ハード・ウェイ

ハード・ウェイ

人気スター、ニック(マイケル・J・フォックス)はいつも同じような役ばかりやらされるのにうんざり。もっとシリアスな役をやりたい。狙っている役はメル・ギブソンに行きそうだが、何とか自分のものにしたい。たまたまテレビで見た刑事に一目ぼれ(?)。本物の刑事と一緒に行動すれば役作りに役立つ・・と、その刑事ジョン(ジェームズ・ウッズ)に接近。おりしもパーティ潰しと名乗るサイコ男が世間を騒がせている。上(市長)から働きかけたり上司を丸め込んだり(署長に映画宣伝用グッズをプレゼント)してニックはジョンに近づく。パーティ潰しのことで頭がいっぱいのジョンは、うるさくしゃべりつきまとうニックにうんざり。・・この映画最初は「午後のロードショー」で見た。お目当てはもちろんウッズ。フォックスは見るの初めて。まだ若いのに病気になって気の毒。でもこの頃はまだ元気いっぱい。でも・・やっぱり彼はどうでもよくてウッズ、ウッズ、うっくステキ・・。「ヴァンパイア/最期の聖戦」の時みたいなワイルドキャラ。こういうアクション物での彼をもっとたくさん見たい!テレビでは野沢那智氏が声をあてていたけどあんまりよくなかった。ウッズの生の声聞きたいのとカットされている部分を見たいのとでDVD買ってしまった。登場したとたんわあわあぎゃあぎゃあわめくジョン。こんなに短気な刑事なんてホントにいるのかしら。でもウッズだから無言で、眼力で相手平伏させる演技もできる。私はそこにしびれる。顔の筋肉動かさず、目もまばたきせず、相手ひたと見すえる。ひょろっとした体で相手に近づく。全然スキがなくて銃を持ったチンピラが降参してしまうような迫力。そういうシーンがところどころあったので、うるさい映画だなあと呆れつつもガマンできた。ウッズの体つきはちょっと不思議。上半身だけうつっているとすごく背が高いように見える。でも全身がうつったり他の人と並ぶとそうでもなく、顔のでかさが目立つ。長身でもないのにそう見えるってことは胴長短足ってことなのかな。まあ今回は相手が164センチのフォックスだから183センチのウッズは十分長身に見えますよ。なぜこんなことを書くかと言うと、チンピラに近づく時のウッズがとんでもなくセクシーに見えるからですよ。あの上半身の悩ましい曲線ときたらアナタ・・。あれで全身うつってたら足短い~って気がそがれちゃうだろうけど。

ハード・ウェイ2

パーティ潰しは犯行予告の電話をかける。自己顕示欲が強い。頭がよく体も鍛えている。ムキムキで髪が白いのでドルフ・ラングレン風味。泥パックみたいなのをして、お肌にも気をつかっているようだ。演じているスティーブン・ラングは「D-TOX」に出ていた。刑事物だったら手口とか分析するはずだが、そっちの方はかなりいいかげん。お義理に似顔絵貼ってある程度。ニックとジョンを衝突させてドタバタコメディータッチで行きたいらしい。ジョンはスーザン(アナベラ・シオラ)にほれている。犯罪者が相手ならどうとでも対処できるが、ほれた相手にはどうふるまっていいかわからない。言いたいことも言えず二人してモジモジしているのは見ていてもおもしろくない。酒場でニックがボクは俳優だからスーザン役をやってやる、ボクをスーザンだと思って告白しろ・・とか言うシーンもおもしろくない。男が男に告白しているとまわりには思われて、それで笑わせようという魂胆見え見え。ジョンは離婚歴があるらしい。何にでも頭を突っ込み、口をはさむニックは別れた女房そっくり。一方スーザンにはボニーという娘がいる。演じているのは何とクリスティーナ・リッチ。ボニーはかわいいけど生意気。ニックとはすぐ仲良くなるが、ジョンにはなかなか打ち解けない。そりゃ友達でいるのと父親になるのとでは大違いだからね。よくよく見きわめなきゃ。警戒し、一方ではもてあそぶ。スーザンにほれているジョンはボニーのご機嫌も取らなくちゃならない。娘がいるということはスーザンもバツイチなんだろうけど、男で苦労しているだけに結婚には慎重。それでいて何度も同じ間違いをくり返すタイプ。要するにちょっとフラフラしていて、見ていてもあんまり魅力的じゃない。ジョンは口ベタで好きな相手にうまく思いを伝えられないタイプ。そこらへん見抜いてあげるべきなのに、スーザンは私の一人相撲かしら・・なんてかってに思い込む。ジョンがやっとの思いで告白しても、危険な職業だから耐えられそうにない・・と別れを告げる。そのくせ引きとめてもらいたがっている。別れを告げられて気落ちするジョン。ところでこの時のセリフ、DVDの字幕では「危険がない時以外は皆デカを敬遠する」となってるけどおかしくない?「危険がない時以外」って「危険がある時」でしょ?危険がある時にデカを敬遠するの?

ハード・ウェイ3

まあそれはともかくよかったじゃんジョン。向こうから別れ言い出してくれて・・。どーせスーザンとはうまくいきっこないよ。小生意気なボニーのご機嫌取る必要もない。そのうちもっといい人見つかるってば!でも映画だからこの後ピンチになって、命助けたり助けられたりして結局結ばれるんだけどさ。スーザンのあの別れる決心はいったい何だったのかね!さてDVDの特典のメイキングとかでよくあるのが、出演者が役作りのために本職の人に話を聞いたり、現場へ連れて行ってもらったり、実際に体験したりということ。アクション物なら刑事・捜査官・特殊部隊の隊員とか・・。映画の中でもニックはスタントは自分でこなすとか、危ない目にはさんざん会ってるとか自慢こく。しかしもちろん現実と映画の撮影は同じじゃない。十分な打ち合わせや安全対策をした上でのスタントと、いつ何が起きるかわからない現場での車の運転・殴り合い・銃撃戦。映画でやったから慣れてる・・ってわけにはいかないと思うよ。まあ映画ではニックのそういう思い込みも一つのギャグになってるんだけどさ。・・で、何でこんなこと書くかと言うと、いわば素人を現場に受け入れて面倒見るというのは、宣伝効果があり、イメージアップにもつながるだろうけど、もう一方では負担だろうなあということ。現場の人に接して自分も体験してよく理解できたとか演技にいかせたとかインタビューで話しているのを見ると、ホントかよ、自分でそう思ってるだけじゃないのかよ・・と思ってしまう。撮影が終了してしまえば彼らにとってはそれで終わりだけど、本職の人はこれからもずっと続くのだ。ちょっとかじったくらいで理解できたなんてよく言うよ。まあ別にいいんだけどさ、ものすごく迷惑がっていたジョンが何だかリアルでさ。さてパーティ潰しとの戦いはだいたい三つに分かれる。最初の方はいいようにあしらわれるが、銃を受け取りに現われるところをつかまえるというチャンスがめぐってくる。でも逃げられて追っかけて入った先は映画館。おりしも館ではニックの新作「スモーキング・ガン2」を上映中。映画館の中で・・というのは「ラスト・アクション・ヒーロー」思い出す。「スモーキング」は「インディ・ジョーンズ」風?私は「インディ」見たことないのでよくわからんけど。最初の方でも少しうつるけど、ニンジャが出てくる。何で?徳川か豊臣の財宝でも絡んでいるの?

ハード・ウェイ4

ニンジャの一人はコナン・リーに見えたけど違うだろうなあ・・。スクリーンではニックが、館内でもやっぱりニックが・・と二重に大あばれというギャグ。パーティ潰しが発砲してお客はパニック。我先にと逃げ出す。でも一人の少年だけはポップコーン食べながら映画に釘づけ。しかもスクリーンの前では本物のニックがじたばたしている。ひどくしょぼいギャグだけど私は気に入った。少年がこれまたボケーッとした鈍そうな顔の子で・・。暗い中で我先に逃げ出す満員の観衆の行動は明らかに危険。この少年がじっとしていたのはある意味賢いのよ。もちろん彼がじっとしていたのはトロいからだけどさ。一度はつかまったパーティ潰しだが逃走し、ニックが運転する車に潜む。しかしニックの無謀運転で車は事故を起こす。ニックがつかまえてお手柄・・と思ったらまたまた逃走し、今度はスーザンを誘拐する。いちおうジョンだけでなくニックの見せ場も作らなきゃならないから(でないとフォックスファンが承知しない)、最後の方はばたばたした感じになる。フォックスはかわいいけどうろちょろしていてネズミみたい。小さくて疲れを知らない。それに対しウッズはネコ。獲物を狙う鋭い目、音を立てず忍び寄る天性のハンター。タイミング・力関係を頭の中ですばやく計算する。そりゃ一方ではキレまくりどなりまくるけどさ。そういう時は犬的?ワンワンバフバフ!クライマックスは「スモーキング」の宣伝用人形を舞台にしてのアクション。下では黒人のアンチャンどもが歌ったり踊ったり。上でやってる立ち回りを見て口アングリはいいけど、見て喜んでそのうち自分達も殴り合い。見ていて思うわけ。こいつら何てバカなんだ、誰一人警察呼ぼうともせず、生きるか死ぬかを見物して喜んでいる・・ってね。まあコメディーだからそれでいいんだけどさ。それにもちろんジョンとニックとスーザンは助かり、パーティ潰しは落っこちる。出演は他に署長がデルロイ・リンド。ジョンの同僚の一人がL.L.クール・J。帽子をかぶっているせいで全然わからなかった。チンピラの一人がモス・デフだが、こちらもどれがそうなのかわからん。さてと・・長々と書いてきたけど、この映画アクションコメディーとして笑って見てりゃいい。「後には何も残らない」なんていう批評もある。まあ確かにそうなんだけど、私はウッズのファンなので彼の演技は印象に残りましたよ。

ハード・ウェイ5

見終わったらきれいさっぱり忘れるなんて・・そんなことできませんよもったいない。さてこの映画ロマンス部分はほとんどなし。ニックが映画の中で美女(悪女?)とキスするくらいで・・。でも別の意味でのロマンス部分はあるんです。ジョンとパーティ潰しの間にニックが割り込む、あるいはジョンとスーザンの間にニックとパーティ潰しが割り込む・・三角関係四角関係。テレビニュースで見たジョンにニックは一目ぼれ。しつこく追い回しアパートまで押しかける。刑事の部屋なんてどうせちらかっているだろうという予想に反し、中は整然としている。はぁ~きれい好きなんだわ彼。ちょこまか動くニックがゴミに見える。ニックは冷蔵庫の中、クローゼットの中まで覗く。ジョンのすべてを知りたい。過去も・・できればシャワー浴びてるところも観察したいんだろうなあ、ええもちろん役作りのためにね!映画ではリアルに見せたいから・・ってそんなの言い訳にならんけど。あ、ここらへんは私の妄想ですよ。酒場では自分がスーザン役やって自分を口説かせる。あ、ここも妄想でーす。一方のパーティ潰し・・最初は警察全体を相手にしていたんだと思う。ところがニュースなどで事件を担当しているジョンを見、やっぱり一目ぼれ(違うって!)。ジョンの鼻をあかしてやりたい、悔しがらせてやりたい、怒らせたい。その気持ち裏返せばジョンに認められたい、注目されたい。自分はそこらの殺人犯と同じじゃない。なぜって殺すのは人間のクズばかり。自分は悪くない。自分のやっていることは警察と同じ。あはんつまりは一体感を感じていたいんでしょ?何となく「ザ・ウォッチャー」ぽい。もちろんそんなのは片思い。ジョンから見ればパーティ潰しは特別でも何でもなくただのサイコ野郎。とっととつかまえてムショへ送ってそれで終わり。何しろ犯罪者は他にもうじゃうじゃいるのだ。いつまでもかかわってなんかいられない。パーティ潰しもどこか間抜け。コメディーだからそれでいいけどさ。でもどこかジョンへの屈折した愛情感じるな。それもこれもウッズがセクシーだからで。・・てなわけでフォックスのボクってかわいいでしょちょこまか路線は無視してよろしい。ウッズのネコ的(ワイルドなそれでいて静かな)魅力にどっぷりひたるべし。