パーフェクト・ゲッタウェイ

パーフェクト・ゲッタウェイ

これを見たのはティモシー・オリファントが出ているから。それと毎日新聞の映画批評に「見逃すにはもったいない拾い物」と書いてあったから。冒頭は結婚式の浮かれ騒ぎ。主役である新郎新婦がうつらないのは変だが、撮影しているからだ。次はハネムーン。クリフ(スティーヴ・ザーン)とシドニー(ミラ・ジョヴォヴィッチ)はいかにも新婚さんらしく浮かれている。ヘリから身を乗り出してシドニーを心配させるクリフ。車の運転中もベタベタしていて危ない。ここはハワイらしい。美しく雄大な景色は圧倒的な迫力で、この映画をけなしている人も、絶景だけはほめている。二人が行こうとしている場所には許可証が必要。また、必要なものを買い込んでおかなくてはならない。ここでも二人は注意もろくに聞かず、イチャイチャベタベタ。でもまあこれも見ている者をだます一つの方法。途中でヒッチハイクをしているカップルを乗せそうになるが、何となくぎくしゃくして結局乗せない。この時男のケイルの顔をよく見せないのは、何となくわざとらしい。多くの人があまりにも悪人ぽいのはかえって犯人じゃないと書いてるが、その通りだ。ケイル役はクリス・ヘムズワース・・えッ、あの「ゴーストバスターズ」のアホなアンチャン?声は聞いたような感じだと思ったけど、まさかねえ。あっちは金髪だったし。ケイルとクリオの持っている荷物も何度となく意味ありげにうつされる。次に出会ったのはニックという男。オリファントはそんなに背が高いわけではないが、ザーンが小柄なので長身に見える。私はいつも思うのだが、オリファントって今いち顔がはっきりしない。「ドリームキャッチャー」とか「ヒットマン」とか「アイ・アム・ナンバー4」とか、こういう顔立ちだってわかってるんだけど、今回ニックが登場しても、ん?彼がオリファントなの?って思っちゃう。それと言うのもケイルの方がもしかしてオリファント?って思えるから。それと言うのもケイルとニックが何となく似ているから。とは言えこのニックというキャラ・・なかなか魅力的。とらえどころがない。逆に言うとクリフのキャラは類型的。彼は映画の脚本作家。それを聞くとまわりの者はみんな興味を持つ。どの映画を手がけたのか。これからどんな映画を?キャストは誰?それに対し、何となく歯切れの悪い受け答え。

パーフェクト・ゲッタウェイ2

でも大ヒット映画を書いた売れっ子脚本家なんてそういるわけではない。多くは売れない作家なわけで。そのうちニックは連れのジーナと再会。クリフはニックのことはあんまり気に入ってないけど、シドニーとジーナはいわゆるガールズトークとやらで自分のこと告白し合ったりする。ニックは元特殊部隊っぽい。極秘と言いつつぺらぺらしゃべる。でも言わないこともある。恐怖体験を山ほどしたので、それを本に書くとか、脚本にするとか考えてはいるけど、なかなか実現は難しい。地雷で頭を負傷し、チタンが入っているが、そのことがラスト近くの伏線で。飛行機に乗ってまずすることとか、非常時への心の備えを説く。いかにも気弱そうで一般人丸出しのクリフが、この先ピンチに陥って、ニック顔負けのサバイバル技術会得するのか・・なんて思ってみたり。おりしも新婚旅行中のカップルが殺されたというニュースが。犯人もカップルらしいと。途中でケイル達が逮捕され、これで安心・・となるが、ニックが野生のヤギを仕留め、ジーナが慣れた手つきで解体するのを見て、また不安になったりする。まあ多くの人が書いているように、ケイル達の退場は早すぎる。そうなると残りは二組で、一番怪しくないクリフ達がたぶん・・と、見ている人は思う。さて私はオリファントも好きだが、ザーンも好きである。主役をやってもたいていはコンビの片割れ・・「ナショナル・セキュリティ」とか。今回も夫婦。たぶんほとんどの人は主役はその中でもミラの方!って思ってる。頼りにならないクリフの代わりに、シドニーが犯人と戦うのだと思って見ている。そこが作り手の狙い目か。あの小心な善人役が似合うザーンが!?女闘士ミラが!?ってね。シドニーは両親が別れ、子供は二人ずつ引き取られていったと。余った五人目の彼女は養子に出されたと。子供は五人欲しい。ママ、奥さんと呼ばれたい。今時珍しいほど家庭に憧れている。結局彼女がクリフ・・本名ロッキー・・のやることが犯罪とわかっていても離れられなかったのは、孤独に耐えられないから。種明かし部分はやや強引。いきなりアクションの連続になるのは面食らう。ジーナを助けようとした救命士達がクリフに殺されるのも後味悪い。ラストはやっとニックがジーナにプロポーズしてハッピーエンドだが、そのせいで素直に喜べない。まあジーナが悪いわけじゃないけどさ。