ペンタグラム/悪魔の烙印

ペンタグラム/悪魔の烙印

これは数年前中古ビデオを見つけて買った。もちろんルー・ダイアモンド・フィリップス目当て。一回見てそれっきりだったのは、つまらないからではなく、後味の悪い結末だから。何度も見たいとは思わない。日本では公開されたようだが、DVDは出ていない。これからも無理かな。内容は「悪魔を憐れむ歌」と同じ。もちろん「ペンタグラム」の方が製作は先だけど。連続殺人が起きてるけど、それは悪霊が取りついているせい。取りつかれた者は犯人として死刑になるけど、魂は次々に別の人間に宿るから、刑事がいくら追いかけても効果なし。犠牲者は増えるばかり。知恵をしぼってやっと始末したかに思えたが、ラストは・・。たぶん「悪魔を憐れむ歌」の方がメジャー。キャストは豪華だし、内容もそれなり。つまりこういう内容の場合、なぜこういうことが起きたのかとか、どうすれば解決できるかがはっきりしていなければならない。研究者、専門家、偉大な宗教家が出てきて道を示す。でも「ペンタグラム」はそれがほとんどない。説明を省き・・要するにさぼっている。でもまあ最初から書こう。オープニングはちょっと長くて、だれる。でもその分音楽を長く聞くことになる。いや~な感じにさせられるメロディーが延々とくり返され、耳にこびりつく。修道女・・マルガリータがうつって、悪霊の仕業による連続殺人が起きていると主張するが、聞いている偉い人達は相手にしない。「テレビのワイドショーじゃあるまいし、取り上げるわけにはいかない」と言う枢機卿やってるのはフィリップ・アボットらしい。出演はここだけか。マルガリータやってるのはエリザベス・アーレンとかいう人。エリザベス・アレンという人もいるはずだが、別人か。マルガリータはその後しばらく出てこない。刑事のローガンがルー。「レネゲイズ」のすぐ後だから、あらどこかで見たようなしぐさ、表情、しゃべり方。キーファーはどこかと、思わず捜しちゃいました!いやもちろんビデオカバーに「話題騒然!全米で、日本で大ヒット!!ハリウッドの総力を結集した未曽有の映画体験!」なんて書いてあっても、頭から信じ込んだりしませんてば。だってルーだもん、BやCに決まってる。いや、アメリカではヒットしたようですけどさ。

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出ずっぱりのルーを見て満足している私は別として、他の人は暇つぶしになればいいかな・・くらいの軽い気持ちで見る(レンタルする)はず。ネットで調べると、ホラーと言うよりアクション映画と書いてる人が多い。カーアクション、爆発、落下、水に炎、一通り見せる。手抜きや安っぽさはなし、ちゃんとしている。さて、ローガンはネコを飼っている。もう少しニャンコの出番を多くして欲しかった。シャーシャー威嚇しているのがなぜかかわいかったけど、何やら悪いものを感じ取っていたのか。ある晩そもそものきっかけとなった電話が来る。ほとんどの人はマルガリータが電話してきたのだと思うだろう。顔は見えないが、口紅塗ってるからマルガリータじゃない。違う女だ。彼女テスは、次の事件が起きる場所を教える。また、犯人を死刑にしてはいけないと警告する。指定された場所を張り込んで三日目・・そろそろまわりは成果なしムード。ただ、死体に刻まれるペンタグラムと、犯行場所を線で結ぶとやはりペンタグラムになるというのは有力な根拠で、まわりが気乗り薄なのはおかしい。女刑事カルメンがさらわれるが、間一髪のところでローガン達が助け出す。つかまった犯人・・パトリック・チャン・・じゃない、チャニング・テイタム・・じゃない、パトリック・チャニング役はジェフ・コーガン。「ザ・メイカー」のルビコンやってた人らしい。彼は給水所の職員で、これが後で出てくる水のシーンに関係してくるのか。伏線と言えば、私は気がつかなかったけど、ライターのことを書いてる人がいて。ローガンはしきりにタバコを吸い、しかも吸い殻をぽいぽい投げ捨てるので、見ていて気になっていた。途中で一回ライターが出てきて、クライマックスでも出てくる。タバコを吸うからライター持ってるのは当然で、それがクライマックスで彼の命を救うことになると・・なるほどね。まあ、本当に救われたかどうかはビミョーだが。チャニングはガス室送りになるが、死んだはずなのに同じ手口の殺しが起きる。しかもカルメン、オリー、マッザ、グライムズと、ローガンの仲間が軒並みやられる。グライムズの場合は、チャニングをやっつけたと思ったら彼で。

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悪夢、幻覚、幻聴やらに惑わされるわけだが、ローガンは突っ走る方なので、見ているこっちは、ほらほら違うでしょ、もてあそばれているのになぜ気がつかないの・・となる。そりゃ目の前にチャニングがいるから追いかけて当然だけど、あまり何度もだと、いいかげん気づけよと思ってしまう。あまり相手が万能すぎると、見ていてもおもしろくないのよ。神様は何にもしてくれないし。15人も殺したわけだから、裁判はかなり長期にわたるはず。でも、あっという間に死刑になっちゃう。そりゃスラスラスイスイ隠さず自白して、異議も何にも唱えず、全部罪認めただろうから普通よりは短期間だったろうけど、それにしたって何ヶ月かはかかってるはず。執行がすんでお祝いしているローガンのところへテスから電話がかかってくる。約束を破ったとか責めるけど、だいたいローガンに死刑を止める権限も、その気もないことくらいわかるでしょ。決めるのは陪審員だし。上にも書いたように時間はあったはずなのに、テス自身は何もしてない。彼女は霊能者で、犠牲者の一人を霊視だか透視だかしたことから、この件に関わるように。ローガンと相棒のオリーはテスの家に不法侵入するけど、見晴らしのよいところに立つプールつきの豪邸なのに驚く。もうこの時点で彼女に反感持つ。何もしないでのうのうと暮らしていたのかよ・・って。パソコンにはローガンの天宮図があったけど、今いちよくわからない。テスは稼ぎがいいと言っても、恋愛相談や仕事のアドバイスが主で、こういう・・悪霊に関したことは専門外。つまり作り手はここで逃げを打っているわけ。状況がはっきりしないのは、彼女が専門家じゃないからですよ。決して脚本がいいかげんだからじゃないんですよ。で、テスはマルガリータを紹介しようと、ローガンを修道院へ連れていくけど、マルガリータはすげなく追い返す。ここでも見ている方は肩透かしを食うわけ。あらまあ何にもしてくれないの?それでいてしばらくすると考えを変えて行動を起こす気になる。十字架を盗み出すけど、院長(たぶん)に見つかる。でも何となく承知させる。院長はやっと深刻な事態らしいと思い始めるが、祈ってるとだけ言って他は何にもしてくれない。

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すぐさまマルガリータはローガン達と合流するかと思ったらまた自分の部屋へ行くし・・まあ確かに動き回ったって無駄なんだけどさ。でも悪霊の方は元気いっぱいで飛び回ってるのに、こっちは何やってるんだよとなって、見ていてがっくりするわけ。何をやっても無駄ってのばっか見せられるのもつらいぜ!ところでテス役トレイシー・グリフィスはメラニー・グリフィスの妹なんだそうな。つまりおっかさんはあのティッピー・ヘドレン?いやいや調べてみたらそうじゃないようで。ネットではヘドレンの娘になってるけど、ヘドレンと離婚したピーター・グリフィスが二番目の妻との間にもうけた娘ってのが正しいようで。だからメラニーとは異母姉妹。第一ピーターとヘドレンが離婚したのは1961年なのに、65年に生まれたトレイシーがヘドレンの娘ってのはおかしいでしょ。関係ないけどメラニーとバンデラスは離婚しちゃったのね。話を戻して・・どうもこのトレイシー・・見ていても魅力に乏しいと言うか。うるおいがないと言うか、表情も動きも固い。もちろんこちとらルーが目当てだから彼女なんかどうでもいいんですけどさ。途中ローガンは教会で告解するけど、それを聞いてる神父がチャニングだってのは予想がつく。で、テスも彼の過去は見抜いていて。酒場をやってた父親は殺され、母親は狂い、そういうことがあってもみんな神のご意思だからなんて言われても納得できなくて。何も信じられなくて。結局そういうところが悪霊を引きつけるのだと・・そういうことなんだろう。テスが言うには、グライムズが乗っ取られたのはアル中のせいだと。ローガン達は彼がアル中だとは知らなかったようだが。他にも乗っ取られてカルメンを殺した男はひどいヤク中で。でも、神を深く信じ、ゆるぎない信念を持っていたはずのマルガリータも、しごく簡単に乗っ取られたわけで・・。途中でローガンとテスはお約束通りいいムードになりかけるが、浮浪者の女が襲いかかり、大暴れする。あれこれあって車が派手に引っくり返るけど、ローガンはなぜか大したケガもせず、見ている我々を呆れさせる。とは言え、窓の外にいきなり女が浮かぶのは、映画館で見たらびっくりするだろうな。

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他に順番は前後するけど、チャニングの家を訪ねて祖母(ジュリアナ・マッカーシー)に話を聞くシーンもよかったな。祖母はいい子だったと断言するけど、テスはチャニングの出生の秘密を感じ取ってしまう。チャニングも出生の秘密に気づいて、たぶんそこを悪霊につけ込まれたんだろうな。物静かな老女がテスに秘密を暴かれ、しかもローガンが孫を死に追いやった張本人と気づき、態度が豹変するところはなかなかよかった。たぶんこの映画で一番怖いのはここかも。車の事故の後、テスをさらわれ、ローガンはマルガリータと共に給水所へ。ここでマルガリータが第一のパワーとか何とか説明をするが、不十分。チャニングは給水所という、大量殺人にはもってこいのところに勤めていたのに、何もしてないし。でも見ている方は、霊験あらたかな十字架・・のはずが、シャキーン・・中に剣が仕込んであるという、あまりにもな小道具に唖然。ここ、笑うところでしょうか?しかも、ほとんど何もしないうちにマルガリータやられちゃった。やられたはずなのに生きている・・この時点でおかしいと思うけど、ローガン気づかない。ここでのマルガリータの表情とかはなかなかよかった。悪魔に取りつかれた修道女・・それだけで魅力的(←?)。何しろテスの方は魅力に乏しいですから。ヒロインとしてテスとマルガリータ両方出してくる必要あったのかなという気がする。連続殺人とペンタグラムに危惧を覚えた”霊能力のある”修道女が、院長を説き伏せて十字架片手にシャバに出、ローガンと協力し合って悪魔と戦い、ついでに彼を苦悩から解放する。お互いに好意を抱きながらも、今はその時ではないと自重し、ついに悪を滅ぼす。ラストはくっついてもいいし、どちらかが犠牲になってもいい。その方が一貫したストーリーになったと思うんだけど。テスは出番多いわりに能力が中途半端、マルガリータはほとんど何もできずに乗っ取られるというのではねえ。それと、秘密に悩んだチャニングが隠れ場所にしていた給水所の一角から、偶然封印されていた悪霊を解き放ってしまったのが、そもそもの発端・・とかさ。もちろんラストも救いがない。エンドレス・・こう書けばわかるでしょ?まあ、若くてかわいいルーが見られたからいいですけどさ・・ってそればっか。