ナショナル・ランプーンシリーズ

ホリデーロード4000キロ

中古ビデオでだいぶ前に見た。その時はさほどおもしろいとは思わなかった。居眠り運転(しかも爆睡!)のところがすごく笑えた程度。今回何年ぶりかで見たけど、前よりは笑えたと思う。一家四人が家族旅行に出かける。行先はワリーワールド・・よくわからんが大規模な遊園地か。飛行機ならすぐだが、クラーク(チェビー・チェイス)は一家のきずなを深めるいい機会だ・・と、車で行くことにこだわる。ところが最初からトラブル続き。この頃のチェイスはウィル・フェレルによく似ている。奥さんエレン役はビヴァリー・ダンジェロ。内容から言ってファミリー映画だと思っていたら、ダンジェロはヌード見せるし、きわどいセリフはあるしでびっくり。子供向け家族向けではなく大人向けなのね。でも大の大人が遊園地にこだわりまくるのはぴんとこない。ストレートに子供向けにすればよかったのに。息子ラスティーがなかなかいいのだ。金髪で歯列矯正している、ひねた顔の子。大きくなったらジェイク・ビジーみたいな顔になって変質者とかやりそう。ところが後で彼のこと調べてびっくり。アンソニー・マイケル・ホールという人なのだが、現在の写真を見たら「デッド・ゾーン」というテレビシリーズで、日本でも知られ始めた人。私はこのシリーズは見たことないけど、この顔は雑誌によく載ってる。ホールの顔は特徴があり、一度見たら忘れられない。そうかこんなふうに成長したのねラスティー君。きのう見た「ダークナイト」にも出ていたな。で、ラスティーには子供っぽい部分と大人になりかけの部分があって、大人なのに子供っぽいクラークよりもある面では大人に見える。変にヌードなど出して大人層狙うより、子供の成長ストーリーにすればよかったのだ。旅の途中で寄るのがいとこのエディの家。エディ役はランディ・クエイド、まだ若い!一家が押しつけられるのがエドナ叔母さんと犬のディンキー。犬の扱いは動物愛護派から非難されそう。エドナ叔母さんの扱い以上に。叔母さんは途中で死ぬが、葬式とかやってると遊園地で遊ぶヒマがなくなるので、叔母さんの死体を息子の家に置き去りにする。ひどい話だが(前にも書いたように)映画ではよくある設定。他にジョン・キャンディ、ジェームズ・キーチが出ていた。監督は「悪いことしましョ!」のハロルド・ライミス。評判がよかったのか(調子づいたのか)、全部で四作作られているようだ。

ナショナル・ランプーン/クリスマス・バケーション

「ホリデーロード4000キロ」の続編・・と言うか三作目?この間に「ナショナル・ランプーンズ・ヨーロピアン・ヴァケーション」というのが入るようだが、未見。この映画を見ていて意味のわからないセリフがあるのはそのせいか。それにしてもランプーンって何のこと?今回は旅行先のあれこれではなく、クリスマスまでの家庭内でのあれこれ。向こうの人のクリスマスに対する思い入れは、我々とは格段に違う。家の飾りつけで隣家と競い合うというとWOWOWでやった「ライトアップ! イルミネーション大戦争」があった。私から見るとマシュー・ブロドリックが演じたあっちの主人公も、チェビー・チェイスが演じたこっちの主人公クラークも、二人とも半分頭がおかしくなってる。二人に共通しているのは、クリスマスには家族はこうでないといけないという強い思い込み。ツリーやイルミネーションを飾り、ご馳走やプレゼントを用意し、家族が揃い、幸福感に満たされていなければならない。そういうふうに家を整えるのが一家の主人である自分の仕事・義務。彼らが重視しているのは見かけの完璧さ。実際は何か不足していても心の充足は得られる。完璧に揃ったからと言って、心まで完璧に満たされるとは限らない。映画ではもちろん主人公は自分の間違いに気づく。本当に大切なものは何か・・そしてハッピーエンドとなる。毎年クリスマスの頃になるとあきもせずこういう季節限定映画が公開されるわけだ。さて、グリズワルド家の主人クラークはクリスマスが近づき大はりきり。毎日窓を開ける式のクリスマス用カレンダーは「バッドサンタ」にも似たようなのが出てきた。ツリーを用意し(あっちはツリー用の木は、それ用の森へ入って好きなの切り出してくるようだ、さすがアメリカ!)、イルミネーションをつけ(このイルミネーション関係のギャグがすごく笑える)、家族親戚を迎える。長旅の疲れで眠りこける父親達、元気な母親達、ボケてる伯母なども笑える。途中で「1」にも出ていたエディ一家が加わり、おもしろくなるかと期待させるが、これが今いち。下品で汚くなるのが残念。むしろクラークのせいでせっかくのクリスマスがさんざんなことになる隣家の若夫婦トッドとマーゴがおかしかった。

ナショナル・ランプーン/クリスマス・バケーション2

高収入で子供はいなくて家の中はすっきりかたづき、モダンでスマート。お高くとまってグリズワルド一家を見下しているが、クラークのやることにいちいちモロに被害を受けるのがおかしくも気の毒。チェイスと妻エレン役ビヴァリー・ダンジェロ(変わらぬ美しさ!)、エディ役ランディ・クエイドはそのまま。娘オードリーはジュリエット・ルイス、息子ラスティーはジョニー・ガレッキに変わっている。ガレッキはテータム・オニールに似ているかな。成長した姿は「偶然の恋人」で見ることができる。なかなかハンサムだが、身長はあまりのびなかったようで・・。最近では「ハンコック」にも出ていたらしい(記憶にございません)。他にダイアン・ラッド、E・G・マーシャルなど。クラークが危ないほど突っ走るのに対し、エレンや子供達は抑えぎみである。エレンはハラハラしているばかりであまり強い態度は取らない。子供達も大人しい。特にラスティーはけなげで父親思いで私好みだが、コメディー映画としてはもっと生意気でストーリーをかき回すクソガキ、悪ガキの方が映画に活気が出ただろう。全体的には「1」よりこっちの方が笑いどころはあったが、最後の着地の仕方は「1」同様かなり強引。あっちではやっとの思いで遊園地にたどり着くと休園!!妻や子供は仕方ないとあきらめるが、クラークはおさまらない。せっかく来たのだから自分の計画した通り・・休日は家族揃って遊園地で楽しく遊ばなければならないのだ。警備員を脅し、社長に食ってかかり、結局は自分の思い通りにさせる。何というごうまんさかと呆れるが、見ている人にとっては自分にできないことをクラークが代わってやってくれている・・と、爽快な気分になれるのか。話をこっちの映画に戻すと、クリスマスでまわりは浮き立ち、自分もあれこれやっているけど、クラークの気持ちは今いち晴れない。それというのも賞与・・ボーナスの通知がまだ来ないからだ。彼の仕事はよくわからないが、食品添加物の開発とかそういったことらしい。顎力増強剤・・無栄養の穀類ニスとかいうのを開発し、自信満々。家族には内緒にしているが、今までためたヘソクリと今度の賞与とで庭にプールを作るつもり。ヤキモキしていた彼にやっと手紙が届くが・・なかみはおよそ彼の待っていたものとはかけ離れたものだった。

ナショナル・ランプーン/クリスマス・バケーション3

頭にきてわめくクラークの代わりにエディが行動を起こす。寝ていた社長を誘拐し、連れてくるのだが、これが全然笑えない。だって生活に困っているのならまだしもプールですよ。すごい贅沢品。いちおう真面目に勤めているけど会社にとってはさして有益でもない一社員。それでも家はあるし奥さんは専業主婦だしクリスマスにはご馳走を用意できるしプレゼントは買い込めるし・・余裕の生活。ところが最初は憤慨していた社長は、途中から自分が悪かった、大切な社員のことより節約主義に走っていた・・と反省し、あやまるのである。その上何を血迷ったのかクラークに賞与プラス20%増しを提案。家族親戚揃ってバンザーイメデタシメデタシとなるのである。これっておかしくない?クリスマス用ほのぼの家族向け映画だからバンザーイもメデタシメデタシもいいけど、もうちょっと筋を通してよ。つまり見ている我々にはクラークの穀類ニスが会社にとってどうなのかよくわからないわけ。全然だめではなさそうだけどすごくいいわけでもなさそう。もしこれのおかげで会社が儲かりそうなのに社長が賞与けちったのなら、そりゃアンタが悪い、あやまって当然・・となる。損をしたのならちゃんとそうセリフで言わせるべき。その上で、でも会社のために働いてくれているのにけちって悪かったとなるなら、それはそれで納得がいく。そういうのがなくてただ賞与出さないのは何事だ、そうか悪かった割増で出そうとなるのは・・。とにかく一見不合理に見えることを強引に正当化してしまうというのはアメリカ映画に、コメディー映画によくあるな。「お買いもの中毒な私!」もそうだ。もう一つ残念だったのはエディの娘ルビー・スー。エディ一家は生活が苦しい。彼女の「去年はサンタが来なかった」というセリフは泣かせる。今年も来ないのでは・・と心配したり、ううん来るかも・・と期待したり、赤い服を着ているクラークを見ておじさんがサンタなの?と思ってみたり。彼女の年頃だとまだかろうじてサンタの存在を信じている。小さな胸があれやこれやでいっぱいになってるのが何ともいじらしい。こりゃどうしたって彼女やロッキーがプレゼントを手にして顔を輝かせているシーン見たいと思うじゃないのさ。でも結局そのシーンなし。冒頭の楽しいアニメと連動したラストシーンはよかったが、プレゼントシーンがなかったのは減点だあ!