ファイナル・デスティネーション
こういう映画があるのは知ってたけど、興味がなくて今まで見なかった。修学旅行で自分達が乗る飛行機が墜落するのを予知した高校生アレックス(デヴォン・サワ)は、あわてて降りようとする。その騒ぎのせいで女教師一人と生徒五人も降りるはめになる。七人を残して飛び立った飛行機は直後に爆発炎上、乗客乗員全員死亡。命拾いした七人だが、その後一人ずつ不可解な死を遂げる。本来飛行機事故で死ぬ運命だったので、一度は助かっても死神の手は免れえないのだ。・・公開当時テレビで紹介していたから、こういう内容だってのは知っていた。でも一人一人死んでいく映画なんて進んで見たいとは思わない。そういう映画たくさん見てるじゃないか・・と言われそうだけど、同じ一人一人でも頭からっぽの若者が・・じゃあねえ。いろんなシリーズあるけど、見たことあるのは「ルール」の一作目くらい。あれだってジャレッド・レト目当てだし。今回「ファイナル」を見たのはショーン・ウィリアム・スコット目当て。つまりこういう映画を見る気になるのは、私が注目する俳優が出ている場合だけってこと。「悪魔の恋人」に出ていたトッド・何とか君は「13日の金曜日」のどれかに出演しているらしい、今度見てみよう・・とかさ。さてショーンだけど、「バレット モンク」を見ても何とも思わなかったくせに、「エボリューション」以来気になって気になって。今回のビリーもすっごくかわいかったわ!・・でもその前に主演のサワのこと書かなくちゃね。民放で「キャスパー」やった時見て、美少年だなあとは思ったのよ。でもあんまり前のことなのでどんな顔してたのか覚えていない。「Dearフレンズ」もブレンダンがらみで見ている。そこでも美少年だった。でもよく覚えていない。今回「ファイナル」を見て、美少年・・と言うか美青年と言うにはちょっとビミョーかな・・と。鼻の形などはすごくきれい。・・つまり横顔がきれい。ぼってりした厚めの唇もまあまあ。でも目はどうかな、役柄のせいもあるけど美しいって感じじゃない。でも他の映画で見ればすごい美青年なのかも。顔立ちが整ってるというなら、カーター役カー・スミスの方がハンサムだ。でもカーターというキャラには全く魅力がない。ところかまわず恋人テリーといちゃいちゃしまくる。すぐカッとなってケンカを売る。臆病なくせに向こう見ず。
ファイナル・デスティネーション2
極端から極端に走る振り子男。アレックス、ビリー、クレア(アリ・ラーター)を乗せたまま車を暴走させる。踏切に止め、列車が近づいてくるのにドアをロックして三人を出さない。死への恐怖からだが、彼の場合まわりを巻き込むので非常に迷惑。ビリーが死ぬのも大半は彼のせい。だからラストでの彼を見ても何とも思わない。かわいそうでも何でもない!で、話をアレックスのサワに戻すけど、髪の毛が短くすっきり清潔そうなのはいい。ズボンがだぼっとしていてあんまりカッコよくないけど。アレックスはこれと言って問題のない少年で、両親とも仲がいい。私がこの映画を見て意外に思ったのは、事故の後最初の犠牲者が出るまでに時間がかかること。偶然助かってしまった七人は、多かれ少なかれ心に傷を負っている。それをどうやって克服していくのか・・というヒューマンドラマを見ているような気にさせられる。中でもアレックスは困った立場に立たされている。もちろん両親は彼の無事を喜ぶが、FBIは犯罪性はないかと疑う。「予感がした」だけでは承知しない。でもFBIってそういう説明のつかない事件に遭遇することもあるんでしょ?「X-ファイル」みたいなのが作られるくらいだから。その後の調べで爆発原因がわかる。事故とアレックスは無関係だ。しかし生存者が一人ずつ死に始めるので、FBIと縁(?)が切れない。一人目のトッドは自殺に見える。二人目のテリーは明らかに事故死だ。三人目のルートン先生は・・これはちょっと複雑だ。この頃になるとアレックスには死ぬ順番がわかってしまう。何とか死神の裏をかこうと知恵をしぼる。作り手としてはこういう部分(逃れられない運命、死ぬ順番、死神との駆け引き)で見る者をドキドキさせたいんだと思う。でも私は別のことを考えていた。普通なら命拾いしたと喜ぶべき七人とその家族。トッドは兄ジョージをなくした。両親はアレックスを恨む。トッドの両親だけではないだろう。なぜ彼らだけ助かり、自分の子は死んだのか。特にアレックスはなぜ騒ぎを起こしたのか、みんなが怪しく思って当然だ。爆弾しかけておいて自分は騒ぎを起こし直前に降りる。アレックスが犯人なら納得いく。憎む対象が欲しい。機体に不備があった・・なんていう調査結果より、アレックスの部屋から爆弾製造マニュアルが発見された方がよっぽどよかった。
ファイナル・デスティネーション3
ルートン先生もアレックスをうとんじる。他の教師が死に、自分が助かったことが後ろめたい。こんな辛い思いをしなければならないのはアレックスのせいだわ!まわりの冷たい目、疑いの目、君のせいだ、私に話しかけないで・・普通の映画ならアレックスは荒れる。でも彼は耐える。ノーテンキなビリーは聞く。○○しても大丈夫か。そんなことアレックスにはわからない。彼は予言者じゃない。でもまわりから見れば・・。何でも知っていそう・・。アレックスのような主人公は珍しいと思う。しかもまだ高校生だし。こういう考え深いコが主人公だから、ティーン向け映画とは言え軽くならないですむ。真面目に生きようとしている若者を見れば応援したくなる。この年頃でこんな状況に置かれればいろんなむちゃをし、しかも反省もせず破滅に向かってまっしぐらのアホやらバカやらを見せられることが多い。例えばカーターのような。出てくる連中がそんなのばっかなら見たくない。こちとらむごたらしい殺人見るのが目的じゃないしぃ。トッドはいいやつだ。親はアレックスを逆恨みしているけど、アレックスへの友情は変わらない。親の気持ちもわかるから今は離れているけど、そのうち時が解決してくれるさ。犠牲者の慰霊祭でその気持ちをアレックスに伝えるシーンがいい。ビリーはビリーで単純に生きている。カーターとは違い、彼は誰にも迷惑かけないし、誰かを傷つけることもない。でもそんな彼にも死は容赦なく襲いかかるのだ。彼が死んでしまうのは悲しいが、自分に何が起きたか感じるヒマもない一瞬の出来事なので、それがせめてもの救いだった。それにしてもショーン、キュートでした!クレア役のラーターは「TATARI」に出ていた。いつも口が半開きでウサギみたい。とても高校生には見えないが、クレアのキャラは興味深い。両親に愛され、平凡だが幸せに育ってきたアレックスと違い、彼女の過去は複雑である。10歳の時父親は殺され、その後母親はろくでもない男と結婚を重ねた。彼女が夢見た幸せな家庭は、ずーっと前に破壊されてしまった。友人もおらず、いつも本を読んでいる目立たない少女。助かった七人を家族が迎えにくるが、クレアだけは誰も来ない。彼女は一人で暮らしている。友達は犬だけ。
ファイナル・デスティネーション4
彼女はアレックスが騒ぎ出した時、自分から進んで飛行機を降りた。彼女も何とも言えぬ不安を感じていたのだ。それまで話をしたこともなかった二人だが、事件をきっかけに親しくなる。こういう、孤独ではあるがひねくれたりせず、しっかりとした生き方をしているクレアには(アレックスのキャラ同様)好感が持てる。この二人には何とか生き残って欲しいものだ。さて、このようにこの映画は作り手が目指している方向とは別の部分で私にいろいろなものを感じさせた。アレックス、ビリー、クレア、トッド、そして出番は少ないもののトッドの兄ジョージ・・それぞれ印象深いキャラだった。そのせいかあの手この手で見せられる残酷な死に様などには興味なし。死神より怖いのは人間・・特にカーターのような男である。彼は死を引きつけ、死をまき散らす。ビリーなどその影響をもろに受ける。カーターを見ていて私は何度もぞっとさせられた。カーターほどではないがトッドの父親(の憎しみ)も怖い。クライマックスのあたりはたたみかけるような展開である。はらはらして当然なのだが私は今いち乗れなかった。死ぬ順番と飛行機での座席との関係がよくわからない。席を替わった、替わってないなどと今更言われても・・。DVDには別バージョンのエンディングがついているらしい。そっちではアレックスは死に、生き残ったクレアには赤ちゃんが・・とかそういう感じらしい。本編ではラブシーンはなし。私はなくて正解だと思ってるけど、別バージョンではあるのかも(1時間10分目くらいに)。私が思うに、別に結ばれなくたって、精神的な結びつきは双方にすでにある。アレックスの予知にクレアは感応する。描写はそれで十分だと思う。冒頭シーンはいろいろ意味深である。「これで終わりだ」という文字は?アレックスに呼びかける声は?「セールスマンの死」という本がある。父親に「人生はこれからだ」と言われた時のアレックスの表情。他にも怪しげな葬儀屋の男とか(彼こそ死神?)。事故から39日の間何も起こらなかったのはなぜ?まあ説明不足なところやご都合主義的なところはいっぱいあるけど、十分楽しめる映画ですよ。機会があったら他の二作も見てみたい。まあ一作目にはたいていある魅力的なキャラとか、心に残る描写が失われているであろうことは今から予想つくけどね。