ブラザーズ・グリム

ブラザーズ・グリム

話題になっているのは監督名とモニカ・ベルッチ。マット・デイモンとヒース・レジャーの共演は?私はかろうじて「ヒース目当て」という見に行く理由見つけ出しました。童話・おとぎばなしにはさほど興味なかった子供時代。「アトム」「鉄人」「ミュータントサブ」だもんねー。「少年同盟」のイライザラブ!だもんねー。映画はまあおもしろかったけど、どうってことないです。いや大金と手間かけて作ったものを、そんな一言でかたづけるのは気が引けますが、これがホンネ。心にグサリとくるようなこと、見終わった後であれこれ考えさせるものがない。いちおうハッピーエンドなので後味は悪くない。変にエロティックなシーンもなし。ベルッチはいかにもエッチくさいように扱われていますが、それは宣伝のためでしょう。彼女はもったいない使われ方をしていると思う。間違いなく彼女は現代の最も美しい女優の一人だと思う。ブロンドに青い目のイケイケ美女はごまんといるが、彼女は違う。まあ確かに「ヨーロッパの宝石」と言えるでしょう。価値がある。でも見せるだけで終わってしまってません?白(肌)・黒(髪・目)・赤(唇)のコントラストが美しい。彼女を見ると私はいつもイザベル・アジャーニを思い出す。よく似ていると思う。アジャーニにはちょっとバランスが崩れているようなところがあるけどね。年齢に対し戦いを挑んでいるようなところもある。ベルッチは今が絶頂。老醜との戦いはもうちょっと先のこと。パンフに載っている彼女の言葉が印象的だ。神もお金も信じない。信じるのは人間。外見にしても美しさは一時的なものと自覚している。でもまわりはそうは見ないんだよな。年を取ってしわくちゃになっても仕事が来るかどうか。成熟した役者に仕事が来なくて、頭からっぽの美女が持てはやされるのが現実かも。・・と話がそれたが、ベルッチはこの映画ではキレイキレイで終わってしまってコワイコワイがなかった。そこが残念。そこがもったいなかった。さて批評にしろパンフにしろ、みーんな監督のテリー・ギリアムがらみ。でも私は彼の作品見たことないし、何の期待も思い入れもないゼロの状態。だから期待を裏切られたとかそういうの別になし。感想は・・作り込んだ画面だと思う。人物が風景・背景に埋没している感じ。画面に人物はうつっているけれど、誰がしゃべっているの?どっちがジェイコブ、どっちがウィル?見分けがつかない。

ブラザーズ・グリム2

ウィル役のマットはいつもとイメージが違う。ヘアスタイルのせいだ。今回の彼はけっこうハンサムに見える。太い首も隠れているし。ジェイコブ役のヒースは・・まあ彼はいつもステキです。メガネやヒゲはない方がいい。ジェイコブはウィルとは対照的な性格。冒頭の豆のシーンからもう・・胸キュン・いじらしい。豆が空にのびて・・というのはおとぎばなし。現実では病気の妹は死んでしまった。薬の代わりに豆をつかまされたとんまなジェイコブのせいで・・。成長してからも兄のお荷物。夜寝ているところをカヴァルディに起こされた時、耳栓をしているのがおかしい。超いじらしい。何しろウィルは女性二人を引っ張り込んでいますから。村人の話を一生懸命記録しているのもいじらしい。ウィルはそういうの全然なし。だって魔女とかみんなインチキなんだもーん。水車小屋であんなふうに魔女が現われた時はちょっとびっくりしたな。あれがやらせだというのにもびっくりした。ウィルは魔女とか幽霊とか全然信じないリアリスト。でもそれってジェイコブがロマンチストだから。二人してロマンチストだったら食べていけない。ウィルはリアリストにならざるをえないのよ。この二人のやり取り、反目、和解、その他モロモロは、前にも書いたけど大部分風景・背景に負けてる。埋もれている。負けていないのがカヴァルディ。最初ジョン・タトゥーロかと思ったのよ。そしたらピーター・ストーメアなのね。途中で死んじゃったのでガックリしたけど実は生きていて・・よかったわー。ドゥラトンプ将軍にへいこらゴマをスリスリしていて、ホントいやなやつなんだけど憎めない。拷問を芸術の域まで高めてどうするのさ。拷問なんて効率が命。残酷なようでいてどこか抜けてる。無能なようでいてナイフ投げの達人とかさ。とにかくユニークで目立っちゃう。この映画の主人公はウィルでもジェイコブでもない、カヴァルディなのよ。どんなことをしてでも生きていく、生への執念!ドゥラトンプ役はジョナサン・プライス・・ってことは「キャリントン」の?こんな顔してたっけ、まあいいわ。何だかよくわかんないけどとにかくお金と手間のかかった凝った作品よ。「ヘンゼルとグレーテル」のお菓子の家を見たかったけどまあいいわ。欲張らなければそれなりに楽しめる作品。ストーメアのこってり演技を堪能できたので満足よ。おかげでマットもヒースもかすんじゃいましたけど。