ペイチェック 消された記憶

ペイチェック 消された記憶

19のガラクタが意味するものは何か・・これだけが知りたくて結局は見に行ってしまった。謳い文句に釣られるんです、私って。ジョン・ウーの作品は「ブロークン・アロー」と「フェイス/オフ」を見たくらいで、他は全然。主演のベン・アフレックにもあんまり興味ないし、例によって行こうかな、どうしようかな・・とうじうじしていたわけよ。A型だから優柔不断なの。でも迷ったあげく見に行って、ものすごく失望させられたってことはほとんどないなあ。「ペイチェック」もけっこう楽しめた。何よりもうれしかったのは「サンダーバード」の予告を見ることができたこと(こらこら)。南海の楽園とか何とか字が出たとたんに、うっもしかして・・と思ったら案の定・・暗闇の中で欣喜雀躍。うれしさのあまり前売り券を買ってしまったぞ!でも何でおまけ(?)がピンクのぺネロープ号なのさ。何でサンダーバードじゃないんだあぁ・・くそ。「ペイチェック」を見ていて思ったのは、「フェイス/オフ」に似ているなあということ。ハトが飛んで(何であそこで飛ぶ?)、スローモーションがあって、銃を突きつけ合って・・。ああいう状態って自分も相手も何もできないからそこで終わり・・って気がして仕方ないんだけど。映画だから次のシーンへ進むけどさ。あ、そう言えば二丁拳銃はなかったな。代わりにアフレックが棒術を披露してくれる。私は棍術(映画に出てきた棒よりも長いものを使う)をほんのちょびっとやったことがあるけど、けっこう難しいのよ。動作によって持つところがいろいろ変わるからね。カラーンなんて落っことしてみたりさ。アフレックはよくやっていたと思う。重力を無視して一度に数人を蹴り倒すなんていうアホらしいシーンがないのはよかった。途中のカーチェイス(片方はバイクだけど)はハデでしたな。ユマ・サーマン扮するレイチェルがヘルメットを追っ手の車の運転手に投げつけるところは、二回見て二回とも笑っちゃいました。どこの映画館でも「キル・ビルVol.2」の予告を見せられるので、イメージが重なっちゃう。アンタこんなとこで何してるの、復讐しないでいいの?って感じ。彼女もっと若々しい美人のはずだけど、ここでは老けてやつれて・・どうしたん?生物学者ということだけど、とてもそんなふうには見えない。リモコンのボタン押して遊んでいるだけに見えるゾ。

ペイチェック 消された記憶2

しかしアクションシーンではがんばってやってましたな。最後の爆破シーンもすごかったな。「フェイス/オフ」もいろいろハデだったけど、こっちもなかなかのものでした。ストーリーも同じくぶっ飛んでいて、あっちは顔を入れ替えちゃうけどこっちは未来を見る。それらしい説明も根拠もなしに、ここからここまでという期限つきで記憶を消しちゃうんですよ(ただし例によって後でちゃんと戻るけどね)!未来を見ることができるマシンを作っちゃうんですよ!・・メチャクチャだよなー。ショーティーさんはあんなにすごい技術を持っているのに、使うのはマイケルにだけですか?彼ひっぱりだこだと思うけどなあ。主人公マイケルは、何しろ演じているのがアフレックですからね。とても優秀なエンジニアには見えませーん。栄養が脳に行かなくてアゴにたまっちゃってるんでーす。アメコミのヒーローってみんなああいう顔しているよな。アゴが張っていて頭カラッポに見える。でもアフレックは利口そうには見えないけど、とってもお人好しに見える。だからいつも何かトラブルに巻き込まれちゃう。「恋は嵐のように」、「レインディア・ゲーム」、「ファントム」などなど。基本的には善人なので、多少トホホなところがあっても応援したくなっちゃう。「ペイチェック」でも、最初は彼を追っていたFBI捜査官がいつの間にか「君の力になる」とか何とか言ってたし、ラストはウフフ・・だったし。ホントはいけないんでしょ?証拠隠滅だものね。でもマイケルがマシンの爆発後も生き残ったということを上司には隠し、相棒と目配せして了解し合うところは、見ていてやっぱり顔がゆるみましたぜ!映画はこうでなくっちゃ!この黒人の捜査官は「ノイズ」に出ていた人かな。マイケルをしつこく追い回すウルフは「フェイス/オフ」や「シティ・オブ・エンジェル」に出ていたコルム・フィオール、レイチェルに化けるマヤは「恋は邪魔者」のイベットさん。彼女の方がユマより美人です。マイケルとレイチェルがうまく逃げのびて、園芸店か何か始めてつつましく生活する。そんなほのぼのとしたエンディングかと思ったら・・。最後の最後にもう一つひねりがあった。マイケルが受け取るはずだった報酬(ペイチェック)約9200万ドルに近い金額を、くじで当ててしまうのだ。マイケル、レイチェル、そしていろいろ力になってくれたショーティーの三人は大金持ちだ!

ペイチェック 消された記憶3

いやーめでたしめでたし。・・ん?ちょっと待てよ。これって未来が見えることを悪用した行為よね。そのお金を手にすることに彼らは何の後ろめたさも感じないんですかね。それとマイケルは大事なこと忘れてるぞ。彼が手がけたのは未来が見えるマシン。完成すれば誰だって自分の未来が見たい。彼が19のガラクタを揃えたのは自分の未来を知ったからだ。生きのびるために必要なもの・・それが19のガラクタだった。ま、それはいい。問題なのは彼が見た世界の将来。マシンが戦争を予知すると、それを阻止するために別の戦争が起きる。未来がわかると世界は混乱し、結局は滅亡への道を歩む。マイケルがマシンを破壊する決心をしたのはそのためで、その通りマシンは破壊されたのだが・・。マシンが予知した戦争は起こるってことよね、近い将来に。それを阻止する方の戦争は起きないけどさ。そう考えるとマイケルさんよ、アンタ大金当てて喜んでいるバヤイではないのですぜ!アンタはその目でいつどこでどういう戦争が起きるか知っているのだから、安全なところへ逃げた方がいいよ・・なーんて私が心配してどうする!さて例によって原作も読みましたよん。これを読めば映画でのあいまいな部分も解明されるかも・・って期待したんですが、結果ははずれ。何もない空間に金属のかぎ爪が現われるんですか、そうですか・・オヨヨ。1950年代に書かれたSFだから仕方ないんですかね。しかしまあ何ですな、この短い小説からよくあそこまで話を広げましたな。その点は感心しましたよん。さて話は変わるけど「キル・ビルVol.2」にはデビッド・キャラダインが出ているんですな。予告を見てびっくりしました。ついでに彼の声を聞いてまたびっくり。だってぇ・・「燃えよ!カンフー」での岩崎氏の声がキャラダインの声として私の頭にはインプットされているんだもーん。あれはキャラダインの声じゃない!なーんて一瞬思っちゃったわけよ。先週から「カンフー」の再放送が始まって、またあの魅惑的な声聞いてまーす。「なぜですか・・」とか「○○というわけでは・・」とか、岩崎氏の声って「・・・」が多いのよね。物静かでゆっくりしていて聞いているだけで癒される。キャラダインと言えば「サイレント・フルート」を思い出す。ブルース・リーがジェームズ・コバーン共演で作るつもりだった映画だ。結局は作られなかったんだけどさ、残念。