フロム・ヘル

フロム・ヘル

これはだいぶ前に一度見たことがある。内容はほとんど覚えていない。今回久しぶりに見て、この頃のジョニー・デップはいいなあと改めて思った。「スリーピー・ホロウ」の時と似た感じ。ヒゲはあるけど気にならない。色が白くて黒い髪が額にかかってるのがいい。全部後ろへやって額を出すと、ちょっと老けて見えるから。髪の長さがいい。鼻の形もいい。ういういしさ、ナイーブさが感じられる。目は時々キッと鋭さを増す。知性を感じさせる。冒頭アバーライン警部(デップ)はアヘン窟で幻を見ている。近くにはホームズもいるかもしれない(なんちゃって)。1988年のロンドン。ホワイトチャペル地区の娼婦メアリー(ヘザー・グレアム)達はニコル組から場所代を払えと脅されている。ちっとも守ってなんかくれないのに、稼ぎを持っていかれ、食べるのにも住むところにも苦労する娼婦達。自然彼女達は助け合って暮らしている。アンにはアルバートという裕福なダンナがついて、赤ん坊も生まれた。ところがある日公安部が踏み込んできて、アルバートを連れていく。アンは王立病院で脳の手術をされ、廃人にされてしまう。手術をしている外科医フェラル役ポール・リースは、ブレンダン・フレイザーによく似ていてびっくりさせられる。さて、巷では切り裂きジャック事件で騒いでいる。また一人娼婦が殺され、ゴットレイ巡査部長(ロビー・コルトレーン)がアバーラインを呼びにくる。アバーラインだって最初からアヘンやってたわけじゃない。妻のヴィクトリア(ソフィア・マイルズ)に子供ができ、喜んだのもつかの間、出産時に二人とも死亡。それ以来無気力な日々を送っている。ただ、アヘンのおかげで事件解決のいとぐちをつかむことも。クビにならずにすんでいるのはそのせいか。最初はメアリー達も協力してくれなかった。でもそのうち気が変わる。メアリーにはアバーラインが誠実な男に見えた。アンはアルバートとカトリック教会で結婚式を挙げた。メアリーは結婚の証人だったし、アルバートが描く絵のモデルもやった。でもそのアルバートはヴィクトリア女王の孫らしい。カトリックということは離婚も難しいのかな。メアリーの仲間達が次々に殺されていくのは、アルバートの顔知っていて、しかも結婚式にも出たからかな。すでにアンは病院に閉じ込められているし、赤ん坊は施設へ。アンの両親はどうなったのだろう。

フロム・ヘル2

アルバートには梅毒の症状が出ている。だからそれをうつした娼婦達を憎んで復讐したのだという説がある。以前見たガブリエル・アンウォー主演の「ザ・リッパー」では犯人はアルバートになっていたと思う。アバーラインは相手が王族であろうと気にしないが、総監(イアン・リチャードソン)は待ったをかける。この総監の態度はどうもおかしいが、王族の侍医ウィリアム(イアン・ホルム)を始め、彼らはみんな仲間なのだ。秘密結社・・フリーメイソン。そんな中でまともな捜査などできない。この映画ではウィリアムが公安部のキドニーと組んで娼婦達を殺していたことになっている。アルバートが梅毒にかかり、そのうち死ぬだろうということは、侍医である彼のプライドをいたく傷つけた。だから復讐するのだ。その復讐も、ただ殺すのではなく、陰部をえぐったり臓器を取り出す。何たって彼は脳の発作で手術は出来なくなったとは言え外科医なのだから。私は、娼婦達を狙ったのは結婚の証人を消すため・・と、はっきりさせた方がよかったように思う。ウィリアムの狂気が強調されすぎているような。まあ私はデップしか見てないから他のことはどうでもいいけどさ。次々に仲間は殺され、残ったのはメアリー一人。そのメアリーをアバーラインはいつの間にか愛していて。最初に会った時、メアリーの気丈さにちょっと目を見張っていたような気もするが、いつの間にそんなに彼女のこと思うようになったのか。メアリーが殺された時・・と言うか、見ている人は殺されたのはアダだろうと思っただろうけど・・アバーラインはショックを受ける。しかし別人だとわかった時、彼は今後いっさいメアリーには近づかないようにしようと決意する。彼女はアンの赤ん坊を連れて故郷へ戻った。彼女はリッパーの手にかかって殺されたとまわりは信じている。自分もその芝居を続けるのだ。会いに行って、彼女と赤ん坊のことがばれたら二人の命はない。アバーラインの最期が何ともせつない。彼はメアリーと、彼女をママだと思い込んでいるアリスの夢を見ながらアヘン窟で死ぬのだ。こんなにステキなデップなのに、なぜ何も覚えていなかったんだろう!ウィリアム付きの御者役でジェイソン・フレミングが出ていた。彼こそリッパーにぴったりだけど、違うんですな。他にドミニク・クーパーが出ていたらしいが、気づかなかった。