バーチュオシティ

バーチュオシティ

1995年製作で、1999年という設定。近すぎるんじゃないの?「アイ,ロボット」風味で、数十年先の話に思える。警官の訓練に仮想空間を使っている。つまり脳内でやるのだが、まだ実験段階なので、囚人を使っている。囚人と言ってもパーカー(デンゼル・ワシントン)は元警官。彼にはグライムズというテロリストに妻子を殺された過去がある。プログラマーのダリルは、変わり者の研究者クライド(ケヴィン・J・オコナー)を利用し、シド(ラッセル・クロウ)を現実空間に送り出す。凶悪犯の寄せ集めであるシドは、体が損壊してもガラスがあれば組織を再生できる。公開型の犯罪を好み、ナイトクラブや格闘技ショー、テレビ局などで騒ぎを起こす。シドにはグライムズの人格も含まれており、パーカーを翻弄する。囚人だけど正義の人、悪を追いつめる執念の人、まわりからは誤解される悲劇の人・・だいたいいつも通りのワシントン。釈放と引き換えにシドを追跡することになったが、逃亡を防ぐためと称して首に追跡装置を埋め込まれる。都合が悪くなったら毒が出て・・ってスネーク・プリスキン風味。シドは次々に人を殺すが、彼の存在は公にできない。シドにはめられたパーカーは、逆に殺人犯として追われるはめに。こういう・・真の犯人を追いつめなければならない時に、味方であるべき警察が彼を殺そうとやっきになる展開は、定石とは言え見ていてうんざりだ。命令系統があやふやで、誰の指令が最優先なのかはっきりしない。命令と取り消しのくり返しでは混乱する。一人で動き回っているシドの方がよっぽど身軽。クロウのこんな役は珍しい。パーカーと行動を共にするのが犯罪心理学者のカーター(ケリー・リンチ)。彼女の娘が誘拐され、パーカーが自分の妻子の時と同じ経験するはめになるのもお約束通り。たいていの映画ならパーカーとカーターは反発し合い、そのうち恋に落ちる。でもこちらはそういうの全然なしなのが珍しかった。カーターの夫のことにも全く触れない。別れたのか死んだのか未婚の母なのか。全体的に、仮想空間やら何やら特撮ばりばりのわりには盛り上がらない感じ。一癖ありげないい脇役揃えている・・オコナーを始めとして、ウィリアム・フィクトナー、ウィリアム・フォーサイス、ルイーズ・フレッチャーと豪華絢爛(←?)。それでいてオコナーはあっという間に殺されるし、フォーサイスも無駄死に。フィクトナーは役どころがはっきりしないし、フレッチャーも何のためにいるのかわからない。