プレデターズ

プレデターズ

しばらく映画館にもレンタル店へも行かなかった。夏になって(←?)話題作が続々と・・でも暑い中てくてく歩いていくのは大変なんだよな。まあ一つ一つ見ていこう・・って間に合うのか?「プレデターズ」はさほどヒットしたようにも思えない。ぐずぐずしているうちに夕方や夜に時間が移って、いつもなら「まっ、いいか」と見送るところだが、今回は何か引っかかるものがあり(たぶん主演がエイドリアン・ブロディということだろうが)、がんばって見に行った。お客は四人。結論から言うと非常にすばらしい映画だと思った。とても満足した。冒頭いきなりの落下シーン。すぐ本題に入る。チラシ等で少しは知識(出演者とか)あるものの、登場人物がいきなりある状況にぶち込まれるのと同様、見ている我々も映画に取り込まれる。私なんかローレンス・フィッシュバーンが出てくるまで彼のこと全く忘れていたもんね。チラシで見ているはずなのに。”男”(ブロディ)は落下の最中に目が覚める。パラシュートはぎりぎりまで開かないようになっているのか。落下地点があまりばらけないように?落ちたのはジャングルで、他にも何人かいたが、敵意まる出しとかいきなり撃ちまくるとか物騒な連中ばかり。一人はパラシュートが開かず墜落死。集まったのは八人で、そのうち何かが入っていたケージ(結局何が入っていたの?)、腐乱死体、さらには皮をはがれ吊るされた(我々にはおなじみの)死体が見つかる。”男”はプロファイリングの天才らしく、自分達は餌で、狩りのために集められたのだと推測する。ただ、彼にも相手が何者なのかはわからない。初めはアマゾンあたりかと思われたが、見晴らせる場所に出てびっくらこく。空には見たこともないような星が複数浮かび、磁場はおかしく、太陽(?)は動かない。ちょっとここらへんはよくわからない。空の光景は「ピッチブラック」のようだ。空気があり、重力も地球と同じだが、近くにああいう星が複数あって釣り合うのか。太陽が動かないってどういうことか。夜がないのかなと思っていたら夜になったし(自転はしてるらしい)、太陽もどういう太陽なのか・・。まあこの星の位置や状況なんてさして重要じゃない。地球と同じジャングルがあるってことが重要。だから1987年にシュワちゃんと戦ったプレデターはジャングルにいたのだ。

プレデターズ2

さて八人もいれば、中には印象に残らないのもいる。「プレデター」だってシュワちゃん、カール・ウェザース、インディアンのビリーがいて、黒人ビル・デュークがいて、捕虜の女兵士がいて・・そこまでは覚えてるけどあとは?何回か見てやっとそれ以外のも覚えるが、中には顔のはっきりしない者も・・。今回の八人はその点うまく描かれている。ブロディは意外なキャスティング。あの顔立ちなのであんまり好きじゃなかった。見たのは「ヴィレッジ」くらい。若いんだか年くってるんだか。こういう映画の主役って感じじゃない。主役はもっと見ばえのいいイケメンかマッチョ野郎で、彼は一癖ありげな脇役・・トラブルメーカーあるいは意外な救世主。でも・・実際見ていると・・彼実によくこの映画にはまってるんですわ。映画をぐいぐい引っ張ってる。見ず知らずのあらくれ連中の寄り集まり・・シュワちゃんをリーダーとする結束の固い戦闘チームじゃない。でも誰かがリーダーにならないと映画にならない。”男”(他の者は名乗っても彼は名乗らない)はいつの間にかリーダー的存在になる。彼自身は単独の方がいいのだが、置かれた状況からしてそれもムリだ。ここがどこで相手は誰で目的は何なのか・・わからないことが多すぎる。その一方で筋道立ててそれらの疑問に立ち向かっていく知性を、”男”は持っている。知性が彼をリーダーへと押し上げたのだ。こういう映画にはつきものの、オレがボスだ言う通りにしろ的騒ぎが少ないのは助かった。たいていはギャーギャーわめき、仲間うちで争う。あるいはもうガマンができねえと自暴自棄、ムダに死んでいく。今回の八人は、そりゃモンバサ(マハーシャラルハズバズ・アリ・・って早口言葉かよッ!)とスタンズ(ウォルトン・ゴギンズ)のいがみ合い(原因は何?)とか多少はあるけど、殺しのエキスパート揃いだけあって行動はわりと慎重。登場してすぐポコポコやられるわけでもなく、そこがいい。ゴギンズはどこかで見たような・・「ボーン・アイデンティティー」や「メジャーリーグ3」に出ていたらしい(出てたっけ?)。ジョン・サクソンを小型にした感じ。スタンズは死刑囚で、パンフによれば38人も殺したのだそうな。妹の姿を刺青するなど異常で、レイプ魔でもある。こんな状況でも紅一点の”女スナイパー”(アリシー・ブラガ)に目をつけるが、それ以上の描写はなし。

プレデターズ3

いつもならある描写が省かれ、先へ先へと話が進む。ブラガは「アイ・アム・レジェンド」に出ていたらしい。あの映画はあまり好きじゃないし、出来がいいとも思えない。そのせいかよく覚えていない。彼女は重要な役だったが。今回はすごくいい。プロに徹していると言うか、女性だからの部分がほとんどない(これは非常に珍しいことだと思う)。男と同じに動き回る。常にかかえている銃は6.5キロもあるそうで、大変だったろう。顔つきは、本人は意識してるかどうか知らんが「エイリアン」のリプリーに通じるものがある。そう言えばリプリーは(”女スナイパー”と違って)ところどころ女らしさ強調していたように思う。クッチーロ役はダニー・トレホ。彼のファンって意外と多いのだ。一度見たら忘れられない容貌、本物の犯罪者だったという過去。ほんのちょっとの出演だったり(「ヒドゥン」「アナコンダ」)、たまにはいい役やったり(「スパイキッズ」シリーズ)。今回も出ていてうれしいが、一番最初にいなくなるのは残念。まあ年齢的にきついもんね、ジャングルは。ニコライ役オレッグ・タクタロフは格闘家らしい。「ナショナル・トレジャー」や「ボーダー」に出ていたらしい(出てたっけ?)。今回は世界中から殺しのエキスパート集められたようで、珍しいことに日本人も。ハンゾー役ルイ・オザワは母親が日本人で父親が台湾人。ヤクザの役なので銃の他に日本刀も使う。予告を見た時は目がギョロッとしてるし、バイロン・マンかと思った。松本人志氏に似ているという声もあるが、私は小栗旬氏に似ていると思う。まあ小栗氏はこんなにギョロ目じゃないけど、何となくね。オザワ氏は若さ(と言っても1975年生まれだからそう若くはないが)や甘さを感じさせる。髪は短くうっすらヒゲも生やしているが、さほど気にならない。今時の日本の硬派イケメン。セリフはほとんどなく、後半になって少ししゃべる。口は災いの元・・を身を以て体験したらしく、指を詰めている。まわりの状況をぎゃあぎゃあわめき散らすことで把握していくというのは映画ではよくあるが・・つまり隠れている時でもしゃべり、酸素がない時でもしゃべり、もう死んでるはずなのにまだしゃべり・・中には沈黙を通し、五感で把握しようとするタイプも絶対いるはずで。今回そういうキャラを出してきてくれてありがとう。

プレデターズ4

八人の中で異色なのがエドウィン(トファー・グレイス)。彼は医者で、誰がどう見たってここへ送り込まれるはずのない青年だ。戦闘技術もなく、サバイバル知識もなく、スタンズのような囚人でもない。置かれた状況にとまどい、おびえているだけ。医者だからその知識が他の者の生存に役立つのか。つまりすぐ弱って使い物にならなくなってしまっては、せっかく手間をかけて集め、送り込んだかいがなくなる。きっと医療技術、薬物の知識が買われての選出だろう。見ている側としてはそう思うより他にない。グレイスは知らない人だ。「スパイダーマン3」や「ルイーズに訪れた恋は・・・」、最近では「バレンタインデー」に出ているらしいが、どれも見ていない。なかなかのハンサムで、ユアン・マクレガーのようなかわいい感じ。この面々がずーっと、クッチーロ以外はずーっと、クライマックス近くまで生き残るわけだ。”男”が最初にやったのは、見晴らせる場所に出ること。それでここは地球じゃないとわかって、でも何とかして脱出しなければならない。次に”猟犬”に襲われたりして、向こうからしかけてきたことから相手が複数だとわかる。この”猟犬”は初めてだが、何か全然おもしろくない。CGって丸わかりだし「リディック」に似たようなの出ていたし。ほぼ全身に太い針のようなものが生えていて・・密生したジャングルの中では木に引っかかったりすると思うが・・撃ってもはね返すのかなかなか死なない。でもそのうち死ぬ。これと言った能力もなく、頭悪そう。第一プレデターがこういうの手先に使うとは思えなくて。もう一つ空を飛ぶのがあったな。あれは機械?(早くも記憶がおぼろ昆布)。「スターゲイト」にも似たようなの出ていたよな。途中で木に吊るされているプレデターが出てきて。それを見た”女スナイパー”の表情が変わって。”男”は彼女が何か知ってるな・・と気づき、みんなの前で話させる。とにかく何でもいいから情報を集めたい。1987年の南米で・・というのは「プレデター」のことで、「プレデター2」はなかったことにしてくださいねウフということなのか。中盤唐突にノーランド(フィッシュバーン)が登場する。前にも書いたが、出ていることは知っていたけど映画が始まるとそんなこと全く忘れてしまい・・だからびっくりした。前半プレデターはほとんど出てこないが、物足りなさは全くない(私はね)。

プレデターズ5

とにかく人間だけで話は持ってる。まあ題名の「プレデターズ」は八人の人間自身のことでもあるわけで。彼らは地球では人間を狩っていたわけで。監督ニムロッド・アーントルは「モーテル」の人だ。あの映画もよかったが、この映画もすごくいい。少し前「アーマード 武装地帯」というのも公開されたが、こっちではやらなかった。批評の中には「中だるみがある」というのもあって、たぶんノーランドの出現で、それまでの緊張感やスピード感が途切れるからだろう。私はさほど感じなかったが(つまりここらへんで休憩も必要だよなと好意的に解釈したのだが)、フィッシュバーンの顔がいやにふくれていたのは気になった。ノーランドはこの星に送り込まれた中での唯一の生存者。なぜ見つからずにすんでいるのかな・・と思ったが、プレデターの特殊スーツ(透明化する)を奪い、それを身につけているせいか。あの隠れ家もよくわからないが、詳しくやったらもっとスピード感は鈍るだろう。極限状態が長いせいかノーランドは頭がおかしくなっているようだ。目に見えない相手と会話する(マーシャルかよッ!)。しかしプレデターに関しては正確で、観察結果をいろいろ話してくれる。人によってはもう知っていること、今更話さんでも・・それより早くプレデターとの戦い始めろッ!・・と、じれったく思うかもしれない。しかし他のプレデター物見てなくて、これが初めてという人もいるだろうし、この説明タイムは必要なものなのだ。”女スナイパー”が話したことは伝聞である。しかしノーランドの話すことは自分の目で見たことなのだ。”男”にとってはとても大事なことなのだ。彼の目的はただ一つ。自分が(みんながではない)生きのびること。生きのびるだけではだめで・・このノーランドみたいに狂ってしまったのでは何にもならない・・地球へ戻らなければ。七人(クッチーロが死んだので)は、この星で目覚めてから初めて休息を取るが、それも長くは続かない。ノーランドは七人を殺そうとする。毒とか銃ではなく煙でいぶすというのは変だが。どうも彼が今まで生きのびることができたのは、人間を連れてきて安心させといて殺し、持ち物を奪ったかららしい。まあ七人も隠れ家へ案内した時点でおかしいとは思ったけど。大量の水、食料が必要になるし、リーダー争いとかまとまりを乱す者が出てくる。一人で潜んでいるのにくらべ、危険はうんと増す。

プレデターズ6

どうぞどうぞと招待するわけがない。ところで彼はもう10シーズンもここにいるらしい。一日が何時間か、一年が何日か、季節の変化があるのかそういうの全部不明だが、まあ10年てことなんだろう。でもそれにしてはノーランドはふっくらしすぎなわけよ。もっとやせてギラギラしてるはず。髪とかヒゲとかさっぱりしすぎ。いくらフィッシュバーンが演技うまくても、見てくれの段階でウソっぽくなっちゃうわけ。10キロくらい減量すべきだったね。隠れ家での追いかけっこは「ピッチブラック」や「エイリアン」シリーズでも似たようなことやってた。ノーランドの話で”男”には二つの目標ができた。一つは近くにあるという宇宙船。ここから脱出するにはそれを手に入れるしかない。宇宙船となればパイロットが必要だが、当てはある。あの吊られていたプレデターだ。あんな目に会ってるということは、自分達を狩っている連中とは敵対しているのだ。敵の敵は味方・・うまくすれば自分達と組むかも。まあこういう推測ができるのもノーランドから話を聞いていたからで。てなわけで後半はプレデターとの戦いが主になる。ほんのちょっとだが地球へ帰れるかも・・という希望もわく。ただ、戦うとなるとどうしても犠牲者出てくるわけで。ブロディとブラガは生き残るだろうが、あとは・・エドウィンあたりか。他はみんなやられるだろう。順番が早いか遅いかの違い。他の映画と違うのは、”男”が仲間を見捨てること。迷子になったり負傷したりすれば置いていく。自分が助かるかどうかもわからないのだ。他人のことまでかまっていられるか。・・そしてこの場合それが一番正しい方法なのだ。”男”はまっすぐとらわれプレデターを、そして宇宙船を目指す。人間側に犠牲者が出始める。まずニコライ・・彼はエドウィンに借りがあって、何かあった時には助ける・・と約束していた。隠れ家で迷子になったエドウィンに危機が迫った時、”男”達は先へ進むがニコライは戻る。彼はちゃんと約束を守る。しかしそのために命を落とす。助けてもらったエドウィンは・・あら?ニコライを見捨てて逃げちゃったわ。彼ってそういう男?でもああしなければ彼も死ぬ。その後スタンズ、モンバサも命を落とす。この二人はしょっちゅういがみ合っていたが、最後は・・。まあニコライ同様ここらへんはお約束の展開。

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いつの間にか崇高な戦士扱い。暗殺者だろうが殺人鬼だろうが人間らしさはまだ残ってる・・みたいな。まだハンゾーが残ってるが・・ウーン自分から進み出たぞ。ほんのわずかうなずくだけで”男”はハンゾーの意志を汲み取り、先を急ぐ。自分が犠牲になって・・というのは「プレデター」のビリーと同じだな。あっちは戦うシーン全然見せてくれなくて悲鳴だけ。それでああやられちゃったんだ・・と。そのせいで物足りなさを感じたけど、こっちはちゃんと見せてくれる。エドウィンやスタンズは別として、他の者はそれなりの装備・服装をしているが、ハンゾーだけはスーツにネクタイ姿。ブーツではなく普通の靴だから、ジャングルに向かないと見るや素足になる。ウーン素足の方が大変だと思うが・・。彼は隠れ家で日本刀を見つけ(ってことは過去ここへ送り込まれた中に日本人もいたのか)、それを持ち出す。それにしても・・皆さん思いませんでした?地球で餌見つくろってここへ連れてくるにしても、一部隊そっくりじゃない。アメリカ、メキシコ、日本、アフリカ、チェチェン・・とあっちこっちから。しかもラストシーンでわかるけど、定期的に送られてくる。地球の上空を宇宙船が飛び回っていると言うより、人材派遣センターみたいなのがあるんじゃないの?プレデターに人間が協力して情報を集め、人材を確保し・・そんな気がしません?だってプレデターが直接捜し回るの大変でしょ、いくら透明でも。まあ妄想はそれくらいにしてハンゾー君ですけど、私としては日本人が出てくるのはうれしいけど、ヤクザというのは・・。引っかかってるのは私だけじゃなく、他にもいるけど・・でも日本人で銃をバンバン撃って日本刀での斬り合いもできてとなると。一般人は銃や刀なんか無縁だし。銃なら警官か自衛官、刀なら武道家となるけど、暗殺者とはならない。銃も刀も暗殺もありの裏社会人間となればヤクザ。まあ日本人が困惑するのは、ヤクザイコールサムライみたいな描かれ方をするから。でも他に描きようがないんだろうけど。どうせなら戦国時代か幕末あたりから本物のサムライ連れてくりゃいいのに。地球からここへ来るにはワープするだろうし、それができるならタイムトラベルだって(おいおい)。でもって映画ではとても珍しいシーンを我々は見ることとなる。日本人が日本刀でプレデターと一対一で戦うのである。こんな日が来るとは誰が予想しただろう!

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ハーフとは言え日本人で、ちゃんと心得もある(パンフによれば剣道二段だそうな)。作り手はできるだけ設定に近づける努力をしているわけで。今まで日本人と称してそうじゃない人が演じるのを見せられ、変な着物の着方や袴のつけ方見せられ、変な日本語聞かせられ、刀振り回し・・。でも今回はマシな方ではないかと・・。夜なので暗くてよくわからんけど。うつし方はちょっとアレだけど。・・ちゃんとこういう設定したのなら刀の扱いをさあ・・。なまくらじゃなくて名刀なんでしょ?プレデターは銃や爆薬や弓矢やナイフは経験豊富だと思うのよ。でも日本刀はなじみがないと思うの。その切れ味を何で映画では見せなかったのかしら。新鮮さを打ち出す絶好のチャンスだったのに。銃を撃ちまくる物量作戦は、迫力はあるけど既視感のあるものばかり。見ながら思ってたわよ。人間側は何で弾切れにならないの?って。作り手が「永遠なる武道」見てればねえ・・ハイスピードカメラで見せられる日本刀の切れ味の鋭さ・・あれをプレデター相手にやれば映画史上に残る名シーンできたのに・・うう、もったいない!いえ、なぜ私が未練たらしくこんなことをぐだぐだ書き連ねるかと言うとですねえ・・ラストで”男”がプレデターを倒すところがあるでしょ。ぶつ切り、細切れ、粗みじん。これでもかこれでもかって感じでやってたでしょ。ぐっちょぐちょになるまでしつこく。あれがどうもねえ・・手間かかりすぎだしいいかげんにしろと言うか。きらり一閃首が宙を飛ぶ・・みたいな潔さがない。首を落とすまでぐっちょぐちょ・・以下省略。さて、ハンゾーも倒れます。残ってるの”男”と”女スナイパー”とエドウィンの三人です。まあ予想通り。吊られていたプレデターとの意思疎通もうまくいき・・そりゃお互い戦士だから相手が何を欲し、自分が何を欲しているのかちゃちゃっと判断し、両天秤にかけて即決断。迷ったりしません。どうも宇宙船はパイロットいらないらしい。行き先セットすると自動で地球へ行くらしいんだな。まあ考え方としてこのプレデターがパイロットとなり、生存者を地球へ運ぶというラストがある。これだとハッピーエンド。でも作り手はそっち取らなくて。自動だからパイロット不要、従ってセットした後は、彼は自分をこんな目に会わせた敵プレデターと戦う。彼にとっては人間など眼中になし。

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今までプレデターのことあんまり書いてないけど、正直言って今回のプレデターはどうでもいい。パンフにはいろいろ書いてあって、前のとは違っているらしい。それと今回わかったけど、彼らの中でも争いはあって、殺し合っているみたいな。でも私にはどのプレデターも同じに見える。違いがわからないし、わかろうとも思わない。暗くてよく見えないから目が疲れるだけ。「プレデターズ」という題名からもわかるが、複数出てくる。で、ますますわからなくなる。興味もわかないし、魅力も感じない。皮肉なことに興味がわき、魅力を感じるのは人間の方。やっぱ見ている者が集中できるようとてつもなく邪悪で強力なのを一体、それと吊るされていたのと、出すのは二体で十分だったと思うが(私個人の感想ですけどね)。クライマックスはいくつかどんでん返しがある。宇宙船へ向かう途中エドウィンが罠で負傷。”女スナイパー”は彼を見捨てることができない。哀願するエドウィンが「家族がいるんだ」と差し出す写真はニコライのものだ。おんやーエドウィン君ウソをついてまで助かりたいのね・・気持ちはわかるけど。でも今まで一番普通に見えてた彼に何やら裏がありそうなことがほの見えてくる。彼にもそれなりの理由があってここへ送り込まれたのか。・・こういうサバイバル物では、最後の方で必ずと言っていいほど裏切りがある。そのまま行けば助かるのに、誰かが余計なことをする。犠牲者を増やす。この場合危ないのはエドウィンに情けをかけた”女スナイパー”である。”男”と行動をともにした方が助かるチャンスはあるのに。その予想通り二人はプレデターにつかまる。”男”は首尾よく宇宙船にたどり着き、すぐ離陸・・「ピッチブラック」風味だな。リディックは最後引き返して仲間を救ったけど、”男”は・・ありゃー行っちゃったぞ、何のためらいもなく。オヨヨ・・と思っていたら敵プレデターがいとも簡単に爆破しちゃった。またまたオヨヨ。吊られていた方はやられちゃったんだな。彼なら船を爆破したりしない。爆破したってことは悪いプレデターだ。いやもうそれくらい区別つかんのよ。でもって”男”はやられちゃったようだし、船もないからこの星からの脱出は無理。じゃあエドウィンと”女スナイパー”が生き残るのか。でも何だかエドウィンの様子がおかしい・・。

プレデターズ10

その後の流れもいい。なぜエドウィンがここへ送り込まれたのかがわかる。”女スナイパー”は植物の毒のせいで体がマヒ。絶体絶命!このように人間部分でこの映画は私をぞんぶんに楽しませてくれた。ラスト・・今まで名乗らなかった”男”は・・もちろん生きてましたよ主人公だもん!・・ロイスと名乗る。”女スナイパー”はイザベルと名乗る。彼女も今まで名乗っていなかったんだっけ?ロイスが名乗らなかったのは、名乗ってしまうとそこに関係ができてしまうからだと思う。話せば聞かれるし、助ければ助けられる。ニコライが命を落としたのは、助けられ、次は助けると約束し、そういう関係を作ってしまったからだ。今この状況でロイスはどんな関係も築きたくない。関係の第一歩である名前を言わず、誰からも距離を置き、生きのびようとした。でもその彼も結局は人間性を捨てきることはできなかった。最後の最後、仲間を助けに戻り・・二人生き残る。そしてお互い名乗る。その瞬間、ほとんどすべての映画がそうであるようにこの映画も「ボーイ・ミーツ・ガール」なのね・・とわかって、暗闇の中で思わず微笑んでしまいましたの。何てロマンチック!(恐ろしく変わった状況下ではあるけれど)とは言え、このラストじゃハッピーエンドとは言えない。地球へ戻れないのだから。次の餌が送り込まれ、またプレデターが現われる・・そのくり返し。まあ当然のごとく続編を意識した終わり方になっているが、作られるかなあ・・。この映画が「1」の続編ではなく、新しいシリーズの始まりになるように・・という作り手の意気込みは伝わってくる。ただ現実問題としてヒットしなかったし、この内容ならゲームでも十分である。もちろんゲームならブロディらの力演は堪能できないが。私としては大ヒットしてもおかしくない出来だと思ったんですけどね。やっぱプレデターのマニアからすると物足りないのかな。さて、今回初めてブロディをいいと思った。これが大きな収穫。垂れ下がった鼻とかいやだなあと思うけど、だんだん目が離せなくなって・・いや、鼻ではなく演技からですけど。クライマックスで上半身裸になるのは、あれは明らかにシュワちゃん意識しているんでしょうなあ。筋肉大盛りはムリだけど中盛りくらいはボクでもいけますってか?別に服着ててもいいやん。