ハングリー・ラビット

ハングリー・ラビット

ニコラス・ケイジの映画を見るのは久しぶりだ。ウィル(ケイジ)は高校の教師。妻のローラ(ジャニュアリー・ジョーンズ)はオーケストラのチェリスト。ラブラブの幸せカップル。結婚記念日にウィルは彼女にルビーのネックレスを贈った。ある晩ローラは男に襲われる。殴られ、レイプされ、ネックレスを奪われる。悲嘆にくれるウィルの前に現われたのは、サイモンと名乗る男(ガイ・ピアース)。ローラを襲ったのはホッジというレイプ常習者で、三週間前に仮釈放になったばかり。彼がつかまっても裁判でローラはつらい思いをする。たとえ有罪にできても11ヶ月服役するだけでまた出てくる。自分達は正義の集団だと言い、ホッジの始末を約束する。その代わり後でウィルにはちょっとしたことをやってもらうが。突然のことにウィルは迷うが、結局承諾する。ホッジは殺されるが、自殺で片づけられる。ウィルのところには死体の写真とネックレスが送られてくる。それから半年・・犯人が死んだことでローラも立ち直り、また前のような暮らしが戻ったと思われたある日、サイモンから指令が来る。性犯罪者ウォルザックを始末しろ。ウィルには疑いのかかるおそれはないと。しかしウィルにはとてもそんなことはできない。ローラは彼の様子がおかしいのを不審に思い始める。サイモンは友人と称して二人の前に現われたりする。カギをかけたはずなのに家に侵入される。それでも迷うウィル。指示された場所でウォルザックに話しかけようとしたら、向こうから襲いかかってきた。思わずよけたら、はずみがついた相手は転落。自分は手を出していないとは言え、ウォルザックは死んでしまった。これでサイモンとの関わりは終わりだ。ところが警察が来てマーシュという男の殺害容疑で逮捕されてしまう。マーシュって誰だ?ウィルにはわけがわからないが、あのウォルザックのことだった。彼は性犯罪者などではなく、新聞記者で、ある組織のことを調べていたが、それがばれて命を狙われていた。おびえていた彼は、ウィルを殺し屋と勘違いして襲いかかって来たのだ。あわて者め。・・てな感じでここからウィルの逃亡が始まる。善良な小心者がスーパーマン的行動を見せ始めるのは、こういう映画のお約束だ。

ハングリー・ラビット2

暴行事件が起きていくらもたたないうちにサイモンが現われる。しかも誰の仕業か承知している。一人の人間がスムーズに始末され、疑いを持たれない。大きな組織が動いていることは間違いない。昔ならともかく今はネットがある。ウィルは似たような事件が起きていないか調べようとは思わなかったのか。ウォルザックについて調べてみようとは思わなかったのか。彼がネットを使うのは、逃亡するはめになってからやっとである。それに引き換え、ローラは回復すると防犯グッズを手に入れ、銃を買って撃ち方を練習する。自分のまわりは危険がいっぱいだとわかったからである。この違いがこの映画で一番心に残る。さて、ウィルは調べていくうちに友人のジミーまでサイモンの仲間だと知る。警察の中にもいて、そのダーガン警部補(ザンダー・バークレー)はなぜか逃亡の手助けをしてくれた。とにかくどこにでも仲間がいるので、誰も信じられない。ジミーは組織に入ってかなりたつので、ある程度のことは知っている。以前は悪党に正義の裁きを下すための組織だった。それが今のサイモンみたいに自分の気に食わない者を始末する方向へ暴走し始めた。サイモンの上にもボスがいるのだが、それが誰なのかはわからない。大勢の仲間がいるということは、それだけ家族を殺されたとか泣き寝入りをしている者が多いってことか。クライマックスはウィルとサイモンの対決。ローラが人質になったり、ジミーが寝返ってウィルに協力するが死んでしまったりと、お約束の流れ。もちろんサイモンを撃ち殺すのは(ウィルではなくて)ローラである。真剣に練習したからためらいはないし、的もはずさない。後始末はダーガンが引き受ける。それにしてもマーシュが集めたネタはどうすればいいのだろう。彼の記者仲間に渡して真相究明に役立ててもらおうか・・と思ったら・・その記者も組織の一員でしたとさ、チャンチャン。まあこの記者やダーガンはサイモンとは違う一派だろうけどさ。てなわけでいろいろツッコミどころ満載だけど、それなりにおもしろかった。ケイジよりピアースの方が颯爽としてカッコよかったかな。クライマックスのあたりはお間抜けな感じだったけど。あと、ジャニュアリー・ジョーンズがきれいだ。