ヒドラ

ヒドラ

「午後のロードショー」で録画しといたのを見た。「コレクター」のアレックス・マッカーサーが出ているらしいから早速。2009年製のテレビムービー。出てくるのは知らない人ばかり。中にはあんまり演技うまくないのもまじってる。CGは、こんなもんですいませんが、精いっぱいやってるんで許してちょ・・って感じ。まあこちらも期待してませんからいいですよ。火山島に調査に来たのがいて、すぐ三人食われる。始まって3分くらいでもう怪物が全貌あらわす。尻尾だけとか、手だけとか(手はないけど)、目玉だけとか(目もないのかな)、そういうチラリズムはなし。いきなりです。口ばっかなので、他がどうなってるのかよくわからない。この怪物ヒドラは、銃などで頭撃たれるとブチャッと弾けるけど、その後二つ頭が出てくる。・・てことは、最初出てきた時頭三つあったから、それまでに何回頭をやられたのでしょう・・15秒以内で答えなさいとか。最初から三つあったのかも・・まあいいや。頭以外はアナコンダ。でもCGは頭に力入っていて、それ以外は付け足しみたいな。この時は女性・・ヴァレリーだけが生き残ったのだろう。次に貨物船が出てくる。貨物室(たぶん)には四人の若者が閉じ込められている。キャムデンというのがいて、大金持ちを四人集めて無人島でマンハンティングツアーを企画。若者達は、標的として誘拐されてきたのだ。彼らを島に放し、24時間待って金持ち達・・ハンターが上陸。こっちは武装している。ここまではヴァン・ダムの「ハード・ターゲット」と同じだが、出演者にヴァン・ダムもランス・ヘンリクセンもアーノルド・ヴォスルーも揃えられないこちらとしては、背景にひとひねり加えるくらいがせきのやま。ハンター四人には、それぞれ辛い過去があるのだそうな。例えば飲酒運転の若者のせいで、あるいはレイプ魔のせいで、愛する者を失ったとか。あるいは妻に撃たれた夫とか。そいつらはいちおう裁かれ、刑務所へ入ったりしたけれど、法律で十分罰せられたとは言えない。だから今こそ彼らが罰してやるのだ。正義を行なうのだ。若者四人のうち、女性のグウェンはDV夫を撃った。ロニーは飲酒運転、ボブはレイプ魔か。ハンター側は、こればっかりは金がいくらあっても癒されることのない、心の傷を抱えているわけだが、集められた四人がその犯人・・というわけでもないようだ。同じような犯罪犯した連中を見繕って誘拐してきたらしい。ん?代用品?ここらへんははっきりさせた方がよかった気も・・。

ヒドラ2

特にグウェンは、元夫が復讐のため、ゲームに参加したのに違いないと思えるのに、後でわかるが、夫は死んでいるというではないか。と言うことは、いかにも妻にひどい目に会わされ、くすぶった怒りを抱え込んでいるらしいトロッタは、グウェンとは無関係ってことで。あたしゃてっきり・・。ハンター側四人は、標的達を見ても、憎い仇を前にしたという感じじゃないから、仇本人ではないんだろう。となると、結局復讐より人を殺したいのが本音に思えてきて・・せっかく設定をひとひねりした意味がない。もっとも、辛い過去と言ってもキャムデンがあおるためにそう言っているのかもしれないしな。こういう映画にはつきものの、告白ごっこもないので、ハンター四人の背景はあいまいなまま。さて、若者四人のうち、ノーランだけはキャムデンが予定していた人物と違っていて。どうも船長のスウィートが、自分の個人的な恨みを晴らそうと、勝手にノーランを連れてきたらしい。キャムデンは一人当たり4000万ドルも払わせている(いくら何でも高すぎる)。今回が初めてではなく、前にもやっている。ちなみに前回はたった6時間で終わってしまったらしい。いちおうきちんと計画通りに進めようとする。強欲で恥知らずな悪人ではあるが、精神異常ではない。この後ハンター側に死者が出ると、ゲームを中止し、返金しようとするなどする。ところがスウィートの方は、たぶん金などどうでもよい。復讐することしか頭にないから、キャムデンに逆らい、事態を悪化させる。キャムデン役がマッカーサー。顔は「コレクター」の頃とあまり変わっておらず、えくぼもそのまま。ただ、おなかが出ている。最近の写真だとちょっとやせていて、病気じゃないといいけど。スウィート役マイケル・シェイマス・ワイルズはどこかで見たような・・。「ミディアム」に出ていたらしい。まともなようでいて、実は異常。しかも地位が上だから部下は逆らえず・・というのは、「戦闘機対戦車」のロイド・ブリッジスみたいだな。こういうのが上官だと最悪。島の調査で先乗りした二人、若者達を島へ連れて行った二人・・合わせて四人の部下は消息を絶つ。ハンター達も次々やられる。スウィートは、船にいても標的、ハンター両方の位置を把握できる。私は、ノーランに渡された腕時計に何か付いていて、そのせいで追跡できるのかなと思ったが、そうでもないらしい。

ヒドラ3

誘拐され、眠らされている間に体のどこかに埋め込まれたのか。でもいくら何でもわかるよなあ。食事の中に入っていたとか?それじゃあ「サンダーバード」だ!ハンター達もどこに付けていたのだろう。腕時計しか思い浮かばないが・・。ノーランとグウェンは後で船に戻るけど、船にいた連中は何も気がつかなかったな。スウィート以外は誰も追跡装置には興味なかったと?と言うか、船に戻るの早すぎ。テレポートしたとしか思えない。話を戻して、途中でグウェン達は木箱を見つけるが、2007年4月と書いてあって、二ヶ月前だと言っている。私はてっきり・・2009年製だから、映画の中でも2009年だと・・ヴァレリーは二年も一人で生き延びているのか・・なんて思ったけど、二ヶ月なのね。それにしても何でなかみを調べないのかな。元々スウィート達が目指していたのは、この島じゃなかったようだが、ここらへんもあいまい。海図にも載っていない島と言いつつ、古い海図には載っていると言うし、しかもかなり大きい。ヴァレリー達だって来ていたし、そこらへんもいいかげん。ノーランはすぐにリーダーシップを発揮し始める。後でわかるが、彼は米軍の特殊部隊出身。スウィートは、イラクでの上官だった。彼の残虐行為に反発し、手榴弾を投げたとか。スウィートは、それを根に持っているのだ。殺そうと思えばすぐにでも殺せるが、それではおもしろくない。さんざん苦しめてからでないと。だから標的にまぜたのだ。ノーランの指示で、ハンター達に仕かける罠を作ったりするが、ヒドラが出てくると、それどころではなくなる。途中でやっぱりヴァレリー登場。ノーランをめぐってヴァレリー、グウェンの三角関係勃発か・・と思わせるが、そんな気のきいたことはなし。ヴァレリーのいきなりの神話、伝説、ヘラクレスの剣でヒドラ退治説が飛び出し、こっちもあっけにとられる。ヘラクレスかよ・・ところでここっていったいどこ?え?地中海?アザラシがいるって言ってなかった?で、あれこれあって、まず洞窟での戦い。スウィートもヴァレリーも他のもみんな死に、残ったのはノーランとグウェン。ノーランが剣でヒドラの首ちょん切るけど、最後の一本は完全には切断しないでおく。いや、自分では切断したと思い込んだんだけど不十分で。こういうののお約束で、すぐもう大丈夫終わった・・となる。

ヒドラ4

で、見つめ合ってキスして・・後でまたピンチに陥る。舞台は船に移り、第2ラウンド。まだまだ犠牲者は出るのでありましたとさ。まあ・・何と言うか・・日本人から見るとヤマタノオロチだよな。最初ミマタで、一番多くて何マタだったのかな?ノーラン役ジョージ・スタルツは、ポール・ウォーカーにマーク・ウォールバーグをミックスして、クリス・パインで味付けしたような顔立ち。でも全体的には薄味で平凡で地味。まあ他の連中はそれ以上にアレなので、彼はマシな方ですけど。グウェン役ドーン・オリヴィエリは、ファムケ・ヤンセンの代用品みたい。年齢より老けて見える。ヴァレリー役がポリー・シャノン(知らん)。キャムデンの妻ディクシーは、若くてスタイルがよくて頭空っぽだが、金のことだけはいつも考えてる。体以外何の取り柄もないので、金でもなきゃ生きていけない・・それくらいはわかっているようだ。美人というわけでもないし、キャムデンだってそのうち飽きるだろう。彼がゲームは中止、金は返金などと言い出すと心配になる。しかも受け取ったのは前金1割で、残りは無事戻ってから。それは当然だろうけど、キャムデンが船室にこそこそ隠していたのはその前金?1割と言っても四人分なら1600万ドル。それをディクシーは捜し出し、持ち出そうとして・・。持ち出すったって船の上じゃん。どこへ持っていくのさ。それともあれは全額?もちろんキャムデンもディクシーも食われ、最後には金はノーランとグウェンのものに。これでゆっくり豪華旅行が楽しめる。それにしても・・ヴァレリー、グウェン、ディクシー・・この映画に出てくる女優さんは揃いも揃って魅力なしだったな。トロッタ役の人はデヴィッド・ヘミングスタイプの顔立ちでなかなかステキ。何だかよくわからないままで死んじゃうのは残念。「メンタリスト」の「血を流すハート」に出ていたらしい。ところで島にはハンターが一人取り残されている。しかも木に縛りつけられて。ノーランとグウェンは、彼を見捨てて島を出てしまう。いくらハンターの一人だからってそれじゃあまずいだろ。多くの人が死んだから、たぶんあの後島には人が派遣されるだろうけど、それにしたってねえ。こういう映画は、出来が悪くても後味くらいはよくしておかないと。火山島と言うことで、最後には大噴火起こして何もかも海に沈んじゃうのかな・・と思ったけど、そういうのもなかったな。新しいカップルが誕生して、それで終わり。いかにも「午後のロードショー」向きの凡作。それなりにおもしろかったけどね。