ブラッドレイン

ブラッドレイン

「見なくたって屑決定」なんていうネットの批評もあったけど、それを承知で見に行きました。そして・・やっぱりクズでした。でもこういうの好きなんですよ。私が見なくて他の誰が見るの!どうせ見る人いないんだからせめて私だけでも見てあげなくちゃ・・って思ってしまうの。ストーリーはヴァンパイアもので、ゲームが元になっていて、したがってメチャクチャですよ。ヒロイン、レインは人間とヴァンパイアのハーフ。題名の「ブラッドレイン」から、「血の雨」かぁ・・カッコいい題名だなーなんて思ったんだけど、レインはヒロインの名前でしたとさ。彼女は父であり、母親の仇でもあるケイガンに復讐を誓う。ケイガンは伝説の汚物・・じゃない異物・・違うってば!遺物である”目”と”肋骨”と”心臓”を手に入れて、世界最強のヴァンパイアになろうとしている。レインは「業火の会(吸血鬼を倒すハンターの集まりみたいなもの?)」のメンバー三人と協力してケイガン一味に立ち向かう。・・文章にすればこれだけで、遺物のいわれも、ケイガンが西京漬け・・じゃない、最強になったらどうなるのかも不明。と言うかどうだっていいんですよ結局。見せたいのは血がどばー、ムッチムチヒロインの華麗なアクション。宣伝文句は「野蛮な血を吸うたび、私は美しくなる」だけど、「今私美しくときめいて」でも、「こんなにも美しくなった私」でも「足裏ツボマッサージお試しセールでの私」でも何でもいいんですよ。とにかく何か謳っときゃ勘違いしたお客がやってくるんだから。それにしてもアホ映画のくせに顔ぶれがものすごい(地味)。レイン役はクリスタナ・ローケンで、この人は「ターミネーター3」で注目されたが、私は見てません。ケイガン役はベン・キングズレーで、まあホントあれこれ出てますな。ケイガンは椅子に座っているだけで何もしない。遺物が届けられるの待ってるだけ。おなかがすくと少女連れてこさせる(どこから?)。ちっとは働け!と言いたくなるほどぐうたら。こんな役誰がやったって映画の質上がるわけじゃない。この映画が少しはまともに見えるとしたらウラジミール役のマイケル・マドセンのおかげでしょう。バージニア・マドセンのお兄さんですか?地味だけど安心して見ていられるという感じでなかなかよかった。ちょっとたくましいジョン・マルコヴィッチ風味。

ブラッドレイン2

「業火の会」の主要メンバーはウラジミールの他にセバスチャンとキャタリン。セバスチャン役はマシュー(マット)・デービスで、私がこの映画見る気になったのは彼のせいです。「ビロウ」で見てハンサムで誠実そうなところが気に入ったんですの。「ブラッド」は映画見ているだけじゃいつ頃なのかどこなのかよくわからないけど、パンフには18世紀のルーマニアとある。出てくる連中はみんな汚らしくて不健康そうだけど、セバスチャンはその中ではマシな方なのよ。髪が長くて「ビロウ」とはイメージ違うけど、まあステキでしたよ。キャタリン役のミシェル・ロドリゲスは・・私前からこの人に注目しているんですの。あの不敵な面構え、三白眼、まっすぐで黒々とした髪、小柄だけどパワーのありそうな体つき。存在感があると言うか、目が行ってしまうと言うか・・とにかくただ者じゃない。なのに彼女どうもうまく使われていない。この作品にしろ「S.W.A.T.」や「コントロール」にしろ今いちなの。彼女のすごさはこんなものじゃない。ローケンの美貌や長い手足とは明らかに異質で、それが魅力なのに十分引き出されないままいつも終わってしまう。今回もそうで、とてももったいない。キャタリンの父親役がビリー・ゼーンで、これはいくら何でも年齢的に近すぎておかしいよな。この父親もぐうたらで、何のために出てくるのか、何をしたいのか、結局どうなったのかゼーンゼーンわかりませーん。ゼーン出すため仕方なく役をひねり出したという感じ。さてレインは呪われた運命なので(たぶん)、彼女にかかわった者はみんな死んでしまう。修道院長ウド・キアーもです。彼を見るのは「フィアー・ドット・コム」以来だな。彼がケイガンやってればもうちょっとマシな映画になっていたと思うな。レオニドというわけわかんないの(精力絶倫吸血鬼らしい)はミート・ローフ。血よりケチャップの方が合いそうだ。武器商人イアンクがマイケル・パレ。ほんのちょびっとの出演ですよ何てもったいない。パレってこんなにステキだったっけ?トム・クルーズに似ているけど、トムよりハンサムでクールですよ。いやもうホントキャッホーですよ。占い師がジェラルディン・チャップリンで、ヴァンパイアより怖い顔してます。顔一面にシワと言うかヒビが入っていて、目とか蛇みたいで、特殊メイクなんだろうけど地のままにも見える。あっちの世界に片足突っ込んでる。

ブラッドレイン3

レインにかかわったから命落としても不思議じゃないんだけど、その必要なし最初っから死んでますみたいな異様な雰囲気がすごかった。他に印象に残ったのはケイガンの手下ドマスティール役のウィル・サンダーソン。とにかくケイガン何もしないで座って待ってるだけだからドマスティールがみんなやらなくちゃならない。いちおう悪役だけどぐうたらな主人にこき使われているからかわいそうで・・。彼は人間だからあれこれやらされて疲れると思うけど、それでも忠実によく働いて・・。その上体格がよくてすごくハンサムだから出演者の中でも目立っていましたな。さて私が見たのは公開終了間近の平日午前中で、お客は15人かそこら。女性は私一人だったと思う。いちおう二回見るつもりで来たけど一回で帰りました。ストーリーのアホさは別にいいんです予想通りだから。でも!音楽がだめ。凄まじくて耐えられない。こういう物量作戦で押してこられるとあたしゃだめなんです頭痛くなっちゃう。「SPL」もすごかったけどこっちの方がすごい。映画には緩急が必要で、音量もそう。無音の方がサスペンス盛り上がることもある。そういう配分が全然なくて、これでもかって感じで切れ目なく大音量。もうこうなると拷問ですぜ。アクションも展開もつぎはぎでありきたり。何だか知らないけど進んで行って、最後はみんな死んじゃう。レインがケイガンの椅子に座って終わり。「リディック」のラストシーンみたい。だらだらもたもた。いちおうローケン目当ての男性客のためにセバスチャンとのラブシーン入ってますよ。あのーちょっと長くないか?さっさと切り上げた方が印象に残るのでは?まあとにかくせっかくの主演映画なのにローケンが気の毒になってしまうようなクズ映画。でもねえ・・これで音楽がもうちょっとちゃんとしていれば・・クズなりに楽しめたと思う。ローケンははっきり言って演技へた。アクションも決めポーズだけでほとんどスタントウーマン。でもそうだったとしても、ハードな役なのに骨身を惜しまず奮闘しているのは好もしい。スラリとした体やスッキリとした美貌、低い声など魅力はたっぷりだ。クライマックスのケイガンの城での死闘は迫力があってよかったけど、みんな死んでしまうのはハードすぎるな。セバスチャンくらいは生き残って欲しかったな。「一人にしないで!」「もう死なせてくれ・・」このセリフにはちょっぴり泣かされた。