ブラック・フライデー

ブラック・フライデー

トーマス・イアン・グリフィスが出てるので借りた。彼は「ヴァンパイア/最期の聖戦」でのヴァンパイア役がすばらしくてファンになったけど、出演作はまだあまり見ていない。「トリプルX」に出ていたらしいが記憶にない。それで確かめてみたら、出ていることは出ているけど、冒頭あっさり殺されちゃう役。これじゃあ印象に残っていなくて当然だわな。中古ビデオで見た「アバランチ・インフェルノ」はなかなかよかった。で、今回も期待して見たら・・髪が白くて短くて・・白髪?それとも染めたの?何かちょっと・・輝きが失せたと言うか、出てるだけと言うか、別に彼でなくてもいいじゃん・・みたいな。要するに期待はずれ。映画全体に何となく迫力がない。それもそのはずテレビムービーなのだ。だからさほど残酷なシーンもお色気シーンもない。(DVDの)売り手はこれじゃまずいと思ったんでしょうね、DVDカバーに全然関係ない写真載せてる。若い金髪の細身の女性、長い脚、銃をかまえ孤独な戦い・・どう見たってセクシーアクション路線。でも違うの。出てくるのは40近い小太りのおばさん。ドレスなんか着ませんズボンばっか。顔立ちも写真と違うし、登場したとたんあれ?となります。銀行のセキュリティを担当するシングルマザー、レイチェル(エイミー・カールソン)。ある日娘のハナを誘拐されてしまう。犯人の要求は貸金庫のなかみ。銀行は絶対破られない堅固な新システムを導入したばかり。犯人達は開発者のバクスターを仲間に引き込んでいたが、彼が急死してしまう。それで同じく開発者であるレイチェルに目をつけたのだ。犯人達は実は汚職警官。グレン(ジャド・ネルソン)は現役刑事だが、キャッシュ(グリフィス)の方はよくわからない。もう一人退職した警官カードーザというのがいて、三人で悪事を働いては金を手にしていた。そのうちカードーザは後悔の念をいだいたのか、悪事を密かに撮影し、それを貸金庫に入れたのだ。レイチェルは貸金庫の持ち主がカードーザだと知ると、自宅を訪ねるが、彼はすでに死んでいた。どうやら自殺したらしいが、見ていてもよくわからない。不治の病で死期が迫っていたのか。後でわかるが、カードーザは金庫を開けるカードキーを検事コーエンに送っていた。グレンとキャッシュはコーエンが動き出す前に先回りして金庫を開けなければならない。それでバクスターに近づいたのだ。

ブラック・フライデー2

しかしカードーザは死後二週間もたっている。その間の時間のずれ・・なぜ今頃やっとコーエンにキーが届くのか・・などは説明されない。また、なぜグレン達はカードーザが自分達を裏切ったと知ったのか。なぜ貸金庫の番号がわかったのかも不明。グレンとキャッシュは(本職のくせに)手際が悪く、後手後手に回っている。娘のハナだけ誘拐すりゃいいのにベビーシッターのカレンまで連れて行く。当然カレンは逃げ出そうとするが、しゃべりすぎだし音も立てすぎ。まあ無理もないけどね。案の定気づかれてしまいカレンはキャッシュに殺される。・・だからぁ、一緒に連れてくるから面倒なことになるんだってば。単純なことをわざわざ複雑にしているのがキャッシュの性格。とにかくやりすぎてしまう。必要以上にバクスターを吊し上げ、心臓発作を起こさせてしまう。カレンを殺してしまう。ハナに食べ物を持って行った時、ふとしたはずみでマスクが取れてしまう。さあ大変顔を見られたからには始末するしかない。一方ハナは小生意気なガキで、せっかく食べ物を持って行っても「ママはジャンクフードを食べちゃいけませんって」などと賢しげにぬかす。おらおら自分の食べ物の好み言ってるバヤイかよ。キャッシュもバカだね、こんなのほっぽって飢えさせておきゃいいのよ。そこらへんに置いておけばそのうち食べるって。なまじ相手してカッカしてそのあげくマスク取られて。君ってホント物事を悪い方へ持ってく名人。さてレイチェルは、今頃娘は・・と胸を痛めながらもセキュリティを破れないかと苦闘する。あれこれ試すけど効果なし。自分の設計したシステムを破る、家族が人質になっていて警察に助けを求められない・・というのは、「ファイヤーウォール」と同じだな。レイチェルが助けを求めたのは友人のルーシー。彼女は平凡な女性で、何ができる・・ってわけもないけど、とにかく打ちあけられる相手がいるってのは心強いね。秘密は絶対守ってくれるし。このルーシー、独身のようだが詳しいことは不明。レイチェルがシングルマザーな理由も不明だ。この映画わからないことばかり。さて、侵入できず困り果てているレイチェルのところへ検事コーエンと刑事マイルズが来る。何とカードキーを持っている。昨夜カードーザの家に忍び込んだレイチェルは、懐中電灯を振り回しているのを、犬の散歩中の青年に見られていた。

ブラック・フライデー3

窓からもれる不審な明かり・・私は泥棒してますって宣伝してるようなもの・・レイチェル君気をつけたまえッ!でも素人だから仕方ないか。まずいことに死臭に気づいたのか犬が家の中に入ってしまう。青年も犬を追って仕方なく中へ、そして死体発見。急発進する車(レイチェルの)にも気づいた。だからレイチェルはてっきり昨夜のことがばれたのだと思ったはず。でもここらへんもよくわからない。レイチェルが表情に出さないからだ。とにかく彼らは彼女のことは知らない。しかもカードキーを持ってきてくれたのだ、天の助け!都合のいい展開とも言う。カードキーだけでは貸金庫の持ち主の名前も金庫番号もわからない。まあカードーザだろうという予測はしているだろうけど。レイチェルは金庫の番号を調べるという口実で彼らを待たせておき、一足先に金庫のなかみを取り出すことができる!てなわけで彼女はシステムを破る必要はなくなる。いかにも彼女が破るような宣伝はみんなウソっぱち。カバー写真と言い、宣伝コピーと言い、事実に反してるけどいいんですか?誇大広告、インチキ写真・・売る方も大変ねえ。ありったけの手段駆使してバカなお客だまし、借りさせる。・・さて、金庫の中はからっぽだったが、箱の裏にメモリーカードが貼りつけてあった。金庫室は利用者のプライバシー保護のため監視カメラはついてない。このままならレイチェルは疑われないはずだった。ところがなかみを手に入れ、気がゆるんだのかひょいと口をすべらせてしまう。マイルズ達の注意を引きつけてしまう。マイルズ達は中がカラだったのが気になる。自分達より先に彼女が取ったのでは?そのうちカードーザの向かいの人が家の前に不審な車がとまっていたと通報していたことがわかる。世の中には何か見つけては通報しまくる人がいる。警察の方もまたあの常連さんか・・と本気にしないが、今回はそれが役立った。まあ二週間も姿を見せないカードーザのことは気にならなかったのかという疑問は残るが。とにかく不審な車の持ち主はレイチェル。カードーザとレイチェルがつながった。カードーザは汚職警官の一人。仲間に銀行関係者がいてもおかしくない。汚い金の洗浄役かも・・と意気込むコーエン。しかしマイルズには彼女がそんなことをするような人間とは思えない。何か事情があるのでは・・。さあレイチェルは独力で娘を助け出せるのか!助け出せますよもちろん。

ブラック・フライデー4

私はそんなことよりイケメン見つけてムヒヒ・・グリフィスなんかどうでもよくなっちゃった。だってキャッシュには何の魅力もないんだも~ん。グレンの方も悪人にはなりきれない・・みたいなうじうじタイプ。見ててもおもしろくない。でもってマイルズだけど、まだ若くて悪に染まってない。グレンやカードーザとも顔なじみで、裏の顔には全く気づいていない。コーエンは汚職をあばこうと奮闘する正義漢だが、人間の裏側見すぎているせいで先入観持ちやすい。だからレイチェル疑ったりする。それでいて部下のローガンがグレン達のスパイであることに気づいていない。マイルズはういういしくて真っ直ぐ。演じているショーン・マッゴーワンは知らない人。トーマス・ジェーンによく似ている。たくましくて誠実そうなところがいい。さほど活躍してくれないのが残念。何たってメインはレイチェルだから、彼女が全部やっちゃう。この映画グリフィス以外は知らない人ばっか。カールソンはテレビの「サード・ウォッチ」に出ていたらしい。ぱっとしない容貌だし体形も崩れかけているけど、演技力はあるので安心して見ていられる。ラスト、母子には平和が戻る。いちおう犠牲になったカレン悼むけどその後は海辺での楽しいピクニック。やっぱりねえ生き残ったもん勝ちなのよ。死んだら何にもならない。ピクニックにはなぜかマイルズも加わる。彼はレイチェルに引かれているらしい。年上だし子持ちだよ、いいの?私はルーシーと仲良くなって欲しいな・・なんて。まあここでの彼は遠慮がちで何だか微笑ましい。ショーン君要注目だわウヒ。他のキャラではレイチェルの同僚フランクがよかった。彼女の出世をねたむいやなやつ。でもレイチェルは気にとめず、おりを見つけては彼を利用する。彼のパソコンを借用したり(システムに侵入しようとして自分のパソコンにはロックがかかってしまったのだ)、重要なメール(カードーザの撮影した映像のコピー)を彼あてに送ったり。自分のパソコンは警察に調べられるだろうが、警察自体信用できない。証拠を隠滅されてしまう恐れがある。犯人達に絶対気づかれず確実に証拠を残す方法、それがフランクへのメールなのだ。こういうことを思いつくレイチェルはとても頭のいい女性だと思う。自分では頭がいいと思い込んでるフランクが、レイチェルにいいように利用されてるのがおかしかった。まあ平凡な出来だけどつまらなくはないです。