ウィング・コマンダー

ウィング・コマンダー

アメリカの人気シューティング・ゲームの映画化らしい。シューティング・ゲームって何だか知らんが。作られたもののヒットしなかったらしい。日本でも公開されたらしいがいつどこで?出演者はなかなか豪華。フレディ・プリンゼ・Jr(缶詰のデザートでプリンゼってあったな。桜田淳子さんがCMやってたやつ。昔よく食べたな)、マシュー・リラード(ビデオカバーの写真、最初誰だかわからんかった。カツラかぶってるの?)、サフロン・バローズ、ユルゲン・プロホノフ、チェッキー・カリョ、デヴィッド・スーシェ。ね、すごいでしょ。彼らはきっと演技のほとんどをブルースクリーンの前でやったんだろうな。ほとんど合成なんだろうな。どんなに撮影技術が進歩しても、こればっかりはどうしようもないんだろうな。つまり映像がうすっぺらいってことだけど。ストーリーもうすっぺら。我々は非現実的・非日常的なものを求めて映画を見るわけだけど、同時に感情移入もしたい。そこらへんうまく設定されていると楽しんだり感動したりできるわけだが、この作品は・・。2654年という未来、しかも宇宙の果て・・離れすぎていてどうでもよく思える。地球が攻撃されるまであと40時間しかない。しかし・・このタイムリミットがあんまり意味をなさない。ハラハラしない。地球・・いや、太陽系からも遠く離れているのに間に合うのか。そこはそこ、ワープという便利な方法があるんですがな。ワープ(ホップ)、ワープ(ステップ)、ワープ(ジャーンプ!)、地球を救え!お手軽すぎてワクワクしない。その頃の地球どうなってるのか不明。救援に向かう宇宙戦艦(?)に上記の豪華メンバーが集まる。ブレア(プリンゼ)は地球人とピルグリムの混血。このピルグリム、宇宙を開拓した種族で、特殊能力(ナブコムという人工知能コンピューターと同じ能力らしい)がある。地球人と戦ったこともあるので、乗組員の中には敵意いだいているのもいる。イジメ、シカト・・おいおい、未来の宇宙の果てでもこんなことやってるの?人類はちーとも進歩していないのね。ブレアはわりとまともな性格で、イジメにも耐えるが、そのぶん印象は地味。トッド(リラード)は親友だが性格は反対。このトッドはどうしようもないアホキャラ。勇敢とか男らしいとかじゃない。

ウィング・コマンダー2

無鉄砲、無思慮、目立ちたがり、ハデ好き、自信過剰。命令無視、暴走はしょっちゅう。しかも反省ゼロ。スリル、スピード、セックス大好きの頭カラッポ男。結果を全く考えず行動するのは、若さ故と言うよりバカだから。ピンチになろうが恋人死んで悲嘆にくれようが同情心わかない。恋人のパイロットも同様。助かって欲しいとか死んじゃってかわいそうとか普通思うものだが、そういうの全くなし。命の大切さがまるでわかっていなくて、死んだっていいやみたいな危ないことわざとやる。いやもうホントどうしようもないくらいバカなので見ていて腹が立つ。地球の危機を救うために急行する!なんて状況なのにベッドでイチャイチャしてるから全然緊迫感なし。編隊指揮官・・つまりウィング・コマンダーがバローズ。コードネーム、エンジェル。バローズは「ディープ・ブルー」でも「エニグマ」でも色気がなくてつんつんした感じ。今回も冷たくて取っつきにくい。いちおう過去に何かあったらしく、それでことさら人を寄せつけないようふるまっているらしい。この映画はいろいろ省略されているのでストーリーはわかりにくい。ゲームをやっている人にはすでにわかっていることだからあえて省くのか。地球人とピルグリムの関係、ナブコムの説明(ナブコムってどういう意味?ナビゲーションコンピューターとかそういう意味なのかな)、登場人物の過去。そんなの回想シーンで入れたら時間長くなるしお金と手間かかるし・・。ゲームらしく戦闘シーンに力入れるのか。でもそのわりに迫力ないし(映画館で見れば迫力あるのか?)。ワープシーンが目玉なのか・・と言っても「スーパーノヴァ」と似たようなものだし。「これ」というものがないのよね、この映画。退屈はしないけどワクワクもしない。印象としては、時代と場所を移しただけでやってることは第二次世界大戦とさして変わりはないなあ・・と。潜水艦の中、航空隊の中。バカまる出し命知らずのパイロット、毛色が変わっているとすぐ起こるイジメ(黒人やユダヤ人からピルグリムに代わっただけ)、スパイ疑惑、敵の攻撃のかわし方(海底の代わりにクレーターに潜む)などなど。ブレアいじめの先頭に立つプロホノフ(役名忘れた)の祖先はUボートに乗っていたんだろう。たぶんポアロの子孫であろう艦長(スーシェ)は途中でケガをして退場。そのまま最後まで出てこないので生死不明。

ウィング・コマンダー3

いつの間にかよそ者のタガート(カリョ)が作戦の指揮取ってる。最初いばっていたプロホノフは、艦長いなくなるとすっかり気弱になって、タガートに頼りっきり。タガートはいかにもたたき上げの苦労人に見えるけど、途中で「実は本当の身分は・・」となる。「あっそう」と思っていると「実は(ブレアと同じ)ピルグリムで・・」とまた引っくり返る。でもカリョくらいの実力者だと「引っくり返すのもいいかげんにしろこら!」とはならない。ご都合主義の設定も許せちゃう。鑑賞のマイナスにはならない(プラスにもならんけど)。とにかくいちおうの顔ぶれ揃えているので、何もかもうすっぺらでも演技力や存在感で何とか持たせることができるのよ。ちなみにこの作品、父が買った中古ビデオのうちの一本なんだけど、同時に買った「ロック・エイリアンの冒険」なんて最低最悪で、めったにないことなんだけど途中で見るのやめてしまったくらい。ストーリーのばからしさもさることながら、出演者がこれまた無残で学芸会以下の演技。最悪ストーリーよりもっとがまんできないのは最悪の演技なのだ・・ってわかったわ。それにくらべれば「ウィング」は何倍もまとも。そしてそれは出演者のおかげ。さて・・鬼上官のエンジェルだけど、それもちゃんとした理由があってのこと。指揮官としては任務の成功も大事だけど、部下の命はそれ以上に大事。特に命知らずのアホパイロットがいるからなおさら厳しくしないとね。まあ厳しくしてもムダなんだけどさ。混血のせいで仲間はずれにされるブレアとの間には(同じ孤独ということで)通い合うものがあるんだけど、表には出さず、そこがよかった。こういうのってすぐそっちへ行っちゃうでしょ。地球の危機なのに一方でフォーリン・ラブ!ベッドへGO!みたいな。トッドみたいなアホはしょうがないけど、ブレアまで同じことやったのでは見る気失せる。そうならないから、ブレア、あんたは真面目でいいやつだ・・って好感わいて、最後まで見てやるからね・・ってことになるわけよ。さて映画のクライマックスはブレアがワープするところかな。普通の人(つまり地球人)や普通のエイリアン(この映画だと地球を攻撃しようと企むキルラーとかいうエイリアン)は、ナブコムなしではごはんが食べられない・・じゃない、ワープができないんだけど、ブレアはピルグリムだからできるのよ~。

ウィング・コマンダー4

この設定がまた甘いんだよな、いかにもゲーム的。こういうとてつもないことができるには苦しい訓練とか試練とかあって当然で、そこが映画の見どころでもある。でも・・そういうの全然なし。最初から与えられている能力だから、努力する必要全然ないの。ブレアは「信仰心がないからできない」と言うけど、タガートは「信仰は関係ない、遺伝なんだから」と答える。すっごいお手軽。「日本人だけど習わなくたって英語でもフランス語でもしゃべれる、だって遺伝だから」、「何もしなくても好きなもの好きなだけ食べても困っちゃうほどやせる、だって遺伝だから」と言うのと同じことですぜ。あったらいいけどありえないおいしい話。方程式も計算機も何にもなくて、頭の中で普通のコンピューターでは不可能な複雑な計算数秒でやって、答が出ちゃう。普通は人間がコンピューターが答出すの待つけど、この映画ではブレアが答出すのコンピューターが待ってるのだあはは。答はほとんど勘と言うか、あてずっぽうにしか聞こえんあはは。もうこうなると笑うしかない。・・でもって何だか知らんけどワープ成功、エイリアン待ち伏せ、攻撃成功、地球無事、ついでに死んだと思ったエンジェルも助かってブレアとめでたくブチューとキスしてはい終わりー、ハッピーエンド。この二人エンジェルの方が10歳くらい年上だと思うが・・。さっきまで意識不明だったはずだが・・。助け出したタガートとの方がお似合いのカップルになれると思うが・・。まあいいや。果てしなく広がる宇宙空間で、果てしなく広がらないことやってる映画でしたな。未来の宇宙の果てでのちっとも進歩してない者どうしのどうでもいい戦い。エイリアンはグロテスクだしかなりのオバカ。主人公には生まれながらの特殊能力があって、努力も何もいらない。親友はバカなことやって失敗しても反省しなくていい。上官は許してくれる。現実ではありえないけど、ゲームの世界ではありうる。努力しなくていい、ゲームをしているあなたは全能なのだから。反省しなくていい、ゲームをしているあなたは何をやっても許されるのだから。例え死んでもゲームの世界なら生き返れる、やり直せる。何ともお手軽な内容ではあるけれど、でもまあ・・最低のもの見た後ですからね。「ロック・エイリアン」にくらべりゃね!