パニック・イン・テキサスタワー
1975年製作で、日本ではフジテレビで1977年に放映されたとか。と言うことは43年ほど前か、ほひょ~もうそんなに?ずっともう一度見たいと思ってたけど、半分はあきらめていた。でも・・同じく見ることはできまいと思っていた「夜空の大空港」も出たし、私にとっては盆と正月が一緒に来たようなものだ。いやもちろんまだまだありますよ見たいテレビムービーはいっぱい。「魔のバミューダ海域」「コンピューター殺人事件」「嵐の夜の惨劇」は待ちきれなくて何とか感想書いちゃったけど、ぜひぜひもう一度見たい!他にジョージ・マハリスの「サンフランシスコ用心棒」も見たいよ~ん。で、この作品だけど、何しろ銃による無差別大量殺人というショッキングな内容。しかも実話。日本じゃ無理かな、難しいかな・・なんて思っていたのよ。事件が起きたのは1966年8月1日。テキサス大学オースティン校本館時計塔は28階建てで、高さは93メートル。屋上には展望デッキがあって、ここは高さ70メートルくらいらしい。ここの大学院生チャールズ・ホイットマン(カート・ラッセル)は、不安感、頭痛、暴力への衝動などに悩んでいる。彼は深夜母親を殺し、続いて仕事から戻った妻キャシーも殺す。二人ともナイフで殺すが、チャールズの白いシャツには血が一滴もついていない。殺すシーンも見せない。これはテレビムービーだからだろう。また、実話と言っても内容が変更されてるところも当然ある。一方ラミロはパトロールを終え、署に戻ってくる。リー警部補(パーネル・ロバーツ)に昇進試験に落ちたと聞かされ、失望する。他の二人は受かったのに。自分がメキシコ人のせいか。彼の妻ヴィニーは二人目を妊娠中。転職を考えた方がいいのだろうか。ヴィニーは夫に転職して欲しい。警官は危険と隣り合わせ、心配で仕方がない。チャールズは銃や食料、時計やラジオなど準備を整える。銃砲店へ行ってさらに銃を買い、大量の弾も。何の疑いも持たず大量の武器を売る店主は、我々から見ると異常だ。こんなことは日常茶飯事なのか。チャールズは重い荷物を引きずり、テキサスタワーの屋上を目指す。エレベーターを降りたところに受付の女性がいて、見とがめられるが追い払う。ここから先は階段を上る。女性はすぐ警備員に知らせる。つまり早い段階で不審な男が侵入したことはわかったわけだ。
パニック・イン・テキサスタワー2
様子を見に行った警備員二人は、武器を持った男がいるのを確認するが、下へ戻るよう指示され、そのまま行ってしまう。そのため展望デッキに行こうとエレベーターで上がってきた一団と入れ違いになってしまう。チャールズの方も屋上に出るドアをなぜか開けっぱなしのままにしていて。で、ここで最初の犠牲者が出る。続いてキャンパスを歩く学生や職員が次々に狙い撃ちにされる。弾は商店街にも届く。警官や救急隊員も命がけだ。非番で家にいたラミロはニュースを聞くと、妻が止めるのも聞かず現場へ向かう。警官の銃では射程距離が短すぎて、チャールズまでは届かない。ニュースを聞いて猟銃を抱えた男達が集まってきて、勝手に撃ち始める。ここらへん日本じゃとても考えられないことだ。男達の方が警官よりもいい銃を持っているというセリフも印象的。この頃はまだSWATもなかったらしい。アンブローズ警部はとにかく突入して早く解決したい。FBIや情報部の連中には来て欲しくない。フォーブス警部補は別のことを考えている。犯人の身元がわかれば、家族とか友人とかに来てもらって説得するという手もある。アンブローズ達は聞き込みなど時間の無駄と考えているが。アンブローズは軽飛行機を使っての狙撃を試みる。リーが志願して乗り込む。ただ、チャールズの弾で羽根を損傷したため、飛行は中止せざるをえなくなる。時間がたつにつれてチャールズの弾は当たらなくなる。みんな弾の届かないところまで逃げてしまったからだ。それでも負傷者を収容するため動き回っている者はいる。途中で「銃撃が始まってから1時間」というセリフがあってびっくりする。最終的には96分で解決したらしい。そんなに短時間ですむのも銃社会のせいか。犯人をつかまえよう、降伏させようという動きはこの映画にはほとんどない。手っ取り早く射殺して終わらせようという動きしかない。日本だったら粘り強く説得を試みるだろう。屋上まで行ったのはラミロ、フォス、クラムの三人。クラムは警官ではなく、大学の書店員。太っていて、一番汗をかきそうだが、一番かいてるのはラミロ。鼻の先からポタリ、耳からもピアスみたいに汗が垂れ下がっている。この映画は汗が印象的。チャールズもじっとりと汗をかいている。背中の汗ジミが目立つ。
パニック・イン・テキサスタワー3
一方フォーブスはやっと身元を突き止める。母親も妻も殺されていたので、牧師を連れてくる。牧師はなかなか信じない。普段のチャールズは穏やかで快活、人あたりのいい好青年だったらしい。しかし二人が現場へ着いた時にはすべてが終わっていた。この映画がどの程度まで事実に即しているのかは、よくわからない。例えば父親のことは全く出てこないが、ネットで調べるとかなり暴力的なタイプだったらしい。それが原因で両親は離婚。また、チャールズには弟がいたらしい。チャールズが犯行に踏み切った理由も、頭にできた腫瘍のせいなのか。わりとさっぱりと終わってしまうので、物足りなさを感じる人もいるだろう。でも私はこれでいいと思う。父親への恨みが、母親や妻、無関係な人々への暴力となって爆発してしまった悲劇は強く感じる。ラミロ役リチャード・イニグェスは知らない人。いかにもメキシコ系らしく、くっきりとした目鼻立ち。アンブローズ役クリフトン・ジェームズは「ジャガーノート」に出ていたらしい。リー役パーネル・ロバーツは「ボナンザ」・・我々のところでは「カートライト兄弟」という題名で放映していたが、それの長男アダム役でおなじみ。リーは軽飛行機からの狙撃が中止になって引き返したため、クライマックスには登場しない。フォス役ポール・カーは名前は知らなくても顔を見るとああこの人・・となるタイプ。「刑事コロンボ」の「死者の身代金」とかいろいろ出ている。クラム役ネッド・ビーティはまだ若く、いい声をしている。ちょっと目が行ったのはティム役アラン・ヴィント。最初の方でラミロに野球の試合に出ろとしつこく言う人。ちょっとサイモン・ベイカーに似た感じのハンサム。フォーブス役ジョン・フォーサイスは「チャーリーズ・エンジェル」のテレビと映画両方にチャーリーの声で出ているとか。えッ、ウィリアム・フォーサイスは息子なの?知らんかった。ナレーションはギルバート・ローランド。カート・ラッセルは・・最初に見たのがテレビの「ジェミーの冒険旅行」。次のディズニー作品は見ていないけど、カートと言えば明るく健康的なアメリカ青年。それだけにこの作品での彼は意外で。彼はまた「ザ・シンガー」でエルビス・プレスリーも演じている。私は見てないけど、こういう役も意外で。要するに演技の幅が広いってことなんだろう。これからも活躍してほしい。