ボーン・コレクター

ボーン・コレクター

一番最初は民放で見たんだと思う。いかにもテレビ向きで、ついこの間も「午後のロードショー」でやってた。原作でのライムは白人の美男、アメリアは赤毛の美女。こういうののお約束として二人は恋に落ちる。最初はもちろん反発→似た者どうし→恋・・と、方程式通り。ライムはともかくアメリアは大丈夫なのかって?心配は無用。何しろ彼女は結婚しようと思ってたニックが汚職警官で、それがばれると彼はアメリアに累が及ばないようさんざんおとしめ、アメリアはそれが彼女を思っての心にもないウソとわかっていてもやはり深く傷ついてしまう。その後彼女に近づいてくるのは美貌やスタイルのよさと言ったうわべしか見ない男ばかり。美しさなんて何の役にも立ちやしないと、他の女性から見れば贅沢な悩み抱え・・。でもってそれらのせいで彼女はセックスを必要とせず、代わりに車を暴走させると。だからほとんど全身マヒのライムと一緒になっても大丈夫と。ああ、そうですか。映画での彼女はそこまで説明されない。彼女が沈んでいるのは、警官だった父親が拳銃自殺し、それを発見したのが彼女だと。それがトラウマになっていると。でも自殺の理由は不明。ライムの妻のことも省かれている。彼は安楽死を望んでおり、主治医にしつこく頼む。二人の抱えている問題が、描写はされても底が浅いのがこの映画の特徴。原作だとたった三日の出来事なので、お互いを深く知ることは無理で。原作と違い映画には二人が心のうちをさらけ出すシーンはないが、それで正解だと思う。詳しいストーリーは書かない。ライム役はデンゼル・ワシントンだから、何があっても彼が正しいし、他の者は死んでも彼は生き残る。安楽死なんか絶対望みそうにないように見えるのはまずいけど。この映画の見どころはアンジェリーナ・ジョリー。いつもと同じデンゼルに対し、彼女は新鮮で未知数。次々に違った面を見せ、輝きがある。背景とか説明されなくても、そこにいるだけで伝わってくるものがある。他の出演はライムの介護士セルマがクイーン・ラティファ。ジョリーと二人で並んでるシーンを見てびっくり。ラティファの方が顔が小さい!

ボーン・コレクター2

ライムのところへ事件を持ち込んでくるのがポーリー(エド・オニール)とバンクス(マイク・マッグローン)。マッグローンは「ディナーラッシュ」に続いてのお目見え。普通はアメリアとバンクスが恋に落ちるんだけどなあ。科学捜査官エディーがルイス・ガスマン。ライムの後任チェイニーがマイケル・ルーカー。ライムはその性格からして味方も多いが敵も多いタイプ。自分でも気づかないうちにあちこちから恨みを買っている。今回の犯人もそうだし、チェイニーも怒りをつのらせている。もう警察の人間でもないのに指揮を取り、自分をないがしろにしている。彼は確かに嫌なやつだが、気持ちはわかる。監督のコメンタリーで興味深かったのは、マスク姿の犯人を四人の俳優が演じており、そのうちの一人がルーカーだということ。こういう内容で早いうちに犯人がわかってしまうのはまずい。しかし最初の方で医療技師リチャード役でリーランド・オーサーが出てくると、映画を見慣れている人なら「はは~ん」となってしまう。彼は一見無害な小心者に見えて実は・・ということが多いからね。それで見ている人を混乱させようと四人に演じさせたと。ルーカーは自分からやらせてくれと申し出たそうで、いい役者だよなあ。私が気に入ってるシーンはアメリアが本屋に行くシーン。監督フィリップ・ノイスは客の一人としてカメオ出演。そうそうこれくらいにしておくべきなのよ。どっかの監督みたいにできるだけ長くうつろう・・なんてしちゃだめ。ずっと前ある新聞に世界一の古書店ストランド書店の記事が載って、切り抜いてスクラップしてある。売れる本より店主が買い取る本の方が多くて、どこもかしこも本が山積み。もちろんこの映画に出てくるのは別の本屋だけど、このシーン見る度にその記事のこと思い出す。映画だから目当ての本はすぐ見つかるけど、現実には時間かかると思うな。ラストはハッピーすぎるけど、その一方で見た人全員なぜセルマを死なせちゃうのよ・・と思うことだろう。生き残った者勝ちと言うか。全身マヒになってもデンゼルはやっぱり勝ち組。ちなみにライムを主人公にした小説は、その後も書き続けられているらしい。