で医師のフューリー(トム・スケリット)を信用し、そして裏切られる。スケリットは出てきたとたんこいつ怪しい・・ってなる俳優。もう70過ぎてるけどよく見かける。昔はテレビで悪役ばかり。その印象強いから「エイリアン」見た時はびっくりした。いい人やってるぞ、悪役じゃないぞ。話を戻してマクトには注目しているんです。甘いマスク、控えめな物腰・・でもこういうアクション物もっとやって欲しい。ラブロマンスじゃあたりまえすぎて見る気起こらん。頼りなさそうに見えるけど、思いがけなくアクションもいける・・というのがいいんですよ!雪原でワイスという男の死体が見つかる。彼は地質学者で隕石の調査をやっていたらしい。ボストーク基地のムーニーという男から、ステッコに来て欲しいという連絡が入る。しかし行ってみると彼は殺されていた。隕石調査、凍りついた死体、何かが起こったらしい基地・・最初のうちは何が何だかわからない。どこか「遊星からの物体X」のようなムードも漂う。殺人犯が宇宙人であってもちっともおかしくない。ステッコらがいるアムンゼン・スコット基地、ボストーク基地、それと調査隊のキャンプ・・位置関係は全くわからないし、今基地を退避しなければ半年間閉じ込められる・・みたいな状況も我々にはよくわからない。もうこの頃には現代の話だなとわかっているが、設備等の進んだ現代でもああやって基地から離れるケースはありなのか。南極の環境はそれほど苛酷なのか。でもみんなが退避した後で、ステッコら三人は何事もなく越冬したし・・よくわからん。見ていて説明不足なところが多い。あら、通り過ぎちゃうの?あら、見逃しちゃうの?という感じ。そりゃ都会のような捜査はできないけど、場所や話はよく飛ぶ。

ホワイトアウト3

途中でわりと簡単に冒頭の墜落飛行機が見つかる。ステッコ、ロバート、デルフィの三人とも雪原にできた穴に入るので、誰か上にいないと何かあった時困るぞ・・と思っていたら案の定。まわりが陥没し、閉じ込められるが、わりと簡単に脱出する。これじゃピンチにならないだろッ!ステッコらは、FBIのプロファイルのスペシャリストみたいに、VTRで再現したみたいに、まるでその場で見ていたかのように・・50年以上前の惨劇をスラスラと再構築する。何かを運んでいたが、争いが起きて撃ち合いになった。パイロットは流れ弾で死亡、飛行機は墜落する。隕石調査隊のワイス達がたまたまこの飛行機を見つけ、積荷を調べるが、その際ワイスが負傷。応急手当てをするが、その後死亡したので(基地へ帰る)飛行機から投げ捨てた。だからあんな場所で、顔が半分ぺちゃんこにつぶれて、凶器もなく発見されたのだ。ただ、積荷が何だったのかはステッコ達にもわからない。冷戦中のソ連ということで、核物質も考えられる(ロバートが国連から派遣されたのはそのせいだろう)が、墜落機の情報がどのように流れていたのかはあいまい。途中でルービンという名前がしきりに出てくるが、ルービンて誰?と思ったのは私だけではありますまい。調査隊の一人なんだろうけど。その彼がいつの間にか基地にいて、ステッコに事情を話し始めるが、肝腎なところで邪魔が入る。こういう映画の定石で、話すチャンスがあってもそれを生かさず、ムダに逃げ回る。犯人に殺されそうになって初めてステッコに助けを求めるが、もう遅い。助けを求めるくらいならステッコから逃げるなよ!その時点でフューリーが怪しいのはバレバレだが、もう少し隠しておくために代わりの者を用意する。変人でふざけてばかりいるようなヘイデン(アレックス・オローリン)が犯人ということになる。でも映画の流れから行くとちょっとムリがある。何でここでヘイデンが出てこなくちゃならないのか・・と思うが、クライマックスである猛吹雪の中での死闘は、若い彼でなければムリである。スケリットでは年寄りすぎてステッコ、ロバートの二人と戦うのはムリだ。だからヘイデンで代用したのだ(ホントかよ)。オローリンは「臨死」という映画に出ている。あっちは坊主頭、こっちは長髪なので見ている時は気づかなかった。わりとハンサムだが、どことなく狂気を感じさせる人。

ホワイトアウト4

南極が舞台だけにアクションはスマートというわけにはいかない。防寒着を厚く着込み、誰が誰やらわからない。これって何かに似てる・・そう、「D-TOX」だ。動きも遅い。ここではっきりわかるのは、通路として張られたロープの重要さ。自分のベルトからのびたヒモの先の輪っかをチャリーンと引っかける。いつも自分はロープとつながっていなければならない。でないと迷子になってしまうし、風に吹き飛ばされてしまうのだ。まさに命綱。ここらへんはちょっと目新しかったかな。お宝は核でも麻薬でもなく氷砂糖・・じゃない、ダイヤモンドだった。これのために50年代と現代と両方殺し合いが起きた。現代の方も仲間割れ?結局犯人達は基地から持ち出すことはできず、どうするつもりだったの?パイロットであるヘイデンが自分で飛行機に積んで持ち去るつもりだったのかな。とにかく消化不良だ。犯人の動機も弱い。刺されて死にかけていたデルフィは治っちゃうし、6ヶ月たってもステッコとロバートは距離を保ってるし、ステッコはもっと暖かいところへの配置換え頼んでる。あらまあそんなふうにさらりと終わられてもねえ・・友人のままかよッ!!てなわけで出来がいいとはとても言えないのよ。CGも多いけど、飛行機のシーンとかどうしてこうも作り物感が目立つのか。死体はいっぱい出てくるが、凍ってるせいかさほど気持ち悪くない。一番痛そうでいたたまれないのは、ステッコが凍傷で指を二本失うところ。はっきり見せるわけじゃないけどチョキン!ああ~いやだわステッコが悲しむのもムリないわほんの一瞬のミスで指が・・。そこへ追いうちをかけるようなフューリーの言葉「もう一本だ」いや~ん一本切って休まないでよどうせならまとめて二本切るかチョキンチョキンと連続してやるとか。インターバル入れないで~!あ~でもよかったわ見ることができて。次はどうなるか全然わからなくてドキドキしながら見てた。お客はけっこう入ってた。女性も何人かいた。前に座っていた男性は途中から頭の後ろで手を組んでふんぞり返って見てた。最初は頭が邪魔で次は腕が邪魔。チョキンチョキンと切り落としてやろうかと思ったわ(思うだけですよ)。パンフが売ってなかったのが残念。前の「スペル」が終わるまでしばらく待ったけど、女性の悲鳴がさんざんもれ聞こえてきたのがおかしかった。見る前から内容予想できる「スペル」。