ファイヤーウォール

ファイヤーウォール

久しぶりのハリソン・フォード出演作ということで、パンフも宣伝もそればっかなんだけど、私のお目当てはポール・ベタニーでーす。ハリソンはどーでもいいんでーす。一週目の平日、近くのシネコン、お客は八人くらいでしょうか。ホントは二回見たいんだけど、新宿とか平日は午後からでしょ。二回見てると帰りが遅くなっちゃうから、仕方なく一回でガマンです。冒頭から「ん?」という感じ。何となく乗りがいいのよ。音楽がいいの。ドスがきいてると言うか、つかみはOKと言うか・・期待できそうって気にさせる音楽。ただドスがきいてるのは冒頭だけで、それ以降のは「レッド・ドラゴン」みたいな、神経をきりきりさせるような印象受けた。家に帰ってパンフ読んだら、元々はマーク・ペリントンが監督するはずだったのが、奥さんが急死したため降板して、代わりにリチャード・ロンクレインになったんですってさ。ペリントンと言えば「隣人は静かに笑う」や「プロフェシー」の人。彼がとっていればもっと不気味な感じになっていたかも・・と、とても残念。ロンクレインは知らない人。まあわりと手堅く作ってあって、どこがどうっていう感じしない。大きなどんでん返しもないし、ハリソンだからどうせ最後は家族助かるし・・。ほとんどずーっと雨が降っていてじめじめした梅雨時映画。でもラストは晴れてる。ハリソンだから泥んこになっての殴り合いなんかしません。させられません。銀行のセキュリティ・システムの責任者ジャックは家族を人質に取られ、自分の作ったシステム突破してお客の口座からお金を引き出し、犯人の口座に送金するよう強要される。自分が濡れ衣着せられ、家族もろとも殺されてしまうのはわかっている。犯人グループは顔を隠そうともしない。無事に解放するわけないんだけど、でも要求通りにするしかない。パソコンやケータイ、家庭用ファクス、iポッド(これ何ですか?)、犬用GPS(?)まで使ってあれこれやるんだけど、緊迫感があってけっこうドキドキさせられる。現実にはあんなにうまくいかないと思うけど、でもまあスピード感出すためには仕方ないよな。クライマックスはかなり激しい殴り合いで、ハリソンもベタニーもご苦労様。監督のバカ、カメラゆらしすぎ。殴り合いしている人間の動きとカメラのゆれが食い違ってちぐはぐになってんだよこら。現実にはジャックが勝つわけないんだけど、映画だからね。

ファイヤーウォール2

いくら持ち上げてもだめですよ。現実を直視してください。そりゃ60過ぎてあのアクションはりっぱですけどね。どう見たって息子のアンディはジャックの孫ですぜ。奥さんのべス役はバージニア・マドセン。二人並ぶと嫁と舅ですってば。夫婦なんてずうずうしい。マドセンはよかったと思う。あんまり美人じゃなくて、ちょっと肉がついて丸っこくなって、いかにも中年なりかけの、仕事も家事もしっかりやってる健康そうなところが好ましい。マドセンは「ホット・スポット」に出ていたけど、この時は悪女役。今回と全然イメージ違う(当然だけど)。「ホット」にはベタニーの奥さんのジェニファー・コネリーも出ていましたな。アンディ役の子は「ホステージ」のトミー君でしょう。この子は「ホステージ」のポスターとかではいかにもオスメント君風になっていて、主演がブルース・ウィリスだから「シックス・センス」効果狙っているのが見え見えだった。近く公開される「ポセイドン」にも出ているし、売れっ子のようだ。娘のサラは父親をうとましく思い始める時期で、かわいげがない。この子もジャックの秘書のジャネットもうるさく音楽かけるし、他の者もテレビの音とか何かしら音をさせていることが多い。生まれた時から電化製品やハイテク機器に囲まれていて、音や映像があるのが普通の状態。私から見ると彼らはどこかがマヒしているように思える。音や映像や電磁波にどっぷりというのは目にも耳にも、おそらく脳にも悪いと思うが・・。ジャネット役の人はレニー・ゼルウィガーのできそこないみたいな顔をしている。いつもしかめっ面でかまえたところがあり、いかにも演技してます風で不自然。でも後半彼女はジャックを助けて大活躍するのだ。彼女には熱心にアタックしてくる同僚がいて、二人してジャック助けるのかと思ったら全然絡んでこない。いかにもうさんくさそうに出没するロバート・パトリックももったいない使われ方。何しろ主演がハリソンだから他の人あんまり目立っちゃいけないのよ。クライマックスの殴り合いも助けなんかいらない。ハリソン一人でかたをつける。犯人グループを一人で倒し、家族全員を助け出す。警察なんか来るの待ってられない。全部終わった頃パトカーが到着するのでなくちゃならない。そういうストーリーでなくちゃならないのよ。他にロバート・フォースター、この人「スーパーノヴァ」の船長ですよ。

ファイヤーウォール3

若い頃は精悍な顔していたんですよ。それがまあ・・面影ゼロですな。他にアラン・アーキンが出ている。犯人側のリーダーがベタニーで、私は「ロック・ユー!」しか見たことないの。それもDVD。特典見ると、彼の出番いっぱい削られちゃってるのがわかる。まあ削って正解なんだけど。それでなくてもちと長すぎるんだから。今回のベタニーは、それでなくてもハリソンがくたびれジイさんだから、余計目立っちゃいます。スラッと背が高くて(191センチ!)、髪型すっきり、知的な顔立ち。隣りにいるジイさんと違ってシワもたるみもありません!新鮮な果実!切りたての生花!産みたての卵!彼がうつると目がそっちヘ行っちゃう。目の保養になる。パンフにはカリスマ性が強いと書いてあるけどホントにそうなの。彼には主役は似合わない。脇で出ていて、登場すると主役を食っちゃうタイプ。今回のビルは非常に複雑な性格。外見は雑菌一つついていない清浄野菜みたいなの。挫折を知らない有能なエリートタイプ。でもそのすっきりとした外見とは対照的に、中に詰まっているのは有害物質なの。こういう映画の鉄則として、出てくる子供は病気持ちである。今回のアンディはピーナッツアレルギー。ポケッとした顔して好奇心も強いアンディは、パンケーキを焼くビルの手つきに見とれていたりする。何をされるかわからないとジャックは警戒するんだけど、アンディは何となくビルのそばへ行ってしまう。そりゃジャックよりビルと一緒の方がよっぽど父子に見えますってば。ハイテク犯罪を企むわりには、ビル自身はテレビのリモコン一つ満足に扱えない。・・で、アンディに教えてもらったりして、そこらへんのやり取りは微笑ましいの。でもナッツが含まれていると知っててお菓子をアンディに食べさせ、アレルギーを起こさせ、薬と引き換えにジャックを脅したりするの。ビルの特徴は人の痛みがわからないこと。例え運悪くアンディが死んだとしても、彼は何とも思わないと思う。彼には一年もかけて綿密な計画を立て、手下を集め、実行に移す頭がある。自分自身はコンピューターに強くないけど、そういうのに強い者を集めればいい。頭がよく人を集める弁舌はある。一方監視役などの手下は頭なんか悪くたってかまわない。ジャックやべスがいくら説得しようとしても彼らは心を動かさない。計画が成功してお金さえ手に入ればいい。

ファイヤーウォール4

それ以外のこと、例えば一家の運命なんかどうでもいい。コンピューター担当の青年は一家に同情的だが、こういうタイプは必ず殺されてしまうことになっている。犯人グループにちょっといい男がいて、この人にも目が行っちゃった。残念なことにジャックにコーヒーポットで殴り殺されちゃいます。この人は「ウィンブルドン」でベタニーと共演しているようだ。デンマーク出身らしく、名前の読み方わかりましぇん。さて・・ジャックは結果的に三人殺すわけですが、家族のためなら何人殺したって許されるんでしょう!「悪は滅び正義が勝つ」「家族を助けるためなら何やってもいい」というまことにわかりやすいストーリーですよ。「年寄りの冷や水映画」でもあります。こういう役やるにはハリソンは20ばかり年を取りすぎている。最初から最後までずーっと違和感あった。ストーリーとは関係ないけど、母子三人でテレビを見るシーンでやっていたのが「ゴーストシップ」。しかもあの!缶詰ウジ虫シーンですよ、ウゲェ・・。かっこいいカール・アーバンも、少し前まではあんなことやっていたのです。アニメの「フリントストーン」、他に「禁断の惑星」のイドの怪物攻撃シーンもうつったな。犯人グループがたむろしているシーンで流れていたのは「死ぬまでにしたい10のこと」でも使われていた「SENZA FINE」という曲。あちらは男性、今回は女性が歌っているけど有名な曲なのかな。私も実はこの曲が気に入って「死ぬ~」のサントラ買ったのよ。てなわけでそういうストーリーとは関係のない部分での発見あれこれが楽しい映画なのでありました。ものすごくショッキングとか忘れられないとかそういう映画じゃないの。でもまあ見ている間はきっちり楽しめますよ。ベタニーはもうすぐ「ダ・ヴィンチ・コード」も公開されるし、今年はブレイクするのでは・・と私はかってに期待しております。予告も違ったのがかかって、ベタニーの出る割合多くなってきたし、かなり重要な役みたいじゃないのよムヒヒ。白子の修道僧で名前がシラス?・・ってそのまんまじゃん。ある人が「イギリス特有の色素の薄い体質」って書いてるけど確かにそう。そのせいでいろいろ妄想が渦巻いてる私なのですが(と言ってもヘンな意味ではないよ)、その件に関しましてはまた別に書きまする。