ホワット・ライズ・ビニース

ホワット・ライズ・ビニース

これはだいぶ前にWOWOWで見た。今回ケーブルテレビで久しぶりに再見。けなしている人が多いが、私はまあまあだと思う。クレア(ミシェル・ファイファー)は夫をなくして落ち込んでいたが、ノーマン(ハリソン・フォード)に出会い、音楽家としてのキャリアを捨て、家庭に入る。遺伝学者のノーマンは、高名な数学者だった父と混同されるのが不満。相続した豪邸を改装しまくったのはそのせいか。クレアは娘のケイトリンが大学へ入り、家を離れたので、夫と二人きりになれてうれしい反面、心にぽっかり穴があいたような・・。隣りに越してきたフューアー夫妻が気になって、双眼鏡で覗いたり。そのうち、夫が妻(ミランダ・オットー)を殺したと思い込み、学会や論文で忙しいノーマンを困らせる。公衆の面前でフューアーを人殺し呼ばわりするなど騒ぎ立てるが、殺されたはずの妻が現われ、勘違いとわかる。でもクレアはあやまらない。ここらあたりは、クレアが精神的におかしいのではないかという流れ。そのうち、マディソン(アンバー・バレッタ)という学生が失踪してるのがわかる。家の中でいろいろ妙なことが起きるのは、そのせいか。ノーマンはわりとあっさり浮気を告白。クレアの方は、本人なのか、マディソンに取り憑かれている状態なのか、はっきりしない時があり、ノーマン同様見ている我々も混乱する。この映画で印象的なのは、マディソンの性悪さ。勝ち気でハデで頭がよく、美しい。欲しいものは何でも手に入れなきゃ気がすまないタイプ。ノーマンは、うっかりよろめいたのが運の尽き。別れようにも承知してくれない。たぶん捨てるのは自分の方からであって、男に捨てられるなんてがまんできないのだ。自殺したマディソンが、二人に復讐しているのだと思わせ、そのうち実はノーマンが殺したのだとわかるのはお約束。マディソン同様だんだん手に負えなくなるクレア。追いつめられたノーマンは彼女を殺す決心をするのだが・・。ラスト・・川だか湖だかに車が沈むけど、マディソンは恨みを晴らしたと言うより、殺してでもノーマンを手に入れたかったという感じ。女二人に追いつめられるノーマンは気の毒ですらある。また、クレアがマディソンに肩入れする気になるとは考えにくいのだが。マディソンに関しては、ノーマンの言い分しか聞かされないせいで、そう感じるのか。他の出演はジョー・モートン、ダイアナ・スカーウィッドなど。ファイファーの一人芝居のシーンが多く、やや古典的なゆったりした作り・・雰囲気を大事にする感じはよかった。