プテラノドン

プテラノドン

「午後のロードショー」でやったのを録画して、そのまま一年以上ほったらかしにしていたのをやっと見た。アナログ放送終了のお知らせやら、地震速報やらいろいろ入る。おまけにこれでもかとばかりにCMが入る。でも・・意外とおもしろかった。最初から期待してない。ちゃちなCG、聞いたことのない出演者・・B級どころかC級D級って覚悟して見ている。火山の噴火で地震があって、地殻変動で恐竜の卵がゴロゴロ。二ヶ月たつともう大空をわんさか飛び回ってる。何が・・ってプテラノドンですよ。トルコとアルメニアの国境あたりが舞台のようだが、あんまり関係ない。治安が悪くて、テロリストのキャンプがあって、そこへ出かけるバカ連中がいて。マイケル(キャメロン・ダッド)は古生物学者で、論文書かないと大学追い出されるとあせっている。危険だと忠告されても学術探検隊だから大丈夫と意に介さない。見るからに視野が狭く、学者としても二流な感じ。一緒に行ってくれと言われて、さっと断った役人が私の印象に残った。彼は利口だ。研究一筋のマイケルをもう六年も慕い、支えているのがケイト(エイミー・スローン)。いつまでたっても気づいてくれない鈍感なマイケルに告白してみたけれど、かえってややこしいことになったのは予想外。その気がないのなら通り過ぎてくれればいいのに・・。あとの四人は単位目当てのアホ学生。それにしても出てくる連中が、揃いも揃ってアレだ。ダッドはサム・ニールの廉価版みたい。いちおうハンサムだが何の魅力も感じられないのはどうしたことか。マイケルのキャラも浅くて安っぽくてコロコロ変わる。調査そのものがムチャだし、プテラノドンに遭遇すると大発見だ!となるし(犠牲者のことは眼中にない)。ケイトがさらわれると助けに行くと言い張り、さらに犠牲者増やす。スローンはブライス・ダラス・ハワードの代用品みたいな感じ。ヒロインにしてはやや貧相だが、なかみで勝負というところ。男を見る目はないようで、マイケルなんかやめとけ・・って思うけど、そうはならない。母親のように温かく広い心でマイケルを包み込む。後で、さらわれた時助けに来てくれたサリーン(ジョージ・キャリル)に、うれしさと安堵のあまり抱きつくシーンが出てくるが、あたしゃこれがマイケルから他の(もっとマシな)男に乗り換えるチャンス!・・と思ったんですけどねえ。

プテラノドン2

途中でマイケルはケイトのこと愛してると気づき、態度を変えるのだが、普通なら見ている者は応援する。そうだ、がんばれ、それでこそ男だ!でも全然そんな気になれない。ここまで・・最後まで・・好感持てない男ってのも珍しいな。第一みんなしてああやって助けに行かなくても、ケイトは自分で知恵ふりしぼって脱出したと思うよ。まあ・・とにかくスローンはよかったと思う。彼女は「ゴシカ」に出ていたらしい。「ジェイン・エア」とかああいう古典的な作品が似合いそうなタイプ。アンジー(マーセア・モンロー)は金持ちの娘らしい。たぶん他の三人もそうで、マイケルは資金を出してもらっている立場なので、連中の程度の低さもがまんせざるをえないのだろう。彼女は調査旅行をショッピングかアミューズメントパークへ行くのと同じように考えている。ブーブー文句ばっかり言うし、プテラノドンに襲われてからはキャーキャーヒーヒーまあうるさいこと。まあ俳優としては目立ってなんぼだから、かなりおいしい役。こういうノータリンは、湖を見つけると早速ブラとショーツ姿になって水浴びするものと決まってる。と言うか全裸が普通だと思うが・・。普通なら水中生物によって水底に引きずり込まれるが、今回は上から。いいぞ!最初の犠牲者・・と思ったらなぜか助かり、代わりにジェイソン(ハウィー・ロトカー)が連れて行かれちゃった。ブラもショーツもピンクでかわいいし、ナイスバディだし、ここもおいしい役どころ。一度は助かったものの、後で腕をちぎられて死ぬという、かなり悲惨な最期。ここらへんになると、あら不思議嫌な女全開だったのになぜかかわいそうに思えてくる。最初から最後までおいしい役でしたな。モンローはパリス・ヒルトンの代替え品みたいな感じ。まあヒルトンじゃやせこけていて食べるところがないから、プテラノドンもパスするだろうけど。ジェイソンはそれでも最初出てきた時愛想がよくて少しばかり期待させるけど(マイケルがアレだから)、グエンは全く何も印象に残らない。少しは見せ場作ってやればいいのに・・と気の毒だった。ジェイソンは巣穴へ連れて行かれた・・と、誰もが思うけど、湖の岸にはまっていたな。ぶきっちょなプテラノドンで、途中で落としたのか。

プテラノドン3

それにしても仲間が行方不明になったと言うのに、捜し方がアレ。マイケルが一人で・・しかも熱がなくてお義理で。しかも暗い中を・・それじゃあ見つかるものも見つからんわい!ところでウィルス役スティーヴ・ブラウンがなぜか気になる。キャラとしてはありがちなタイプ。色が白くてメガネかけていてダサいと言うかオタクと言うか。ノーテンキでぶきっちょで空気が読めなくて、アンジーあたりにはしょっちゅう邪険にされる。こういうタイプはわりと最後まで生き残ったりする。頼りなさそうに見えたのが意外と意地見せたりして・・。でもやっぱり途中で退場。作り手は、生き残るのはマイケルとケイトだけ・・って最初っから決めてるからなあ。まあやられるところは見せなかったけど。で、ブラウンだけど、よく見るとかなり美形なのよ。たぶん出演者の中で一番。ブラッド・ピットとトム・ジェーンをミックスしたような感じ。メガネのせいでその美しさがわかりにくくなってるけど。あまり背は高くなくて、映画の主役張るようなオーラも重みもないけど、人(と言うか女性)の目を引きつけるものがある。きっかけさえつかめばブレイクも夢じゃない。どこかで見たような気がするので調べてみたら、「メンタリスト」の「赤信号」に出ていた。さて、調査隊とは別に、アメリカの特殊部隊とテロリストグループの戦いも描かれる。調査隊とプテラノドンとの対決じゃ話が作れない。銃や何とか砲でドカドカドンドンやるのでなきゃ。テロリストのキャンプをせん滅したものの、目的の人物ヨレンはいなかった。でもそのうち見つけてわりとあっさりとらえる。部隊のリーダーはベルゲン大尉(クーリオ)。ヨレンの手下がマイケル達を襲い、それをベルゲン達が見つけ、そこへプテラノドンが大襲来。盆と正月が一度に来たようなもんですな。それにしても二ヶ月で何であそこまで大きくなるのかね。人や家畜がたくさん犠牲になってるはずだが・・ニュースになってるはずだが・・。ヨレン役の人はオデッド・フェールの粗悪品みたいな感じ。私は手下の一人・・柔道のロシア代表にでもいそうな顔も体も四角い人に目が行ったけど、早々にやられちゃったな。テロリストの描写は最悪で、女を見ればズボン下ろしたがるようなやつばっか。

プテラノドン4

バンバンドカドカずいぶん撃ってたけど、何だかみんな無尽蔵に弾持ってるような感じでリアリティーなし。たくさん撃ってもほとんど当たらないってのは、現実にそうなんだろうけど、そのうち少しは考えるでしょ。特に接近した時には目とか口の中とか。マイケルはやつらの頭は硬いから撃っても無駄みたいなこと言ってて、そこらへんはよかったけど。それにしても何でみんな草原の見通しのいいところ選んで歩くのかいな。私には理解できないんだけど。少しくらい遠回りでもなるべく森や林選んで歩くはずでしょ。途中で人家が出てきて、羊飼いの家なんだけど何だかモデルハウスみたいで。家の中に入ったら何か捜すでしょ。地下室はないか、電話はないか。それといっぺんも火を焚いてみようとしなかったな。だめでもともと、いちおうは試してみるでしょ。あと、消火器とか灯油、ガソリン、殺虫剤・・。とにかくストーリーに幅がない。上空をバサバサ飛び、バンバン撃つ・・それしか見せない。クーリオはラッパーらしい。「SPY_N」に出ていたようだ。あの映画に比べりゃこの映画は傑作と言ってもいい。あっちはゴミ、クズだもん。部隊も少しひねってある。本来ならもうちょっとおおっぴらに・・ヨレンをつかまえたものの、民間人と出会い、しかも謎の生物と遭遇して難儀している。大至急応援を乞う・・となるところだが、そうもいかないらしい。ここにはいないことになっている・・つまり幽霊部隊らしい。それはいいのだが、ベルゲンは自分の部下達をヨレンに殺されたことを恨みに思っている。本来なら生かしちゃおけないのだが、生きて連れて帰れという厳命を受けているから仕方なく・・という設定。まあこういう個人的なことはくっつけない方がいい気もするが。ベルゲンにはもう一つ過去がくっつけられる。何とケイトの父が、湾岸戦争の時彼の上官だったのだ。まあこれらはベルゲンに人間味を感じさせようというのと、ケイトの救出に全力を尽くすことへの言い訳と、二つの狙いがあるんだろう。私としては幽霊部隊という設定が気に入ったので、ベルゲンには過去は不要・・って思ってるけど。任務も秘密なら、死亡の理由も秘密にされるんだろうなあ。その点は他の隊員も同様か。

プテラノドン5

女兵士はなかなかよかったな。何となく「エイリアン2」のいつもでっかい銃抱えている男勝りの女兵士思い出した。あとサーリンはくだらない小話を連発するおしゃべりで、最初は目ざわりだったけど、だんだんよくなった。ケイトを救出するためにロープ伝って行ったけど、前後の描写見ると別に彼は行かんでも・・という感じ。夜の間はプテラノドンも眠るから、その時がチャンス!と言いつつ、何もしないで夜が明けるのを待ってたのはなぜ?巣穴にロケット砲撃ちこむとか・・手榴弾とか持ってないの?爆発させていたのは何?まあみんなバタバタと景気よく死んで・・残ったのはマイケルとケイトだけ。マイケルも死んだように見えた時はいいぞ!と思ったけど、残念生きてたぞ。生きていたことを残念がられるなんて、どういうキャラだよ!ラストもえらいことになってる。プテラノドンを除けばこの映画そこらのラブストーリーと何ら変わらん。愛の告白→愛のすれ違い→愛の再発見→愛の再確認→愛の再出発。通信機の電池が切れそうだと言うのに長々と愛の告白。テロリストグループの全滅はともかく、一つの部隊が全滅し、学生四人が犠牲になったと言うのに、晴れ晴れとした笑顔で将来設計ですよ。世紀の大発見も、な~に実物が全滅したってこのシャツにべっとりくっついた血液からクローンが作れるかも・・っておまえらどこまでノーテンキなんじゃい!その前にやることがあるだろッ!羊飼いの家に駆けつけてウィルスがどうなってるか、そっちの確認が先だろッ!実は羊飼いの家には無線装置があって、そこから助け呼んで一足先に救助されてました・・って、そういう楽しいオチ考えつけよッ!こういう作り手の考えつくオチは決まってる。全滅したかに見えた恐竜・・しかしッ!卵はまだあったのですッ!プテラノドン以外のも・・ガオ~ッ!あれは・・ティラノザウルスかな?てなわけで大量のCMも目ざわりなお知らせ字幕攻撃にもかかわらず、ハラハラドキドキ楽しめましたな。関係ないけど10月になってもまだゴーヤーが取れる。苦くていいかげん飽きてきたけど取れた以上は食べなきゃならん。で、あのブツブツした表面を刻んでいると、恐竜を刻んでいるような気にさせられるわけ。私にとっては恐竜イコールブツブツの皮膚。プテラノドンは違うけどね。