バトルシップ

バトルシップ

これを録画したのはだいぶ前。吹き替え版なので、ずっとほったらかしにしてた。字幕版はまわりが騒がしくても見ていられるけど、吹き替え版は家に一人でいる時でないと無理。ノべライズはすでに読んである。その記憶が薄れないうちに・・。監督はピーター・バーグ。「ランダウン」とか「ハンコック」・・見たのはそれくらいか。製作費が2億ドルを超えるこんな超大作を任されるなんてすごいなあ。でもアメリカでは6500万ドルくらいで、超大コケ。「トランスフォーマー」とさして変わらないのに、何で片方は大ヒットし、片方は大コケなのか。「パシフィック・リム」もだめだったんでしょ?映画って難しいね。私は「リム」よりこっちの方がいいです。もちろんストーリーは呆れるくらいアレですけど。まずビーコン・プロジェクトとか言うのがある。地球と似た環境・・太陽からほどよい距離にあって、生物がいそうな惑星・・プラネットGに向けて、強力な電波を送信する。数年後、地球に近づく謎の飛行物体。不思議なのは、侵入され放題なこと。宇宙からの脅威は想定していないのか。もっと不思議なのは、知的生命体に遭遇した時の対処があいまいなこと。どこが対応するのか。どこが責任持つのか。相手との意思疎通はどうするのか。友好的でなかった場合はどうするのか。科学者と軍人、政治家では考えも違うはず。地球に大きな被害が出ても、プロジェクトの責任者ノブレディは青くなるわけでもない。待ち望んだ生命体の出現に浮かれるわけでもない。普通こういう場合、何とか相手と接触しようとするとか、サンプル(←?)入手したがるはずだが。話せばわかるとか、意思を伝える手段はあるはずとか、貴重な存在なのだから攻撃反対とか。でも何もなし。ストーリーに関係ないから省略しとけ・・みたいな扱い。そのせいでノブレディは無能に見えるし、無責任に見えるし・・まあいいけど。演じているのは「ヤング・ドクター」に出ていたアダム・ゴドリー。エイリアンとはすぐ交戦態勢に入る。何しろ冒頭からさんざん主人公アレックスのダメ男ぶりを見せられている。目に止まった女の子にアタックするため、チキン・ブリトー一個を手に入れようと大騒ぎを起こす。サッカーの試合では逆転のチャンスを自ら潰す。彼の兄ストーンは弟の尻ぬぐいばかり。決して長くなかった彼の一生は、弟のせいで無駄に費やされた。

バトルシップ2

アレックスは自分をコントロールできない。威勢がいいようでいて臆病。ブリトーのおかげでサムとはラブラブだが、彼女は提督の娘。結婚の許しを得たいが、いざとなると尻込み。おりしも日米合同の演習が始まったところ。それなのに彼は、サッカーの試合以来仲の悪いナガタとまたまたケンカ。結婚の許しどころか、演習終了と同時にお払い箱だ。こうやって主人公をどん底へ突き落とすが、彼は本来は頭がよく、能力にもめぐまれているのだと、さりげなく強調するのも忘れない。機会があれば能力は花開き、人間的にも成長し、人類の救世主、アメリカの英雄となるのだ。う~ん、そのためにはエイリアンが来襲して、多くの人命が失われる必要があったわけですな。来襲しなければ彼は落ちこぼれ人間のまま。サムとも結婚できず・・その代わりストーンは長生きできただろうけど。まあ今まで無数にくり返されてきた設定。最後はもちろん二人の愛の成就・・ケッ!!アレックス役はテイラー・キッチュ。ジョン・レグイザモに似ているかな。ストーン役はアレキサンダー・スカルスガルド。おとっつぁんのステランは針でつつきたくなるほど膨張しているが、彼はまだ大丈夫。若いっていいねえ。こういうステキな兄貴は長生きできないって決まってる。「パシフィック・リム」もそうだったが、弟が活躍することに決まっている。兄弟で力を合わせてというのはありえない。エイリアンはまわりにババアを設置し・・じゃない、バリアを張りめぐらし、通信機能を遮断する。圏外にいる提督達には何も情報が入って来ない。中にいるのはアレックスのいる”ジョン・ポール・ジョーンズ”、ストーンのいる”サンプソン”、ナガタのいる”みょうこう”。この三艦は、エイリアンの宇宙船の落下で甚大な被害が出た香港へ向かうため、演習を離脱したところ。提督がいるのは”ロナルド・レーガン”。アメリカでは人の名前を堂々と艦に付けるけど、日本はそうはいかない。漢字すら使わず、平仮名でやわらか~く。普通に”妙高”でいいのに。エイリアンの艦は「トランスフォーマー」のロボットに似ている。途轍もなく巨大で強力。時々ボールみたいなのが弾き出され、飛んできてこっちの艦を破壊する。陸に上がれば道路や建物を壊す。それでいて幼児などは無視する。武器・・金属反応がないと敵とみなさないのか。

バトルシップ3

このボールみたいなのは「ランゴリアーズ」を連想させる。他にバレルという砲弾みたいなのが飛んでくる。途中でエイリアンが出てくるが、いでたちはプレデター風。なかみは人間に近い感じ。別にこういうのは見せることないと思うんだけど。作り手はちゃんと見せてサービスしなきゃ・・ってなるのかしら。見せるったって独創的なものは出してこれない。どこかで見たようなのしか出せない。出したら今度は人間と戦わせなければならない。で、またまたどこかで見たような・・となる。見せれば見せるほど怖さは薄れる。謎めいているから、わからないから不安なのに。ノベライズにはエイリアンの心理・・独白まで書いてある。余計なことだ。・・と、このように新鮮味はなし。どんなバカでもわかる、半分寝ててもわかる薄い内容。でも、様々な艦、搭載された武器、知恵のしぼり合いは楽しめた。撃ってすぐ当たるわけじゃない。上に撃ち上げて、それから落ちてくるから数秒の間がある。だから迎撃できる。津波ブイを利用した位置測定もいい。最初は失敗するのもリアルでいい。それにしても最新鋭の装備があっても、通信ができないとかそういうことで手も足も出なくなるというのはねえ。電気が使えない時、コンピューターが使えない時のことも想定しておかないと。この作品・・映画館で見たらさぞ映像は迫力満点、音響はドッカンドッカン臨場感にあふれていたことだろう。上からの視点も多く、こういうのはミニチュアじゃ難しいだろうな。CG様様。特殊効果にお金かかったんだろう、配役は地味め。提督役リーアム・ニーソンが大活躍すれば作品に厚みが出たろうが、出番少なくして倹約。ギャラの安そうなのが動き回る。ナガタ役浅野忠信氏はいちおうがんばっているが、他の日本人は存在を消されている。扱いがごく軽い。ラスト近くでは記念艦ミズーリと、元乗組員のジイチャン達が大活躍する。みんな90歳前後のはず。ミズーリだって、そう簡単に動くとは思えないが、まあ細かいことは言いっこなし。見ている者をワクワクさせてくれるんだから、それでよろし。アメリカでは酷評されたらしいが、私はけっこう楽しめた。