フライトナイト(1985)

フライトナイト(1985)

これはわりと評判いいようだ。高校生チャーリー(ウィリアム・ラグズデール)はエイミーとつき合っているが、じらされっぱなし。でもエイミーがやっとその気になると今度はチャーリーの方が他のことに気を取られている。若い男女の心のすれ違いを描くラブコメ・・じゃないですってば!そんな映画なら見ませんてば。隣りの空き家に誰か越してきた。夜・・棺を運び込んでいる。美女が入っていったと思ったらテレビで殺人事件のニュースやっていて、被害者はあの美女だ。他にも女性が・・。みんな首を切られてる。あいつはヴァンパイアに違いない。警察呼んでも主人ジェリー(クリス・サランドン)、同居人ビリー(ジョナサン・スターク)に変なところはない。チャーリーがヴァンパイアなどと言い出したせいで刑事はいっぺんに興味をなくし、帰ってしまった。そう、ある人物をヴァンパイアだなどと言っても誰にも信じてもらえないのだ。かえって言った自分の立場が悪くなる。笑われ、怒られ、信用なくす。でも一番怖いのはヴァンパイアに目をつけられてしまうこと。対抗策はお定まりのニンニク、十字架、聖水、太陽の光。その家の住人の許しを得なければ家に入れないという切り札は母親のせいでだめになる。知らない間にママはジェリーを家にお招きしちゃった!チャーリーはテレビに出ている怪奇俳優ヴィンセント(ロディ・マクドウォール)に助けを求める。もちろん彼は仕事でヴァンパイア・ハンターを演じているだけで、チャーリーの話なんか信じない。でもあれこれあって・・。チャーリーのような若造が一人でいくらがんばってもムリだけど、ヴィンセントが協力することで何とかなる。そのヴィンセントにマクドウォールを持ってきたことがこの映画の勝因。チャーリーの友人エド(スティーブン・ジェフリーズ)はジェリーに噛まれてヴァンパイアになっちゃうし、ジェリーがエイミーに目をつけるのもお約束。見る前はもうちょっとぴしっとした作りの映画かな・・と思っていたが、そうでもなかったな。あちこちほころびの目立つ展開だ。まあデートムービーだからこの程度の出来で十分なんだろうけど。予想外によかったのはサランドン。エリック・エストラーダに似てるけど、わりと重い感じ。軽くない・・なかみ・・背負っているものが感じられる。年月・怒り・悲しみ・邪悪さ・高貴さ・インテリジェンス・野獣性・・その他モロモロ。

フライトナイト2

同居人ビリーはレンフィールドの役回りだろうが、二人の間にはゲイっぽい雰囲気も漂い、ユニークである。エイミー役アマンダ・ビアースが美人じゃないのが残念などと書いている人もいるが、まあティーン向けピチピチギャルでないのは確か。しかし見ようによっては楚々とした正統派美人。ディスコでのエイミーとジェリーのダンスはなかなかセクシーであった。サランドンはスーザン・サランドンの元夫だそうでびっくりだ。主役(いちおう)のラグズデールはキアヌとかクリス・クラインとかそっち系の顔立ち。まだ若くすっきりしていてかわいい。あまりはっきりしたキャラではなく、どうしたらいいかわからず騒いだり怖がったり。高校生だからろくなことできないのは仕方ないけど、個性の強いエドの方がどうしても目立つ。ジェフリーズは「MOON44」に出ていたジャック・ニコルソン似の子だ。全体的に特殊メイクはしょぼい。ジェリーもエドも変身すると「あんまりな出来」なのにがっくりさせられる。1985年頃の作品だから「スペースバンパイア」にもどこか似ている。さてヴィンセントは深夜の怪奇番組のホストをやっているのだが、クビになったらしい。お金もないのかアパートを立ち退くよう迫られている。チャーリーを助ける気になったのもエイミーが出すお金目当て。本物の聖水と言いつつ水道水を用意するなどチャーリーの言うことは信じていない。しかしジェリーが鏡にうつらないのを知って本物と確信。怖くなって一度は逃げ出そうとする。その彼がなぜチャーリーを助けようと決心したのか、そこらへんもうちょっとちゃんと描写して欲しかった。エイミーが口裂け女になるのはなかなかインパクトがあったが、それ以外はあまりよくない。へたにメイクするとそのキャラの品が落ちてしまう。エイミーやエドのような下っ端はそれでもいいが、闇の王であるジェリーは例え変身しても威厳のある存在でいて欲しかった。フライトと言うのは畏怖という意味じゃないか。ビリーは鏡にうつるから人間だが、撃たれても死なないなどわけがわからないところがいい。でもドロドロになりグチャグチャになり・・だからぁ・・どうしてこうなるのよ。クライマックスでチャーリーが噛まれるので、絶対後で何かあるぞと思ったら何もなく終わっちゃったな何で?「フライトナイト2/バンパイアの逆襲」という続編もあるようだが、レンタル店には置いてないだろうなあ。