アース

アース

最初はパスするつもりだった。たいていのものはNHKの「ダーウィンが来た!」とかでもう見ている。それでも行ったのは、大きな画面で見たかったから。画面の大きさや音の迫力はどうしたって映画館の方がすぐれている。公開二週目、平日午前の日本語版、お客は20人くらいか。年配の人が多い。CMで鳥がいっぱい飛んでるところとか、滝を上から見るところが流れていて、それだけ見てもすごいんだけど、スクリーンで見るとまあホントすごいんだわ。いったいどうやってうつしたんだろうって思うようなのが次々と・・。すごいってのはいろいろあって、例えば数の多さ。空が暗くなるほどの鳥の群れ。お米かゴマでもばらまいたようなトナカイの群れ。魚の群れはまあおなじみ。そして高さ。滝を真上から見てぐるりと一回転とか、ヒマラヤか何かを越える渡り鳥(鶴?)の群れ。気流は飛行の味方にもなれば敵にもなるということ。そして速さ。獲物をしとめるチーターを延々うつす。猛スピードで走ってもチーターの頭部は全くぶれない。まるで頭部とそれ以外の部分とのへたくそな合成見せられているよう。それとこのシーンは、妙な話だけどラブシーンのようにも見えたな。たいていの動物は食べるのに必死だけど、あんまり食料には困らなくて、天敵もいない・・なんてけっこうな生活してるのもいる。そうなるとメスに求愛するのに着飾ったり、ダンス踊ったりするのに全精力傾ける。この映画見た後「ダーウィン」でまた同じシーン見たけど、貴重な記録だからBBCとNHKとでフィルムの貸しっこしてるのかな。カタカケフウチョウとかコウロコフウチョウのオス。コウロコ君の涙ぐましい努力。羽で輪っか作って首を左右に振って必死に踊ってそのあげくふられるんだもんおかしいやら気の毒やら。こういうのが次々に出てきて、美しかったり残酷だったりオバカだったり。動物だけでなく植物や地形や気候も。とにかく地球がこんなにも豊かで多彩なのは、とっても運がよくて奇跡に近いことなんだって実感できるわけ。同時に人間のせいで地球が危機に陥っているってこともね。「今ならまだ間に合う」と映画では言っていたけど、私はそれほど楽観的にはなれないな。この先環境はどんどん悪化し、この映画は「かつての地球」の貴重な記録映像になるだろう。