ブラインド・フューリー

ブラインド・フューリー

こういう映画があるのは知ってたけど、見るのは初めて。日本の「座頭市」が元になってるとのこと。冒頭・・ベトナム・・戦闘で一人はぐれ、視力を失ってさまようニック(ルトガー・ハウアー)。彼をとらえた地元の連中は、敵である彼をなぜか看病し、刀の使い方その他を教え込み・・。ここらへんからしてメチャクチャだが、まあほじくってもしょうがない。20年後彼は戦友のフランクを訪ねるが、家にいたのは妻のリン(メグ・フォスター)と息子のビリー(ブランドン・コール)だけ。夫婦は離婚し、フランクはリノにいる。詳しいことは不明だが、彼はギャンブル狂で借金があるし、アニーというガールフレンドもいる。彼は有機化学をやっていて、カジノ経営者に新種の麻薬作るよう脅されている。その脅しの材料としてビリーが狙われる。リンは殺され、ニックは彼女の最後の頼み(子供を守って)を聞き、フランクの元へ送り届けようとバスで出発。途中で母親の死を知らされたビリーはショックで逃げ出すが、そこを悪党どもにさらわれ、閉じ込められ・・。この時の地平線まで果てしなく続くコーン畑がすごい。あれこれあってやっとフランクを捜し出すが、アニーとビリーがさらわれ、山のてっぺんの山荘か何かに連れていかれてしまう。フランクと共に乗り込んだニックは力を合わせ、敵をやっつけ・・。この時出てくる殺し屋がショー・コスギ。彼以外の連中はみんな頭空っぽノータリン。そのうちの一人はニック・カサヴェテスらしい。エレベーターのボタン押しのシーンは笑える。それにしても20年の間ニックが何をしていたのか全く説明されないってのもすごいな。リンは彼のこと戦死したと思っていたらしい。生きて帰って、しかも障害者になったのだから普通なら年金か何か出るはずだ。だから私はそれで生活してるのかと思ったが、戦死扱いになったのなら出ない。どうやって生活しているのか。家も家族もないようで、フランクを訪ねたのは金に困っているから?それとも単に「あの時は私を見捨てて逃げたけど・・もう過ぎたことだ忘れよう・・私は君を許すよ」とか何とかわざわざ言うため?まあいろんな欠点はあるんだけど、そんなことは気にならないくらいハウアーははまっている。

ブラインド・フューリー2

見ようによってはとても美しい人だと思う。苦しみ悩んだはずだが、それを表情にとどめていない。一度だけ・・山荘でフランクがいなくなって、20年前の悪夢の再来か・・と、心が乱れたけど、でも大丈夫。いくらフランクだって同じ間違いはしない。たいていの人はニックのキャラを、座頭市と言うより「ルパン三世」の五ェ門と評していて。でも私自身は「シェーン」を連想した。両親ではない他人・・ある日ふらりと現われ、危機を救ってくれて、どこへともなく去っていく異能の人。出会いはともかく、別れは辛い。ビリーからするとニックが去る理由なんかどこにもない。なぜ一緒にいてくれないのか。その一方で、短い間だったけど、ニックのおかげでいろんなことを覚えた。精神的に成長した彼は、人生には別れがつきもの・・それを受け入れなきゃならないこともわかる。彼は何度も泣いたけど、泣くのは別に悪いことじゃない。ラスト・・我々を泣かせるのは、涙を出す機能を失ったはずのニックの目から涙が流れることだ。彼もビリーに出会ったおかげで、確実に何か変わったのだ。さて、アクションシーンだがいつも成功しているわけではない。銃とは違い、刀で斬るのは表現・描写が難しい。腕が斬り落とされたり、胴体まっぷたつなんていうのは、どこまでリアルに見せるべきなのか。この映画では血の量は少なめ。現実はもっとドロドロだし、ピュードバージュクジュクだろう。ショー・コスギはやっと出てきたと思ったら2、3分で退場。「かわいい女」のブルース・リーは、大暴れしてすぐ、おバカな退場だったけど、こちらも同じ。トレーニング用の器械があって、部屋の真ん中にプールだかオフロだかがあって、そのまわりで鉄の刀持って戦ってる。水、電気、鉄と来ればあとは感電死。ニックが死ぬわけないから・・で、その通りの展開。ひねりも何もありゃしない。とは言えこの2、3分は非常になかみが濃く、迫力満点。映画自体エンドクレジットまで入れて82分ほど。非常にコンパクトにまとめてある。いろんなものが詰め込まれているけど、それでいて思いきり省略、割愛。監督は・・フィリップ・ノイスだ・・なるほどねえ・・こんな作品もとっていたんだ・・。