ホリデイ
この映画かなり評判いいようで。主役四人の顔ぶれの豪華さ(キャメロン・ディアス、ケイト・ウィンスレット、ジュード・ロウ、ジャック・ブラック)に話題が集まっている。でも私のお目当てはルーファス・シーウェルとエドワード・バーンズ。二人ともヒロインをふる役。いわば憎まれ役だけど、この映画基本的にはそんなに悪い人は出てこない。ジャスパー(ルーファス)はアイリス(ケイト)にさんざん気を持たせる。利用するだけ利用してちゃっかり別の女性と婚約。アイリスは失恋するわけだが、その後もメールは来るし電話は来るし突然訪ねてくるし・・。本当に愛しているわけじゃないけど、いちおうつなぎとめておいて、いろいろ利用したい。面倒が起こると泣きついてくる。私は都合のいい女。それがわかっていてきっぱりとした態度を取れない。うーん、わかるわかる。でも二人の関係がどの程度のものなのか、私には結局よくわからなかったな。プレゼント交換、メールのやり取り、仕事に関係したやり取り、デート、食事・・。それ以上の関係は?冒頭の感じだと三年間も思いを打ちあけることができず、悶々としているように見えたが・・よくわからん。見ている人は不思議だったでしょうね。何でこんな男に夢中になるのか・・って。ハンサムでもないし。それでなくてもこの映画、後で超美男子のジュードが登場する。彼に夢中になるとか片思いだってのならみんな納得する。でも・・男は顔じゃないんです!アイリスがジャスパーにべたぼれなのはありうることなのです!彼にはいろんな面がある。得体が知れない、謎めいている、ちょいワル、それにセクシー!きれいに整っていて欠点がなく、謎も何もない・・というのでは女性は引かれない。ワクワクできないもん。私正直言ってルーファスには憎まれ役ではなく、ヒロインと恋に落ちる役やって欲しかったんですの。この映画で言うとマイルズ役。グラハム役でもいいけど、あんなにキスとかイチャイチャとかして欲しくないからやっぱりマイルズ役。美男美女(この映画だとグラハムとアマンダ)が恋に落ちる話なんて、珍しくも何ともない。今まであきるほど作られてきた。それと美男美女が恋に悩んでも全然同情できない。ぜーたく言うのもたいがいにしろッ!ブスだったり貧乏だったり・・何か欠けているから見る方は同情し、応援するのだ。自分の美貌に満足してろ!それ以上のことは望むな!
ホリデイ2
この映画は二組のカップルが交互に出てくるわけだが、アマンダ(キャメロン)とグラハム(ジュード)の方は、私にはどうでもよかった。出会って10分後にはベッドイン・・ってどういう性格してるんだ?相手のこと何も知らないのよ。グラハムがアイリスの兄だと言っても、アマンダはそのアイリスとも会ったことがない。メールかわしただけ。その後も何だよー、レストランの前でのシーンとかわざとらしー。いるよなあこういうの。自分達の世界に酔ってる。まわりに見せつけたくて仕方ないバカップル。いや別にキャメロンやジュードが悪いって言ってるんじゃないですよ。退屈でありふれたわざとらしい描写だなあ・・と。ルーファスと違い、イーサン役のバーンズは最初の方だけの出演。もったいないよなあ。どうせならアイリスと恋に落ちるのはマイルズ(ブラック)じゃなくてイーサンにしてよ。職業同じだからストーリーの変更しなくていいし。いや別にジャック・ブラックが嫌いなわけじゃないんだけど、どうも彼この映画に合っていないような気がするんですけど。体型とかキャラとか好ましいんだけど、何か違う。爆発しそうになってるのをがまんしているような・・。もっと感情をがーっとむき出しにし、大声でわめき、しゃべり散らし、そこらへん走り回り、ものを壊し、人に迷惑かけ、服を脱いでストリーキング・・とかさ。見るからに暑苦しくて汗臭そうで動物的・・それでこそジャック・ブラック。でもこの映画ではそれを封印している。眉をぴくぴくさせたり、ほんのちょっと本性を見せる(レンタルビデオ店でのシーン。関係ないけどこのシーンにはダスティン・ホフマンがちらり出演)くらいしか許されていない。何か窮屈そうで彼が気の毒な気がしたのは私だけ?ストーリーは・・ジャスパーにふられたアイリス、イーサンと別れたアマンダ、この二人がホーム・エクスチェンジをすることになって、アマンダはイギリスへ、アイリスはアメリカへ・・。期間は二週間。傷心の二人に新しい出会いはあるのか・・運命の人に出会えるのか・・。アマンダみたいなタイプは困る。彼女の仕事は映画の予告編作ること。豪邸に住んでいるけど、仕事に追われ、同棲相手のイーサンとも気まずくなってる。○○と寝たでしょ、白状しろこら・・とヒステリックに問いつめる。言わなきゃ怒るし正直に言えば怒るし・・で、同棲解消。イーサンが浮気したくなるのもムリない。
ホリデイ3
アマンダはすぐ白黒つけたがる。グラハムに出会ってもそうだ。すぐに関係を持ち、すぐに結果を決めたがる。二週間たったらアメリカへ戻るんだからこれ以上深入りしないようにしましょう。その後すぐ、どうせ別れるんだからこの二週間はいい思い出になるよう楽しみましょうよ・・となる。とにかくコロコロ変わる。仕事に追われ、本も読めないと言いつつ、何も邪魔するもののないアイリスのコテージに落ち着いても今度は退屈で退屈で・・。ヒマがあってもじっくり本を読むようなタイプではないのだ。いつも何か刺激を求めている。私はイーサンに心が残った。そりゃ浮気は悪いことだが、彼は満たされていない。彼はアマンダとちゃんと向き合い、ちゃんと愛し合い、信頼し合って暮らしていきたいと思っている。アマンダが態度を変えれば二人はそれなりに幸せになれる。しかしアマンダは自分をごまかす。自分の問題に向き合う代わりにイーサンを非難する。その方が楽だもん。不仲のきっかけを作ったのも、仲直りのチャンスをぶち壊したのもアマンダの方。彼女にもそれはわかっている。幼い頃両親が離婚した。強くならなきゃ・・と決心し、今ではイーサンと別れても涙も出ない。彼女は白黒つけたがる。恋人と別れたら「涙が出なくてはいけない」し、グラハムのような美男と出会ったら「即ベッドインしなくてはいけない」のだ。彼のようなハンサムは遊び人で、いろんな女性とつき合っているに違いない。ところが彼は妻をなくし、幼い娘二人をかかえた男やもめだった!娘二人のうち、長女の方がいいです。きちんとしつけられた英国風の小さな淑女。色が白く、こぼれそうな大きな目のおすましさん。父親を心配し、どうやらアマンダが気に入ったようで、父親と結びつけようと心を砕く。頭がよくしっかりしていてけなげ。よく出てくる口ばっかり達者な憎たらしいガキンチョとは出来が違うんです!ちゃんとしていると言えばイギリスのタクシーも印象的。制服着てるしアマンダに対しては「マダム」「マダム」ですよ。言葉づかいからして違う。アマンダの方もグラハムと娘二人が気に入った。でも・・こっちに住むとは思えない。アメリカの都会の便利な暮らし、キャリアウーマンとしての忙しくも刺激的な生活。それらを捨てられる?変更できる?二週間たち、出発という時になって、タクシーの中で今まで何があっても出なかった涙が出ているのに気づく。
ホリデイ4
さっきの別れなんかどこかに吹き飛んで即Uターン。「涙が出たから戻らなくちゃならない」のだ。じゃ、出なかったら戻らないのかよ。まあホントコロコロ変わるんですよ。アイリスのコテージに戻ってグラハムを捜す。そしたら・・グラハムの方も涙流していましたとさ。彼は自分でも泣き虫だと言っていて、それがこのシーンで証明されるわけ。アマンダはとっとと行ってしまって自分はひとりぼっち。さびしくて悲しくて家の奥でこっそり泣いている・・ってのがいじらしいじゃありませんか。そう言えばジャスパーの婚約知ったアイリスもずーっと泣きっぱなしで・・兄妹して泣き虫なのね。このグラハムにはちょっとぐっときますよ。当節は男の方が女々しいんです。でも一人静かに涙を流しているとほうもない美男というのもいいですな。きっと奥さんなくした時も泣いたんだろうなあ。その後も娘達の寝顔見ながら幾晩も泣いたと思うよ。アマンダの方の涙はお約束で感動も何もない。涙が出ようが出まいが戻りたいなら戻ればいいのだ。さてケイト・ウィンスレットは泣くのがうまい。「いつか晴れた日に」でも泣きまくっていた。涙が、失恋が、彼女には似合う。マイルズの前で自らの失恋体験をせつせつと語るシーンでは、私も思わずもらい泣きしそうになった。その後彼女の思いがけない雄弁さに驚くマイルズがうつるけど、これを見て変だと思いませんでした皆さん?ただ驚くとか感心するとかではなく、彼女の言葉に共感し、もらい泣きとまではいかなくても目をうるませるとか、目や顔を赤くするとか・・。だって自分も失恋したばかりなんですよ。他人事じゃないんですよ。アイリスと同じで自分も報われない恋ばっかりしてきた。二人はいわば似た者どうし。マイルズも泣いてなきゃおかしい。でも・・目は乾いているし冷静。ただちょっと驚いているだけ。いいシーン(ケイト渾身の演技)なだけに、マイルズの反応の鈍さにはがっくり。この映画ではケイトの演技が断然光っていて、彼女の話だけで全編作って欲しかったくらい。ものすごい美人だけどちょっと太めなのがいい。「エニグマ」ではかなり太っていて、それでもきれいだったけど、今回はちょうどいい。色が白くくっきりとした顔立ち。胸は豊かだしお尻は大きいし二の腕は太いし、とにかく健康的で母性を感じさせる。キャメロンはのっぽでスタイルはいいけどギスギスしている。
ホリデイ5
顔はアップになるとシワが目立つし、時々気の毒な気もする。まあシワがあってもキュートでかわいくて美人だけどさ。アマンダとグラハムとのあれこれはありきたりだしうそっぽい。特にベッドでアマンダがしっかりブラジャーをしているシーンは不自然だし興ざめ。私がいいなあと思ったのは、アイリスとアーサーの出会い。マイルズとの恋が印象今いちなのはアーサーとのやり取りがすばらしいから。アイリスは性格がいい。親切で愛想がよく気配りも細やか。近くに住む老人アーサーが道に迷っているのを助ける。演じているイーライ・ウォラックはアーサーと同じく90歳くらい。「サイレント・フルート」で油の中の賢人みたいな役やってた。アイリスは足の不自由なアーサーを、時にはやさしく時には厳しくはげまし、一人で歩けるようにしてしまう。彼の仲間(みんなおじいさん)とも仲良くなってしまう。アーサーはずっとここに住んでいるから、アマンダも彼を見かけたことくらいはあるだろう。でも関心は持たなかったと思う。アマンダはそういうタイプだ。アイリスみたいないい性格の女性にはうんと幸せになって欲しい。アーサーに言われたように、自分の人生の主役は自分でなくちゃ!突然現われたジャスパーにいったんは心がゆれ動いたものの、婚約者がいながら自分ともつながっていようとするジャスパーに見切りをつけ、きっぱりとした態度で追い出してしまう。自分が引かれているのはマイルズだと気づき、仲良くなり・・でも何度も言うけどジャック・ブラック合っていないんだよなあ・・。マイルズを裏切るマギー役はシャニン・ソサモン。パンフ読むまで気がつかなかったな。アンジェリーナ・ジョリーに似ているんだよなこの人。音楽もよかったけど、ラストシーンあたりは歌声が響いてうるさいくらい。何でもっと静かでロマンチックな曲にしないの?にぎやかなクリスマスシーンもうそっぽくていやだったな。長すぎるし。別ににぎやかで幸せそうでもいいんですよ。でも問題何も解決してない。アメリカとイギリスという距離。仕事。どうせなら他の人達のクリスマスもうつしてよ平等に。ジャスパーの、イーサンの、アーサーの、マギーの、タクシーの運転手の、庭師のオッサンの。てなわけで楽しく感動的ではあるけど、いろいろ不満の残る映画でもあった。アイリスがアーサーの孫と出会うとかさぁ・・マイルズじゃなくてぇ・・(←まだぼやいてるよ)。