プリティ・ヘレン

プリティ・ヘレン

WOWOWで見た。「エンパイア・オブ・ザ・ウルフ」を見にミラノ3へ行った時予告をやったんだけど、せっかくのコメディーなのに何て画面が暗いんだ!これじゃ映画の魅力半減だ!・・とびっくりしたものだ。テレビだと明るいし色彩は鮮やかだしやっぱりこうでなくっちゃ。ストーリーに目新しさはないが、顔ぶれは豪華。ヒロイン、ヘレンがケイト・ハドソン。モデル事務所で働いている。社長のドミニクがヘレン・ミレン。出番は少ないものの「プラダ」のメリル・ストリープと同じかそれ以上に強烈なキャリアウーマンキャラ。ヘレンには姉が二人いて、長姉リンジーがフェリシティ・ハフマン。例によって交通事故で夫ともども急死。なぜかヘレンが三人の遺児を育てることになり・・。子供のうち末っ子サラはアビゲイル・ブレスリン。華やかな仕事や恋愛で充実していたヘレンに新米ママなど勤まるはずもなく、そのうち仕事も恋人も失い・・。でもちっともかわいそうじゃない。何たってケイト・ハドソンですから。若くてきれいでスタイルいいし、まわりは親切だし彼女を好きになってくれる男性もすぐ現われる。とにかくファッショナブル、浮わついている。現実はもっと厳しいと思うが。私がこれを見たのはジョン・コーベットが出ているから。予告を見た2004年の時点では彼のことなんか何も知らない。でも「ゴースト・ハウス」見て気になって・・。「セレンディピティ」も見ましたよ。今回は牧師役。子供達が通う教会系の学校の教師でもある。髪はすっきりと短いしヒゲもそってる。体格がよくて、ちょっと顔はのっぺりしてるけど感じがよくてステキ。このダンがいろいろ助けてくれて、もちろんヘレンを好きになってくれて。神父と違って牧師は結婚もOK。ハッピーエンド間違いなし。でもどうも見ていてヘレンがねえ・・。感情の起伏が激しい・・つまりわがまま。ダンはさんざん振り回される。突き放したかと思うと寄ってくるし、映画じゃなかったら男は呆れて去りますぜ。何かリアルじゃない。よかったのはジョーン・キューザック扮する次姉ジェニー。子供が二人いて、今おなかに三人目がいる。リンジーの遺言がなかったら彼女が三人引き取ったはず。愛情と強さと合理性を備えたスーパーママ。甘ったれでチャラチャラしていてノーテンキなヘレンとは違う。

プリティ・ヘレン2

子供達に嫌われたくない・・と、いざとなると尻込みするヘレンに対し、ジェニーは子供のためなら嫌われても平気。15歳のオードリーは不良のBZとつき合い、モーテルへ。例によって尻込みするヘレンに代わり、ジェニーはドアをぶち破る。相手をにらみつけ、断固として命令する。あなたにこの用意があるの?・・と自分の大きなおなかを指差す。いよッ大統領!母は強し。私が一番感動したのはヘレンの奮闘ぶりではなく、ジェニーのこの固い信念。そりゃ彼女だって心の中にたまっているものはある。ヘレンとリンジーは似ていて(だからこそリンジーは子供の世話をヘレンに託したのだが)、母親が亡くなった後、いや、その前からジェニーはヘレンの面倒を見ていた。若い頃のリンジーは今のヘレンと同じく遊び回り、何でもジェニーに押しつけていた。ジェニーだって人並みに青春を謳歌したかったのに・・。リンジー亡き後、二人は助け合いもするが大ゲンカもする。ヘレンはどうしていいかわからなくなると結局ジェニーを頼る。ジェニーはその度大きなおなかをかかえてかけつける。隣りの主婦と仲良くなり、妹一家のことをそれとなく頼む(ママ友のきずなは固い!)。ジェニーには不可能はない。おいしい料理を作り家の中を整え夫も子供も制御する。この映画の主人公は私にはヘレンでなくジェニーのように思える。あんまり悪人というのは出てこなくてみんないい人。ヘレンが後押ししたティンカというモデルや隣りの主婦は快く手を貸してくれるし、夫の方は失業したヘレンに職を見つけてくれる。その仕事先の中古車センターの店長もいい人だ。ヘレンの昔の恋人も関係は途絶えたがそれとなく心遣いを見せる。ファッション界なんて足の引っ張り合い、だまし合い、育ててくれた恩などどこへ・・の世界だが、この映画はわりと・・。それはヘレンが売り出しに心を砕いてくれて、みんなに好かれていたからだと思う。でも彼女のやったことってクラブやレストランへ入るのに並ぶのはいやだから顔パスで・・とかそういうことばかり。要領がいいと言うかずるいと言うか。それに加えてダンをいいように振り回しているし。でもまあ余計なことほじくらず、軽い乗りで見てりゃいいんだろう。あ、パリス・ヒルトンもちょこっと出ていたな。