ボディ・バンク

ボディ・バンク

この映画にはちょっと興味あった。だって主演がヒュー・グラント。今まで見たのはラブコメの軽いキャラばっか。こんなサスペンス物にも出ていたんだ。いつもとは違う(動き回る)彼を見てみたい。大病院のERで働くガイ(グラント)。ある晩運ばれてきた急患の症状、その後の死因に疑問をいだく。ところが調べても途中で行き止まり。調査をやめろという忠告や脅し。ついには麻薬の不法所持という身に覚えのない罪でクビになる。実りのない仕事(次々に運ばれてくる急患・・それも麻薬がらみとかどうしようもない連中ばかり)、解けない疑問、誰が味方なのかわからない不安・・。ガイ君恋愛以外のことで悩みっぱなし。黒幕はすぐわかる。画期的な治療方法の完成まであと一息というマイリック(ジーン・ハックマン)。ホームレスを使って人体実験をするような彼を、なぜみんな応援するかと言うと、自分あるいは家族の誰かが半身マヒ、全身マヒだから。実験の成功を一日千秋の思いで待っている。ここが難しいところだ。彼らの切実な思いはわかる。でもホームレスを実験に使い、死なせることは許されるのか。ガイは悩む。目が覚めて全身が動かなかった時には彼自身死んだ方がましだと思った。方法があるなら何でもする・・とマイリックに言った。その後マヒはマイリックの仕業(麻酔による一時的なもの)とわかったが、あの時の絶望感は・・。ガイはどう決断するのか。マイリックに協力し、気の毒な人達を救うのか。マイリックの罪をあばき、マヒ患者達の希望を奪うのか。・・考えてみりゃERでの仕事は決断の連続。重症患者が二人いるのに手術室は一つしかあいてない・・なんてこともしょっちゅう。片方は家族持ちの警官、片方は犯罪者・・とくれば、医者だって人間、情に流れた決断もするわな。今回ガイが迫られた決断も似たようなもの。そりゃ歩けるようにしてあげたい。でもだからって・・。まあ重いテーマだし、マイリックがガイを説得しようとするシーンは長すぎる。で、見ていてすかっとした気分にはなれないけど、でも楽しめた。こういうグラントをもっと見てみたい。共演はサラ・ジェシカ・ハーパーだが全然魅力なし。もうちょっと何とかならなかったものか。他にデヴィッド・モース。デヴィッド・クローネンバーグがなぜか俳優やってる。冒頭プロデューサーとしてエリザベス・ハーレーの名前がでかでかと出たのが笑えた。