別働隊

別働隊

これは以前WOWOWで一度見たが、さほどおもしろくなかった。その後DVDを買ったが、アラン・ラッドが出ているからだ。ベストセラー小説の映画化らしいが、この映画が記憶されているのは「モナ・リザ」がアカデミー歌曲賞をとったから。ネットで調べてもたいてい「モナ・リザ」のことしか書いてない。1944年の北イタリア。ある島の城を司令部として使っているのがアメリカの工作員ケリー(ラッド)とフランク。もう半年もここにいて、その間にケリーはジュリア(ワンダ・ヘンドリックス)と愛し合うようになる。彼女は祖母の伯爵夫人の世話をしているが、ケリー達のことは秘密にしている。村ではパルチザンのルイジ一家が協力してくれている。ある晩ドイツ軍が城を急襲。フランクは撃たれて死に、ケリーも重傷を負う。彼はジュリアも死んだと思い込む。彼はつかまったものの救出され、三年間入院していたらしい。戦後の彼はニューヨークで土木技師をしている。女性が彼のつれない態度を嘆くが、彼女は婚約者か。たぶん金持ちの父親がケリーを気に入り、結婚させ、跡継ぎにしたいのではないか。ケリーの方はジュリアは死んだと思っているから、どうでもいいやと思っているのだろう。ここらへん説明のないことばかりだ。だから勝手に想像させてもらいました。ある日ショーウインドーに飾られた風景画がケリーの目に止まる。あの城の地下の200年も封印されていた部屋・・半年間寝起きした部屋に置いてあった絵に間違いない。結婚したら飾りたいとジュリアが言っていた絵・・なぜここにあるのだろう。店主に聞いたが、誰から買ったのか教えてくれない。ならば自分で調べるまで。ケリーは思い出の地ベルモンテへ行くことを決意する。自分達が地下室にいたことは、自分とフランク、ジュリアの三人しか知らない。なのにドイツ軍が来たってことは裏切り者がいたのだ。その裏切り者がこの絵を持ち出したのだ。あれから四年ほどたっているらしい。彼がアメリカ人だとわかると、まわりの雰囲気が険悪なものに変わる。いったいなぜなんだろう。ともかくルイジに頼んで船を出してもらう。驚いたことに城には四年前には行方がわからなくてジュリアが心配していたカルロがいた。

別働隊2

カルロは最初の方では字幕で兄になっているが、ここではジュリアのことを姉と言ってるから弟になる。いったいどっちなんだろう。死んだはずのジュリアも生きていた。しかもロコという男爵と結婚していた!ショックを受けるケリー。絵のことも、売られたことも伯爵夫人には初耳だったようだが、彼にはすべてがどうでもいいことに思えてきた。ルイジの話では、例の件はあれだけではすまなかった。襲撃があった晩、見せしめのため村人が27人も殺された。また、ドイツ軍に密告したのはルイジの息子マリオだと思われ、そのせいで村人に殴り殺された。村人にとってはまだあの事件は終わっていないのだ。だからケリーを敵視する。またルイジ一家にとっては裏切り者という汚名がつきまとっている。前の晩マリオがナチの高官に手紙を届けたのは確かだが、口止めされていたため、誰に頼まれたのかはわからない。頼んだのが誰なのか突き止めたい。絵についても知っていることがある。しかしすっかり気の抜けたケリーはもう帰る気になっていて、ルイジの言葉にも耳を貸さない。ホテルの部屋にジュリアが来るが、今更という感じだ。お互い相手は死んだと思っていたのだから。ジュリアが帰った後、ルイジが来るが、ナイフで刺されて死んでしまう。ナイフは彫ってある頭文字からしてフランクのものだ。この事件のせいでケリーはここから離れられなくなってしまう。外を歩くとものを投げられたり、いやがらせをされる。しかし味方もいて、盲目のアコーディオン弾きが、セラフィナに裸足の男のことを尋ねろと言う。彼がなぜ味方してくれるのかは不明。セラフィナは夫のマリオが殺されたのはケリーのせいと恨んでいる。息子のピエトロは裏切り者の息子だと学校でいじめられている。おまけに今度はルイジまで!ところでこのピエトロやってるのは・・ラスティ・タンブリン・・ラス・タンブリンだ!その後あれこれあるのだが、平坦で単調になるのを救っているのが、ホテルの主人のオーバーなアクション。少し笑える息抜き的存在。ルイジ事件のせいでケリーには見張りがつくが、ホテルの窓から抜け出し、ジュリアと二人でミラノへ行く。島へ渡った男を突き止めるためだが、ケリーがベビーカーを押すなどよくわからないシーンも出てくる。たぶん原作にはそこらへんも書いてあるのだろうが。

別働隊3

宿帳にあった男を一人ずつ調べるのだが、そのうちのアクトという男が裸足だった!なぜ裸足かと言うと、曲芸を教えているからだ。数人の上半身裸の男達が出てきて、鉄棒をやってみせたりする。ここらへんも原作にあるのだろうか。アクトはとぼけていたが、ケリーに問いつめられ、自分は絵を密輸しただけと言い出す。誰から買ったかは領収書を見ればわかる・・と、別室の金庫を開けにいくが、ナイフで刺されて死ぬ。領収書も奪われる。おまけにケリーはアクトを殺したと思われ、曲芸の男の一人と格闘になったりする。この後ケリーはジュリアと別れ、なぜか医師のルナティの車で村へ戻る。ルナティには城へ行った時に出会っているが、復讐はやめろと言ったり、いろいろ聞くので、見ている人のほとんどは殺し屋はこのルナティなのでは?と思うんだろう。後で違うとわかるけど。アクト殺しは犯人によって警察へ通報され、警官がホテルへ駆けつける。窓から入ろうとしたケリーは間に合わず、逃げ出すはめになる。この時のラッドの、上っていく動き、下りていく動き・・身体能力の高さに感心させられる。機敏で力強くしなやか。ラッドの特徴がよく出ている。追われるケリーを助けてくれたのは男爵。彼はケリーを国外へ出したいのだが、ケリーは強情な性格で、こうしろと言われて従うような男じゃない。その彼に男爵は思いがけないことを伝える。何と密告したのはジュリアだと言うのだ。もちろんケリーは信じない。これをこっそり聞いていたのがピエトロ。すぐに家へ戻ってセラフィナに伝える。セラフィナはまわりの者に言う。そのためみんなして島へ向かう騒ぎとなる。ルナティが止めても聞かない。城ではおどおどした態度のジュリアが、密告者は自分と告白する。カルロの死刑執行をやめさせるためだったと。ショックを受けるケリー。男爵に促され、地下室へ。そこから船で脱出できる。懐かしそうにあたりを見回すケリー。階段の途中にあるシミは、撃たれた自分が流した血か。彼はあの隠し部屋も調べてみずにはいられない。絵がたくさん置いてある。ジュリアや伯爵夫人が強制収容所から戻ってきた時には、みんななくなってしまったはずなのに。ここらへんは見ていてもよくわからないが、ここで黒幕が男爵だと判明する。

別働隊4

ジュリアは男爵に脅され、ケリーをここから逃がすためにウソをついたのだ。カルロを助けるため伯爵夫人が頼ったのは男爵。彼女はケリー達のことに気づいていたのだ。アメリカ兵はよそ者だから、密告するのにためらいはなかったろう。村人が殺されたり、使いを頼んだマリオが殺されたりするとは思っていなかっただろうけど。今回男爵は直接には手を下していない。ルイジとアクトを殺したのはジョヴァンニ。彼はホテルの従業員。そうわかってから見ると、何度かいかにも怪しくうさんくさげにうつされている。ルイジは男爵がナチと関係があったのに気づいたため殺されたらしい。あの時ホテルへ行ってケリーにそれを話しそうになったので、口を封じられたのだ。男爵は政治家なので、戦時中ナチと関係があったとばれては困る。アクトを通じて絵を売ったのは政治資金が必要だったから。そう言えば村には彼のポスターが貼られている。きっと選挙が近いのだろう。この後格闘シーンとなるが、ジョヴァンニは間違って男爵を撃ってしまう。そのジョヴァンニを撃ったのがケリー。ジュリアは押しかけてきた連中にリンチされそうになるが、ケリーが真相を告げ、ジュリアは助かる。ラスト・・ケリーはひとまずアメリカへ戻る。ジュリアは今すぐはここを離れられない。夫が死んだし、今度のことで伯爵夫人は体調を崩すだろう。でもケリーはまた戻ってくる。カルロは・・彼のことは説明不足だ。自分の命が助かった裏には多くの犠牲者があったのだ。それを知ればショックを受けるのでは?ジョヴァンニを屋敷に引き入れるなど、男爵の手伝いもしている。彼の悪事を手伝っているようにも見える。しかし結局彼の立ち位置は不明のまま。てなわけで、いちおう推理物だが、あまりハラハラしないし、全体的にゆるい感じ。ヘンドリックスも美人と言うより愛敬のあるタイプ。かえってセラフィナ役アンジェラ・クラークのきつそうな顔立ちの方が印象に残る。男爵役はフランシス・レデラー。ジョヴァンニ役はジョージ・J・ルイス。「モナ・リザ」は警戒を知らせる合図として何回か流れるが、わりとサラッと使われるだけだったのが意外。